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避難場所で

チェザーレとアゾルカ達避難者の話です。

各区域で激戦が繰り広げられていたなか、避難場所となっていた中央広場でも戦闘は起きていた。

「障壁を維持しろ!破られれば避難者達が犠牲となるぞ!」

『おぉおおおおおおおおっ!』

衛兵のリーダーの雄叫びに部下達も負けじと答え、より一層盾に魔力を込め障壁の維持をした。

現在広場は区画からの通路全てに衛兵が配置、ドーム状の障壁を発生させ下級悪魔の群れを広場に侵入させないようにしていた。中からは確認できないが、下級悪魔がドームに隙間なくぴったりと張り付き外からは黒いドームに見えていた。それだけでは飽きたらず下級悪魔は増え続けていた。そのため圧力が増し障壁への負荷が上がり所々にヒビが現れ、全体から軋んだ音が鳴り出していた。

リーダーの隣にいた副官が進言していた。

「隊長!このままでは突破されます、どうしたら」

「だから市民や貴族様達に頼んで魔法や武技を放ってもらっているのだろう、それも焼け石に水だが無いよりましだ!」

「それも少し長引かせるだけです、ここは第5区画の大通りに避難するよう障壁を少しずつ後退させて向かってはどうですか」

「バカヤロウ!そんなことしたら今なんとか持ちこたえている障壁が崩れちまう、そうなれば悪魔共が雪崩れ込んで来るぞ!」

副官はなにも言えず俯いた。だがこのままではいけないのは事実、リーダーもどうすべきか迷っていると後方、避難者達が歓声をあげた。振り替えるとそこには光が差していた。

正確には外の光が差していただ。下級悪魔がぴったりと張り付いているためドームの中は障壁の光で薄暗くなっていたのだが、今は一部の下級悪魔が消えその場所だけ外からの光が差していた。

よく見ると下級悪魔は消えたのでなく、障壁に反りながら地面に積まれていた。その悪魔の山は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。下級悪魔が次々と重なっていくのにである。

「いったい何が……」

「…………隊長、あれを!」

「うん?……あの方々は!」

リーダーが副官が指を差したところを見ると、そこにはこの不思議な光景を作った人物―――魔法を維持しているチェザーレとそれを支えるアゾルカがいた。

「グラビトン公爵……ということはあれは固有魔法の重力魔法か」

「あれが、固有魔法」

固有魔法とはその人物、もしくは一族のみでしか使えない魔法のことである。固有魔法と言っても様々な形がある。

1つ目は一族のみでしか使えない魔法。これは先祖の内誰かが開発、一族の遺伝子に反応して発現するようになっている魔法だ。なのでその一族の遺伝子を持っていなければ使えない。

2つ目は精霊との契約のみでしか使えない魔法。これは精霊と契約していれば誰でも使えるので使用者は多い。

3つ目は完全オリジナル、自分で作り誰にも扱えない魔法。これは誰にでも出来て誰にも出来ない、持っている者も世界に50人はいないとされているほどの魔法だ。

チェザーレのは1つ目の一子相伝の魔法、以前アルフェーナがセルネの屋敷で使った《グラビティコントロール》の下位互換の《グラビティプレス》である。

《グラビティコントロール》は文字通り重力を自在に操れる魔法に対し、《グラビティプレス》は圧殺、押し潰すだけの魔法だ。

本来グラビティコントロールは使うのに何十年の歳月が必要な魔法だ、チェザーレもこの年で使えるのは一族の中でもかなり早い方なのだが、アルフェーナは規格外ということで触れない。

「よし、あそこを起点に避難を開始する。後退!」

隊長の号令に衛兵達は苦しい顔ながら、だけど先ほどよりは希望が見えた顔つきになり徐々に後退しだした。

「隊長、私はグラビトン公爵様に助力を申し出てきます」

「おう頼む……てめぇらキバレェ!」

隊長の怒号を背後から聞こえながら副官はチェザーレの元に走った。

「グラビトン公爵様!お話よろしいですか!」

「なにようかな衛兵」

「どうか助力をお願いできませんか!どうか、どうか……」

「…………もたないのか」

チェザーレは副官の切迫さに現状衛兵が陥っている状況を悟った。

「どうすればいい」

「ありがとうございます!……まずはこの通りを通れるように現状維持をお願いできますか。その間に我々は陣形を縮めます、そうしたらこの通りを通るように陣形を組み立てます。避難者の皆様も慌てないようにお願いします!」

副官は礼をしていくとすぐさま戻っていった。

「…………彼も気づいていなかったようだね」

「そうね、現在この障壁が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

チェザーレとアゾルカの呟きは周りには聞こえていない。周りは先ほどの副官の言葉に混乱していた。だけど慌てているほどでなく隣と喋る程度の混乱で修まっていた。それはチェザーレとアゾルカ、グラビトン公爵の威厳が一番になっているのと、今現在起きている重力魔法の強さのおかげなのだろう。

話は戻るがチェザーレとアゾルカの呟きだ。

これは障壁を維持させているだけの手伝いをしている外にいる人物達のことだ。

本来ならこの障壁は下級悪魔に囲まれた時には終わっていたはずなのだ。それが大分たち囲まれる以上の下級悪魔が押し寄せているにも関わらず持っている。外の人物達が障壁内の人達にわかられないようにしているのだ。

「いったい彼らはなぜこんなことを」

「わからないわ。誰かの指示なのか、このくらいしか出来ないのか、でもさっきよりは良くなった?見たいに感じるの。多分だけど司令官が来た感じだと思うの」

「ならその人物より上の人物がこの状態の維持としたのだろう。なぜかわからんが」

「そうね」

それからは《グラビティプレス》の維持に力を注いだ。

しばらくすると陣形も縮まりだし、チェザーレが開けた通りに向けて陣形を形成していった。

それを眺めながら、

「アルフェーナ戻ってこいよ」

「アルフェーナちゃん無事でいてね」

チェザーレとアゾルカは大切な娘の無事を願っていた。

陣形と障壁が形を変えていく様を周りの屋根で眺めている男達―――【竜帝】メンバー達と後から合流したセルネとミーゼがいた。

「以外と早めに気がつきましたね」

「そんね、でもお嬢様の読み通り、お父上様が道を作りましたね」

セルネとミーゼは魔法を放ちつつ呟いた。

「ですがね姐さん、親父さん気がつきましたね」

「それはしょうがねよ。こんだけやってんだ、ある程度実力あるやつは気づくさ」

ミーゼは部下と会話した。

「ミーゼ、姫様のため頑張りますよ。この状態を維持し続けるという無茶過ぎることなんですからやりますよ」

「は~い」

『ウッス!』

セルネに向けて皆は返事した。

それから通路に入っていき障壁を強固にした衛兵達は下級悪魔達が消えるまで維持し続けた。

その裏で必死な頑張っていた者達に気がつかず。


次回こうごきたい

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