精霊眼と超越者
かなり説明が長いですがよろしくどうぞ
「こうして発足して訳ですが、次なる問題は部室ですね」
四人だけの教室にアルフェーナの声が木霊する。
「その前に申請書とか担当教師はどうするのよ?」
最もな疑問をクルサがぶつけるがそんな当然のことをアルフェーナが疎かにするわけがない。
「既に終わっているわ。この一週間何もしていないと思ったの?申請書は今日昼休みに出したわ。すぐに受理されるように出す以外の項目を既に終わらさせていたから。担当教師もその仮定で決めて了承も得ているから何ら問題ないわ」
アルフェーナの手際にエルザとブレンナは呆けており、クルサはヤレヤレと言った感じに首を横に振っていた。
「でも部室だけはアルでもさすがに手に入らなかったと」
「そういうことよ、四人だけの研究会に空いている教室は使わせられないそうよ?表向きは」
「表向きはですか?」
エルザが聞き返す。
「そうなの、どうやらあの目の敵侯爵令嬢が裏で先生方に圧力掛けたみたいでね」
「そう、バナラさんが。侯爵家ごときが公爵家二つに喧嘩売った訳ですか」
ブレンナが静かな怒気を滲ませた。
「しょうがないんじゃない?こっちの公爵家二つはどちらも軍部、つまり武官、あっちは政務、文官な訳だから家柄はこっちが上でも今現在のいろいろな立場的にあっちがちょっとだけ上かもよ?」
珍しくクルサがまともなことを言った。確かにアルフェーナとブレンナの公爵家は軍部の武官でかなりの上役だが、バナラの侯爵家は文官だが、ただの文官でなくその最上職の宰相なのだから。いくら軍部の上役でも太刀打ちが難しいのだ。
「誰も宰相に目の付けられたくないわよ」
クルサの言うとおりだ。が、ここでは権力はほぼ通じないのでまだなんとかなる。
「確かに目の付けられたくないけど、別に小さな小競り合いどうとでも出来るわ。そういうことだからこれから四人で学園を散策していい立地の空き教室を見つけにいくわよ!」
アルフェーナはそう言うとエルザとブレンナの手を引いて歩きだし、クルサは手を頭の上で組ながら付いていった。
ここで今さらだか学園の研究会について説明する。
研究会とは、二つの学園にあるいわば部活のようなものだ。初等部、中等部、高等部のそれぞれにそれぞれの研究会があるが、初等部、中等部は参加は自由だったので入らないくてもいいが、高等部は必ず参加が厳命されている。
初等部、中等部の研究会は高等部の中でも会員数が基準を越えているのがあるため、そのままずっと同じ研究会の者もいれば、他に興味を持った研究会に変えたりといろいろある。クルサは興味を持った研究会がなかったためずっと帰宅組だったが。
新しく研究会を発足させることも出来るが、面倒な手続きが多くやる者はほぼ皆無だったりする。アルフェーナはそれを一週間以内に終わらせたが。人数は最低二人だけでもいいとのこと。だがアルフェーナは確信でもあったのか手続きの時の会員数は四人にしていた。手際がいい。
そしてとても、とてもめんどくさいのだが剣術学園、魔術学園両方に同じ研究会が何個かある。そうなると起こることが試合。もう一度言おう、試合である。本来はというか昔は交流をはかるために行っていたはずなのですが、今では………今でもどちらが上か決める争いの場になっていた。
話がそれた。
アルフェーナの絶対にどことも被らない、派生ではない研究会を考えて作ったのが【精霊会】。
「私が考える主な活動内容は精霊との交流及び精霊魔法の熟練なんだけど……エルザとブレンナは精霊が視えるわよね」
「「っ!!」」
アルフェーナの発言にエルザとブレンナが驚愕した。
「ど……どうしてその事を……」
「まさかお二人も?」
至極当然の疑問をしてくる二人。
「あぁ違いますわよ二人とも。私とクルサは精霊眼は持っていません」
「ならどうして精霊魔法を……」
「ですが持っていなくても精霊を視ることや感じとることは出来ます」
「そゆことー」
またも驚愕する二人の前で当然のようにしているアルフェーナとそれに同意するクルサがいた。
だがアルフェーナが先程語ったことはとても……ではない不可能とさえ言われていることなのだから。
