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それぞれに起こること

ほのぼのいかない普通回です

本戦予選が驚きの早さで終わり、アルフェーナは家族とクルサが待つ場所に向かった。三人は外の出入口で待っていた。

「お待たせしましたアゾルカ様、お父様、クルサ」

「いいのよアルフェーナちゃん、戦ったばかりなのだから、もうすこしゆっくりしてきてもよかったのよ?」

「そうだぞアルフェーナ、急いで来なくても、ゆっくり休んできてもよかったのに」

「お気遣いありがとうございます。ですがあの程度で休むことは必要ありませんので」

「さっすがアル~、男前。まっ私もあれくらいはできるけどね」

クルサが軽口を聞いてきたので、アルフェーナは気になっていたことをきいた。

「ねぇクルサ、毎年こんなに早く終わるものなの?」

「なんでそんなこと……あぁ、アルは大会初めてだったわね。そうよ、毎年本戦初日は予選のみ、それでももうちょっとかかってたはずだけど、全員が瞬殺、最後は空気も読まずさっさと終らせる。そんなことが起きちゃったからねぇ~、どこかの誰かさんが」

クルサが流し目を向けてくるも、アルフェーナは我関(われかん)せずといったふうに顔を背けた。

そんな平穏は長くは続かなかった。アルフェーナ達が笑いながら雑談を交わしていると、一つの集団が近づいて来るのが見えた。なにやら先頭の人はアルフェーナ達にというかアルフェーナに敵意を向けていた。

周りの人達が道を作るように分かれていき、集団との一本道ができた。集団の先頭の人は見覚えがある、先程試合を行ったグレムトだったからだ。

「なんのようですかグレムト選手」

「なんのようかだと?なに、ちょっとさっきの仕返しと見せしめみたいな感じのことだ」

「ふーんそうですか、では私の家族と友人には手を出さないですよね?」

「ああ、()()()()()()()()()、へへっ」

アルフェーナはその発言に溜め息をついた。それはグレムトが、俺はの部分を強調したからだ。それは暗に自分以外のやつらが手を出すと言っているようなものだったからだ。それは、隣のクルサも、後ろのアゾルカとチェザーレにも伝わっていた。

アルフェーナはまた先程のように叩きのめそうと思っていたのだが、それよりも早くに脇に避けていた人だかりの中から助け船が現れた。

「それくらいにしていただいてもよろしいですか?」

「あぁ?誰だてめ……え……え?なんであんたがここに」

「なに、参加者の私がここにいるのがそんなにおかしいんですか?」

「いえ!そんな滅相もない!」

グレムトはさっきの態度がなんのその、生まれたての小鹿のようにプルプルと振るえ、お辞儀をして見えないが顔は真っ青になっていた。よく見ると後ろの取り巻き達も同じ状況だった。

人だかりから出てきたのはなんとセルネだった。服装はもちろんいつも着ている黒のスーツ姿だった。端から見るとどこかの執事のようの立ち振るまいだった。

「このようなことをしてもらうと、こちらとしては迷惑なのです。お引き取り願えますか?」

「そ…そうおっしゃられてもこちらも仕事でして」

「ふむ、そうですか……ではあちらでお話はどうでしょう?」

その言葉を聞き手が向けられている場所に視線を否や、グレムトは真っ青を通り越して真っ白なるのでないかというほど、恐れられていた。セルネがただ喫茶店のバルコニーを指しただけでも、グレムト達にとってはどんなことでも最悪以外のなにものでもなかったからだ。

グレムト達は人生最後を考えていた……本来ならば。だがここにはセルネの上司兼組織の長であるアルフェーナがいるのだ。

「あのー、そのくらいにしてもらっていいですか?」

「「「「!!!??!」」」」

アルフェーナの渡舟とおもしき発言にグレムト達は驚き、同時に困惑した。さらにグレムトはこの発言による最悪のケースに罪悪感を抱くまでになっていた。

「おや?お嬢さん、どうされたのですか?」

「いえ、ただやり過ぎかと思ったので……そのくらいでいいのではないですか?彼らも反省?しているようですし」

「ふむ……危害を加えられそうになって人物としてはこの者達には罰を与えた方がよろしいと考えないのですか?」

「いえ、普通はそうなんですが、一応未遂なのでいいと思ったので」

「なるほど」

グレムトはアルフェーナが自分なんかのこと庇わないで欲しいと口に出していないが願っていた。仮にも先程戦った者であり、未来がある者、武人の端くれとしての尊敬(そんけい)できる者だからと歯を食い縛り、なんとか手が出てほしくないと願った。

