Aクラス
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アルフェーナがドアを開けて教室に入るとクラス中から視線を向けられた。
だいたい興味、好奇、嫉妬といった感じの視線だが、たった一人、窓際から驚愕の視線が向けられていた。
アルフェーナは周りの視線を無視してそのたった一人に向かった。
「久しぶりねエルザ」
「お久し振りですアルフェーナ様」
向かった先にいた人物、エルザ・セル・ボナトデナンが一人でいた。
ちなみに教室は大学のように机が段差状になっているので、一クラスかなりの大きさになっている。そしてエルザは窓際の一番下の段に座っていた。
「驚いていたけど、掲示板の紙に同じクラスってなっていたわよ?」
「す、すみません。私が行った時かなり混んでいたのでクラスだけ確認していたので」
エルザは少し慌てて謝ってきた。とても律儀である。
「いいわよそれくらい。隣座っていい?」
「はい!どうぞ……」
かなり緊張した面持ちで進めてきた。
それから二人でいろいろな話をした。主に魔法についてだが、自身の領地での出来事など話していた。
話している間も教室には続々と生徒が来ていた。アルフェーナが来たときはエルザを含め15人だったが、今は30人にまで増えていた。一クラスの人数は40人で定められていた。そろそろ全員揃うようだ。
二人がゆっくり話しているとしばらくしてクラス全員が揃い、見計らったのように装飾が施された黒のローブを目深く被った先生が入ってきた。気配遮断の魔法を使用して。
アルフェーナはその事に気が付いていたがわざと知らない振りをしてエルザと喋り続けた。どうやらアルフェーナ以外のクラスの生徒は先生が入ってきたことに気がついていないようだ。
教卓まで来た先生は掌に魔法を纏い、その状態で手を打つと魔法で音を増幅してクラス中に響かせた。
「ちゅうもーーく!」
活気のいい声が響いた。続けてローブを取ると赤髪の天真爛漫な顔が出てきた。
生徒達は先生のいきなりの登場といきなりの音で驚き、放心状態になっていた。アルフェーナを除いて。
「今私が犯罪者なら、今頃あなた達は死んでいます。魔術師たるもの、常に周りを観察して、注意していなければなりません。そうしなければ不意打ちで死んでしまいます」
一泊置いてクラスを見渡す。見渡すなか、アルフェーナで一度視線が固定されるもすぐに外れた。
「あなた達はこれから魔術師になるため、何を学び、何を経験し、何が必要なのかわからなくてはならない。今回のこれはその参考にしてもらえると喜ばしい」
そう締め括ると先生は着席するよう促した。生徒達は反抗するでも嫌みを言うでもなく、素直に着席していった。席は決まっていないためかなりバラバラ、知っているもの同士で固まっている。
「よしいいな。それじゃ最初は自己紹介からな!まず私、このAクラスの担任になることになった、ベナ・セル・コノナークだ、よろしく……次は……君から」
「は、はい!」
いきなり指名された青年は緊張しながらも自己紹介をし、祖を皮切りに順々にすることになっていった。名前を聞いていくと、半分が貴族出身、残りが平民出身のようだ。平民が名乗ったとき貴族出身達が顔をしかめていたりしているのだが、貴族の中でもたった一人だけ、全員に顔をしかめた人物がいたが、それは後にするとしてとうとうアルフェーナの番になった。
「私ね……初めまして皆さん、私はグラビトン公爵家長女のアルフェーナ・フィン・グラビトンです。これからどうかよろしくお願いいたします」
アルフェーナが名乗るとエルザ以外全員が驚き、アルフェーナとある人物を交互に見ながら、
「え、公爵家?」
「うそだろ、二人とか」
「なんで……このクラスに公爵家が二人も」
アルフェーナとは反対側に座る女生徒、自己紹介の初期に名乗ったときにかなりクラスが騒然とした人物、ブレンナ・フィン・ザッハーク。アルフェーナと同じ公爵家、ザッハーク家の長女である。