まず精霊だが、普通は視ることも触ることも出来ない幻の存在だ。だけどごく稀に、精霊と波長が相いとても気に入られた者に精霊が視え触れることが出来る瞳が授けられる、それが精霊眼だ。ゆうに一億分の一の確率で生まれるため、十年間現れないなんてザラであり、百年現れないときもあるくらいだ。
そんな超希少な特性が同年代に二人いるなんて奇跡以外の何者でもなかった。
ここでアルフェーナとクルサの疑問になる。確かに精霊眼は先天的、産まれた時からある固有魔法とは違い、微妙に後天的な力なのだ。産まれた直後に精霊はどうするか決めてしまうため、気に入られなかったら一生精霊眼は手に入らず、気に入られたら手にはいるそんな感じだ。
なのでアルフェーナが自力で視ることや触ることも出来るなどと言っていることが、それはとてもでないが出来ないから超希少なのだ。
「あのどうやって精霊眼を」
「違うわよ?さっき言ったじゃない持ってないって」
「え、でも……」
エルザは混乱を隠しきれず狼狽している。ブレンナは考えるように口に手を当てている。
「……もしかして」
ブレンナが何かに気が付いたようだ。
「あら、どうかしたのブレンナ」
「えぇこれは仮説なんだけど聞いてくれる?もしかしてアルフェーナとクルサは精霊は視えない、けど感じてはいるんじゃない?」
「感じているですか?」
アルフェーナはなにも答えずエルザは反芻する。
「憶測なのだけど、二人は多分だけど人側というか、人としては越えられない力の境界を越えているか、跨いでいるのでは?」
「……続けて?」
「はい。前から思っていましたが二人の魔力量は膨大です。私達では底が見えません。それを努力の結果と言えばそうなのですが、それでは説明がつかないくらい膨大です。それなら別の自力で人型種族の混血かと思いましたがそれでは納得いかない多彩さなのです」
いったん区切り深呼吸して続行した。
「なので二人はどこか異質です。それなら別の何かと思った方が可能性が高いです。そうして見ると違いがわかります。でもそれも精霊眼を持っているからなのですが、その違いは二人は精霊から近寄られていないことがわかりました」
「…………」
「えっと……ホントですね、でもどうして」
エルザが精霊眼で視たようだ。
「そうしてこんな人に精霊が興味を持たないわけがありません。でも興味どころか近寄られていないとまでいくといささか常軌を逸しています。……これが私の仮説ですがどうですか?」
「ご名答ーよブレンナ。どうクルサ、この少ないヒントでここまで推理したわよ」
「さすがねー。アタシはもっとヒントを出してくれないとわからん!」
「堂々と言わないの」
「……あのアルフェーナ、そろそろ教えてもらっていいかしら?」
待ちきれなくなったブレンナが聞いてきた。
「あぁごめんね。確かにブレンナが言った通り私とクルサは精霊を視えないけど感じている。その上で精霊とも契約しているし、限界を越えることもできましたし。……それと二人とも……」
「「何ですか?」」
「私達限界を越えた者をそうじて超越者と呼ばれているわ。よろしくね」
「そうなのですか……わかったのならもっと教えてくれ……」
「ダメよー」
クルサがブレンナの言葉を遮った。
「な、なぜなのですか?」
エルザがおずおずと聞いてきた。それに対してアルフェーナが、
「だってここで全部教えちゃったら面白くないでしょ?」
「ねぇー、だからこの研究会でアタシとアルから盗みなさい。そのために誘ったのよ」
「そうだったのね。それに先生も努力しろ言っていたし、ならこれから頑張らないとねエルザさん」
「は、はい!ブレンナ様いっしょに頑張りましょう!」
「えぇ!」
エルザとブレンナが仲睦まじくしている。
「という事でこれから私達【精霊会】の活動内容を改めて言うと、まず魔法の熟練、精霊との交流は……まだ契約していない精霊と交流に変えて、さらにエルザとブレンナは超越者に到達するために私がサポート、二人は努力って感じかな?他にある?」
「アタシなしー」
「私も今は」
「私もありません」
「よしなら今日から【精霊会】始動と言うことでよろしくー」
「よろー」
「「よろしくお願いします」」
こうして四人の研究会が始まった。
次どうすか考えています
頑張って心踊るように考えます




