第五研究練制圧作戦
軽めに笑ってくれたなら幸いです
新入部員の披露会から早一週間が経過した。
新しく手に入れた部室でアルフェーナ以外の六人がコントロールの訓練をしていた。
クルサは百近い火の玉を、エルザは光と闇の玉を五個づつ、ブレンナは雷の玉を十個、新しく入った三人はミグナットが光でポナームは火の玉を二個づつ、ミーナは宝石魔法のため異なり、宝石魔法で作った水の玉を二個両手の上で維持するということをしていた。
「ぎゃふー疲れた~」
「弱音吐かないのクルサさん」
「そうです、もう少しなので頑張りましょっ!」
弱音を吐くクルサに対して隣のブレンナとエルザが鼓舞する。クルサは涼しい顔をしているが、エルザとブレンナは汗が滲み出てきている。でもこの三人はまだ余裕が見えるが、その隣の三人は限界だった。
「むぎぎぎぎ……」
「あとちょっと……」
「もダメ~崩れる……」
ミグナット、ポナーム、ミーナは顔を汗で濡らし、服も汗のシミが全身に出ていた。一時間おこなっているため手と脚は疲れで痙攣起きている。
「3……2……1……はいあと二分」
『できるかっ!』
部室に六重奏が響く。
「冗談よ。今日の訓練終了、後は自由よ」
そういうとアルフェーナはすたすたと扉に向かい部室を出ていった。
「また何しているのやら」
「そうですね、教えてほしいのですが」
「無理でしょ、そういうと自力で調べなさいって言われますわよ」
コントロール訓練にある程度なれているクルサ、エルザ、ブレンナはアルフェーナの後ろ姿をみながらここ一週間、何をしているのかを考察している。
その隣でミグナット、ポナーム、ミーナは床にへたりこみ荒い息を整えている真っ最中だった。尚この三人は訓練当初アルフェーナが訓練をしないことに反発、最初の三日は全員でやっていたのだが、四日目に三人が自主的に十分と伝え、アルフェーナに目の前で訓練をしてほしくないと伝えた。だってそうだろう、こちらは二個や十個で疲れはてているのに、部室中を埋め尽くす量をこちらが動かすのに当てないで動かし、更には制御する者が読書しているのだから、同じことをやっている身としては堪ったものではないのだから。
でも三日も持った方だと思う。普通は訓練する前に量を見せられて終わりだろう。つまりとても対抗意識があっていいということなのだか。
「それで今からどうしたい貴女達は」
ミグナット達を覗き込むようにクルサが聞いてきた。
「わ……たしとしては……魔法を磨きたいですが」
「わたしは……宝石を多くしておきたいです……はぁはぁ」
「わたし……は、クルサさんに火の扱い方を教えていただきたいです」
ミグナット、ミーナ、ポナームがそれぞれやりたいことを言うとクルサがそれを行えるように指示、ミグナットにブレンナ、ミーナにエルザ、ポナームにクルサとチームを決めてやりだした。
それから数時間経過して夕方になった頃、アルフェーナが戻ってきた。
「お疲れ~」
「お疲れ~、遅かったねアル。何してたの?」
クルサが自然な流れで聞いた。実はアルフェーナが来るちょっと前に話し合いでクルサがさりげなく聞く役を任せられていたのだ。
それにたいしてアルフェーナは、
「うーんそうね、そろそろいい頃合いだし話しましょう」
少し考えた後、手を打ち頷いた。
「この第五研究練にはまだたくさんの研究会や部活があるじゃない?」
「えぇ、それが普通でしょ?」
「そうよ、でも私達みたいに乗っ取ってこないとも言えないじゃない?それだと」
「そ、そうだけど?」
アルフェーナが話すたびに口元を上げていくのにクルサは嫌な予感しかしていなかった。
「昔からよく言うじゃない?やられる前に殺れ、乗っ取られる前に乗っ取れ、乗っ取るのが悪いんじゃない、乗っ取られるのが悪いって」
『いや言わねぇよ!!』
みんなの声が見事にハモった。
「と言うわけで来週からこの研究練の一つ以外の研究会と部活を潰すわよー!」
アルフェーナは高らかに拳を掲げ、意気揚々と宣言した。他のメンバーは大きな溜め息をついた。
●
「むぎゃぁああああああああああああっ!!」