ブレンナは面白くなさそうな顔でアルフェーナを見ていたが、だがそれを気付きつつもスルーするのがアルフェーナ。
そして最後にエルザ。
「あの!……エルザ・セル・ボナトデナンです。ボナトデナン男爵家長女です。これからよろしくお願いいたします!」
とても緊張しながら自己紹介をするエルザ、テンパり過ぎて少し顔が赤い。
こうしてクラス全員の自己紹介が終わると担任のベナが口を開いた。
「よしよし終わったな!まず授業だが、今日はなし!」
『…………』
いきなりの発言にクラスが首を捻る。
「午前中に校舎全部教える。だから授業はなしだ。午後は自由時間で好きにしな。明日から授業開始するからそのつもりでな。それじゃついてこい!」
ベナは捲し立てるように言ったのち、杖で肩を叩きながら教室を出ていった。
「……いやいや待たないの?と言うか待っていないわね。せっかちな先生だこと……エルザいきましょ」
「は、はい!お待ちくださいアルフェーナ様」
アルフェーナとエルザがカバンを準備していると、放心状態だった生徒達が大急ぎで準備を始めた。それを尻目に教室を出ると誰もいなかった。
「…………」
「お待たせしま…した……あれ?先生は……いらっしゃらない?」
「言ったでしょ、待っていないって、先生なら教室出たらずんずんあっちの方に向かったわよ」
アルフェーナは教室から出て右側の通路を指差した。
「なら私達もそちらに……」
「待ってエルザ、確かに行った方がいいかもしれないけど、でもね向かっても……」
「あちらですわねグラビトン公爵令嬢様!皆様向かいましょう!ありがとうございます!」
教室の扉が勢いよく開き一人の女子生徒が出てくると、アルフェーナが指した方を見て教室の他の生徒に声をかけ、お礼をいって走り去っていった。
それから続々と教室から生徒が飛び出してきて女子生徒が走り去っていった方向に向かった。
「はぁー、人の話は最後まで聞きなさい。最初からいなくて聞いていなくても」
「あのアルフェーナ様それはどういうことなので」
「それ、私にも聞かせてくださいますか?」
扉から出てきた女子生徒、先程アルフェーナを見ていた公爵令嬢ブレンナがいた。
「ブレンナ様。ブレンナ様は行かないのですか?」
「貴女は……エルザ……さん?だったかしら。行くか行かないかだったら、グラビトン様の話を聞いてからですかね」
「……はぁー簡単よ。だって先生そっちに行ったとは言ったけどまだそこにいるから」
「おや、やっぱりわかっていたかい。なにもんだいあんた」
「「……え?…………ええっ!」」
アルフェーナが廊下を見ながら言うと、景色の一部が歪み人の形を作っていき先程教室を出ていったベナが現れた。
そしていきなり現れたベナにエルザとブレンナが驚いた。
「あ……あの先生、さっき廊下を埋める勢いでクラスの皆が走っていったのですが」
「どうして誰もぶつからなかったんですか?」
二人は疑問だった。いくら姿を見えなくしたとしても当たればわかる。だが先生は誰もぶつからずにいた。もしかしたら避けていたのかもしれないが、生徒達の荷物にも当たらずに避けることは出来ない、それほど狭かったのだから。
「ふむそんなことか、まず姿を消したのは幻影魔法の《ミラージュ》で周囲の景色に溶け込み、ぶつからなかったのは私の固有魔法の透過魔法だ」
「「固有魔法!」」
「ふーん透過ねぇ?…………やれば出きるかしら?」
エルザとブレンナは固有魔法に驚いていたが、アルフェーナは興味深く聞いていた。そして最後の呟きは聞かれなかったが。
「先生は固有魔法をお使いになられるのですか?ですかコノナーク伯爵家には固有魔法はなかったはずですが。それに透過魔法などというものを使える家系もないはず」
「いい質問だねブレンナさん。確かに我がコノナーク伯爵家に現在固有魔法はないわ」
「ではどうして……」
「いわゆる先祖帰り……ですか先生」
アルフェーナの答えに頷くベナ、その眼を更に興味深げにアルフェーナを見つめる。
