セルネ&ミーゼvsベレ&プラダ
雪がすごい
寒くても頑張っています
クルサと邪竜が激突する少し前、反対側にある区画では二組の戦闘が続いていた。
「はぁああああああっ!」
「…………」
一組目の、人間の男セルネと中級悪魔ベレとの戦闘は時間が経つに連れ激しさを増していった。
ベレが戦闘前に挑発されたのが原因でもあるのだが、今は別のことに憤っていた。それはあれだけ挑発してきたセルネが回避しかせず、攻撃して来ないことにだった。
端から見ればベレが攻撃の隙を見せずに防戦一方にしていると捉えられような光景なのだが、当のベレにはナメられながらやられているとすぐにわかった。ベレには攻撃するまでもないと暗に言われているようで憤慨していた。
さてそんな敵意を向けられているセルネなのだが、内心ガッカリしていた。
(これが中級悪魔?こんなやつに騎士団は部隊を割くのか?こんな弱いやつに?)
セルネが弱いと断言していたが実際は中級悪魔はかなり手強い相手だ。だがセルネは上級と対等に相手できるほどになっていたため弱く感じたのだ。
だけどセルネは簡単に殺せるベレを生かし続けているのは気紛れでなく、ベレ以上に警戒している相手がいるからだ。
「とりゃ~」
「なら~」
そいつに目を向けると、相手をしているミーゼと一緒に真剣を使ってゆる~くチャンバラをしていた。
「そんなんでいいのプラダ?お宅の上司本気でやっているけど」
「うん?いいいい、もともとあいつの部下じゃなかったし、今回の作戦に命令で参加、従属しているわけだからな」
「たいへんなのね」
「たいへんたいへん、尊敬するあの方からの直接命令だからな、大変なんて言ってられるか」
会話を聞く限り仲良しさんである。
セルネが警戒しているのはプラダである。観察する限りめんどく下がりの中級悪魔にしか見えないのだが、セルネついでに相手をしているミーゼにはプラダのヤバさが伝わっていた。
どうヤバイかというと、100mは離れているお互いの距離を、ベレが死ぬ瞬間まで待っていても止められるほどにはとしか。なのでセルネはベレを殺さないわけだが、それはプラダにも伝わっているようで、そのためのチャンバラのようだ。
…………別にミーゼとプラダの趣味な訳ではないようだと信じたい。
とまぁ例のごとく脇を見て回避していたため、
「この下等生物がぁああああああああああああ!!」
ベレにキレられた。
「死ね《テンペストストリーム》!」
ベレは無詠唱で上級魔法を使った。
使ったのは風の上級魔法、暴風を生み出し、回転させ前方の一定方向に解き放つ魔法だ。本来はかなり詠唱が長く攻撃範囲も決まっているため交わしやすい魔法になっていた。
だが今回は詠唱無し、距離も近く籠められた魔力もかなり高いため高火力になってしまっている。
だから回避が難しかったため来た魔法を腰のナイフで受け止めた。
「むっ!……以外と、でもお返しします」
受け止めた魔法を勢いをそのままに流して返した。
「そんなまさかっ!……ぐぁああああああああああっ!」
驚いてしまったベレは防御が間に合わず自身の放った魔法を直撃させられた。そのため暴風に呑まれながら家の壁に激突した。
「ミーゼ!その者を押さえていてください!」
「まっじ!すまないが遊びはここまでだミーゼ!あいつ殺されると俺が怒られる!」
「ごめんねプラダ、それは私も同じだから、阻止します」
ベレに止めをさすためセルネが一気に接近するなか、遊んでいたプラダは焦り慌てて救援に向かおうとしたのだが、ミーゼが立ちはだかった。
ミーゼは魔法袋から糸に結ばれ連なったナイフを出したのだが、その長さは10mを越えていた。
魔法袋は空間魔法により設置した空間の中を拡張した袋だ。入る量は設定した分広がるため入る量はことなる。ミーゼ達のはアルフェーナ特製なため入る量は未知数だ。
「踊れ《ソードズ》、不壊せよ《プロテクション》」
ナイフの遠隔操作魔法と破壊耐性の魔法を付与しミーゼはプラダに躍り出た。
「くそっ、《プロテクション》、《アクセル》!どけぇえええええええええ!」
プラダも破壊耐性と速度強化の魔法で振り切るつもりだった。それを予測していたミーゼはだから10mもの長さにしたのだ。《アクセル》で加速する前にミーゼは無差別にナイフ群を操作した。場所も草原のように広くなく、通りだったためプラダは横を抜けることが出来ず立ち止まってしまった。
「ありがとうございますミーゼ、我が雷撃に沈め《ボルテックス》」
「かっ……ぐほっ……俺がこんなところ……」
一流通しの中で一瞬でも立ち止まってしまった、そのすきにセルネは自身の速攻系の中で最大威力の魔法を放った。
魔法は瓦礫を押しのけ満身創痍のベレに直撃、魔法が消え去ったあとには帯電する雷撃しか残ってなかった。
「かぁーマジかよ、こりゃ隊長に怒られちまうな」
仲間が死んだにもかかわらずプラダは軽快な言葉を発した。
「どうしますか?私達としてはこのまま2対1で行いますが」
「いんや、止めとくよ。俺はこのままお暇したいかな、見逃してや」
手を前に合わせて厚顔してくるプラダセルネは、
「それは良かった。実はこちらにも急用が出来ましたので、利害一致、今日はお開きということで」
「話わかるね兄さん、ミーゼもええか?」
「いいに決まっているでしょ。だけど、後でまた遊びましょう」
「へへっ、了解したぜ親友、またな」
「ふふっ、またね親友」
挨拶をしたあと、プラダは翼を出してどこかに飛翔していった。
プラダが見えなくなったあと、セルネはヘタリ込んだ。ミーゼも深く息を吐いていた。
「危なかったですね、あのまま殺りあっていれば間違いなく負けていました」
「そうね、プラダは中級って名乗っていたけど嘘ね、普通の一流なら騙されているけど私達はギリギリ看破できるから、それにしても周りの様子を見れば一目瞭然でしょ?」
現在セルネとミーゼは隠蔽魔法を解除している。それにもかかわらず遠回しに見ている下級悪魔達が近付こうともしてこない。それは自分達を従えていた主を殺されただけでは弱い、その者よりさらに高位の悪魔の残滓が残っているからだと考えられた。つまり、
「プラダは上級悪魔、しかもかなり高位の、勝てるのはお嬢様くらいから」
ミーゼの言葉にセルネは同意した。
「まったく嫌になります、ここ数年自分の無力差ばかり見せつけられる」
「反省はあとよセルネ、さっさとこの騒動終わらせてお嬢様に稽古つけてもらうわよ」
「ふふっ、それもそうですね」
二人は回復薬を使い回復したのち街の中心部、避難場所になっている広間に向かっていった。
忘れちゃいけない両親
次回登場