「これで終了っと」
ミーナが雷の宝石魔法で対戦相手に電撃を飛ばして黒焦げにすると、審判かれ高らかに勝利宣言を受けた。
「どうでしたかブレンナ様、今回の電撃は!」
嬉々した様子で振り向き後ろで観戦していたブレンナに評価を求めた。
「えぇ、この前より威力の調整が出来ているようね。黒焦げで済んでる。手と、前みたく片腕消失みたいなことにはなっていないようね」
「はい!頑張りました!」
そんなアブノーマルに染まりかけの会話をしていると、怒鳴り声が響いた後鈍い音が木霊した。
「くそがっ!何負けてんだ!しっかりしやがれ!」
「ブフッ……すみません部長、すみません。でも……もう決闘は終わって……」
「何いってんだ?まだ勝負は終わっていねぇだろ?」
この部活の部長があろうことか事実を曲げようとしてきた。
「おらてめぇらいくぞ、勝っちまえばこっちのもんだ、楽しみたかったら、ヤれ」
そういうとゲスい欲望を瞳に滲ませて他の部員が一斉にミーナとブレンナに襲いかかった。でも、
「ぐべっ!」
「がはっ……」
「ぐぎゃあっ!」
次々と倒されていき床に転がされていった。
「な、な……なにもんなんだよてめぇら……」
呆然と呟く部長と呼ばれた男に二人は、
「「【精霊会】よ」」
と言った。
それからしばらくして部室からでた二人は向かいから出てきたエルザ、ミグナットと鉢合わせた。
『あっ!』
くしくも声が揃う四人。
「終わりましたかブレンナ様」
「えぇ滞りなく、そちらも終わったみたいねエルザ」
この一週間、何度もしてきた会話。最初はなにやら言いにくそうな感じだったのだが、毎日何回も同じことをして終わると毎回鉢合わせするので、すでにいいなれていた。そしてこの後に、
「どぉらぁああああああああああああああ!!」
バゴォオオオオオオンンンンンンンンンンンン!!
「せぇああああああああああああああああ!!」
バキャアアアアアアアアアアアンンンンンンン!!
右の部室から爆炎が、左の部室から尖った氷塊が窓ガラスを割り、扉を吹き飛ばし、床や天井に刺さったり、煙や冷気で壁は黒ずみ凍る、いろいろ大変なことになり出していた。
「にゃははははははははは!終わった終わった!」
「げほっげほっ、クルサさんまたやりすぎですよっ!」
「いやいやゴメンゴメン。でもさ隣もはっちゃけてるわけだし勘弁してよ」
黒煙立ち込める部室から黒ずんだクルサとポナームが談笑しながら出てきた。それと同時に隣の部室からもアルフェーナが出てきた。アルフェーナは体に霜をのせていた。
「クルサまた煙たくなっているじゃない。少しは押さえてよ?」
「あんたに言われたくないわっ!そっちだって氷出てるし、めっちゃ寒いじゃん!」
顔を会わせてすぐにじゃれあうように言い合いをはじめる二人。
「相変わらずですねあの二人」
「もう見慣れた光景ね」
そんな二人とオロオロする一人を四人は微笑ましげに眺めている。この一週間毎回おきる掛け合い、最初は戸惑う四人だったけど次第にそれもなくなり、今では雑談するまでになっていた。
そうこうしているとすぐに二人のじゃれあうは終わり近寄ってきた。
「ケガもなく終わったみたいね。今のところで全部終わったわね。正確には一つ残してるけど」
「いやー頑張ったねこの一週間。疲れた疲れた、さすがに三十は多かった~」
「そうよね、日に何度も決闘するのは疲れたわ」
「はい、クルサ様は大丈夫でも私達にはまだ連続の決闘は荷が重かったので」
第五研究練制圧作戦終了の報告を受けて軽い口調だが嬉しさが顔に出ているクルサ、エルザ、ブレンナの後ろで安心感でへたりこむミグナット、ミーナ、ポナーム。
そんな六人を眺めつつアルフェーナはみんなを促して部室に戻ることにした。
でもアルフェーナ以外はまだ知らない、各研究会、部活を吸収した後に起きるさまざまな書類作業を。当然終わらせていると思っている彼女等にやらせようとアルフェーナが虎視眈々と思っていたことに。
次の日、第五研究練に六重奏が響き渡り、それに隠れるように高らかに笑い声も響いた。
どうするか思考中
こうごきたいしてほしい