「コノナーク伯爵家はかなり前まで固有魔法を使えた。けれど何代か前の当主がたくさんやらかしてね、そのせいでいろいろあって、血統が乱雑になったらしいは、そのため固有魔法が一度絶えたわけ。でも時々固有魔法が発現する子が現れる。それが私のような者、先祖帰りとも言われるけどね」
ベナがお茶目にウインクするが、かなり極秘の、お家事情なのではということを三人は聞かされたため、あのアルフェーナを含め暫く固まった。
「先祖帰り……ね。かなり珍しいですね、でも透過魔法ってかなりすごい魔法だと思うのですが、先生はなぜ先生をしているのですか?」
「あぁそれは私は家を継がないからね。何せ私と同じ先祖帰りの……兄がいるものでね」
ベナは兄の名を出すとき少し苦い顔になった。苦手な相手なのようだ。
「あのー先生、それでなぜこのようなことを?」
エルザがおずおずと手を上げて質問した。
「そんなの決まっているだろ?君達を試す、それだけだよ……少し探知魔法を使えばすぐにわかるような荒さにしていたのに、気がついたのはそこの君だけだ。まったく嘆かわしいよ」
「それについては私も同意しますね」
アルフェーナはベナの言葉を肯定した。
「仕方ない、ほんとはもっといるものだと思ったが、君らだけのようだ。着いてきなさい学園を案内するから」
そう言うとベナは背中を向け歩きだした。三人はそれに追従した。
それから学園の施設を順番に巡った。実験室、実技場、保管室、保健室、召喚室、食堂等々見せてもらっていった。途中走り去っていった生徒達と鉢合わせして口論が起きたが、先生が間に入り「すぐ近くにいるにも関わらず気がついかないお前らが悪い!」と堂々いい放ち、激昂して生徒達を帰っていった。
「よかったのですか?あのようなことを言って」
エルザが心配そうに声をかけた。
「心配入らないよ。何を言おうとここには通らない、この学園は完全実力主義、あっちの学園とは違うよ!」
少し怒気を滲ませて先生が言った。先生方にも嫌な風習があるのかそれとも……。
「もしかして先生もここの生徒だったのですか?やっぱりあっちの学園とは……」
「そうだよ卒業生で先生。ついでに言うとあっちとは何度か抗争もしたね。いやー懐かしなぁ」
ベナは懐かしむように空を見上げているが、後ろの三人は「あっ、やっぱりそっち系の人だったんだ」と思った。
「さて案内はここまでだが、質問はあるかい?」
「私はないです」
「私もです」
「私も」
これでベナの案内は終わり解散することになった。
「二人はこれからどうしますの?」
ブレンナが二人に聞いてきた。
「私は特にすることは、アルフェーナ様は?」
「私はそろそろクルサも来る頃だろうからそれから食堂ですかね……っと来たみたいです」
アルフェーナが校舎を向いたので、エルザとブレンナも向くと走ってくる人影が見えた。
「おーいアルー!食堂行こうー!」
走ってくる人影、クルサが人目も憚らず大声で叫んできた。
「あれはどちら様で?」
クルサを始めてみたブレンナが質問してきたのだが、答えるより早くクルサが到着した。
「おまたー。エルザもおひさー。それで貴女誰?」
「クルサ、先に名乗っといて」
アルフェーナが嗜める。実際そうしないといけない立場同士だったからだ。
「りょーかい。初めまして、ファンデーラ伯爵家次女、クルサ・セル・ファンデーラです。どうかよろしく」
「初めまして、ザッハーク公爵家長女、ブレンナ・フィン・ザッハークです。こちらこそよろしく」
二人は淑女らしい作法で挨拶した。それを見たアルフェーナは「クルサには似合わない光景ね」と思っていた。
「エルザ、ブレンナ、これから食堂にいくけど来る?クルサもいいでしょ」
「いいよー。二人とはおしゃべりしたいし。アルフェーナに今後の学園どうするか聞きたいし」
クルサが了承すると、聞いた二人からも「構わない」と、返事を貰ったので四人で食堂に向かった。
後に『最強の四帝』と呼ばれる魔術師が揃った瞬間だったが、それはまだ先の話。
ひがんの仕事ながかったー。
9日から18日まで休みなし
お陰で書けない書けない。
でも頑張ってやり遂げました。
次回もよろしく!