そんなグレムトの心情に気付きながらも、セルネはいつもの糸目をすこし開けてアルフェーナを見据えた。

「わかりました、この者達を許してもらかるのならば我々はこれにて失礼致します。後程もう一度謝罪に(うかが)おうと思うのですが、宿泊または住んでいるところを教えてもらっても?」

「ごめんなさい、謝罪はこの場でのこれだけでよろしいのでお気になさらず」

「ありがとうございます。名残惜しいですが我々はこれにて……行きますよ、早く立って戻りなさい」

セルネは深々とお辞儀をして振り向き、グレムト達にさっきとは全然違う声色で、しかも背筋か凍るのでないかというほどの低く、それでいて頭に残る声で呟いた。グレムト達は聞くな否や首をすぐに縦に振ると一目散に来た道を駆けていった。

「私もこれにて」

セルネはもう一度アルフェーナ達に頭を下げ、人混みに紛れていった。周りはすでに祭りの屋台に対しての人だかりと歩く人でごった返していた。

「なんだったのあれ?」

「さぁ何かしら?なんか茶番を見せられた感じね」

「大丈夫だったかい二人とも」

「アルフェーナちゃん、クルサちゃん、ケガは……ないようね」

「はい、ありがとうございます。お父様、アゾルカ様」

「大丈夫です」

アルフェーナ達は無事?を確認しあいすこし周りを警戒しつつ、雑談を交わしながら歩きだした。

出店が立ち並ぶ大通りを脇に避けたところにある、暗い路地裏に一つの集団がいた。集団の男達の顔にはどれも焦燥(しょうそう)や恐怖、絶望などの負の感情が宿っていた。その中、たった一人だけそんな感情が宿っておらず、向けられている人物、セルネが集団に歩み寄っていった。

男達はすぐさま逃げ出したいようで足をプルプルさせていた、どうやら足に力を入れまくっているようだ。それなのに動かないのは、セルネが男達を魔法で動かないように縛っているからだ。見た目は何もなっていないのだが、それもそのはず、セルネが縛っているのは体でなく影なのだから。

「やっ、やめてください!俺達まだ何もやってなかったじゃないですか!」

「そうですよ、それに何も契約違反はしてないでしょ!」

その言葉を皮切りに男達が同調して口々に弁明(べんめい)を求めてきた。

「兄貴、なんか言わないんですか?」

「…………」

男達が言っているなか、主犯格のグレムトが何も弁明をしないのに不思議に思ったグレムトの古くからの友人の男が小声で聞いていた。

「……そんなことできっか、あの嬢ちゃんに迷惑かけといてこれ以上かけれっかよ、それに武人としての最後の誇りは貫きてぇんだ」

「……そっか、なら(くさ)(えん)として付き合ってやるよ」

「すまん」

「いいってことよ」

二人のそんな会話をセルネは静かに聞いていた。

いやこれには語弊(ごへい)がある、正確には会話が聞こえたのでなく、視ていたが正解だ。周りの雑音(ざつおん)(ひど)く二人の会話は聴こえなかったのだが、セルネは読唇術(どくしんじゅつ)を使い、(くちびる)の動きだけで何を喋っているのかわかったのだ。

そしてその会話を知り、自身の仕える人物から与えられていた選択肢を開示することにした。

耳障(みみざわ)りです、黙りなさい」

声を張って言ったわけでもないのに、その声はけたたましく喋っていた男達の心に重く響いた。そのため、辺りは静寂に包まれ、男達の顔色は先程の青を通り越して、真っ青だったり酷いと白に近い青白にまでなっている者までいる。

「これから姫様から、お前達への決定を教える」

誰かの唾を飲み込む音が聞こえた。

「主犯格のグレムト、そしてその隣の男、たしかトットだったか?お前達は罰を受けたて終わり、他のものは()くて奴隷落ち、悪くてここで死んでもらう」

「…………は?」

「なんでグレムトとトットだけ」

「俺達は誘われただけなんだぞ!悪いのは全部グレムトだろうが!」

そうだそうだ!とまた男達が騒ぎだし、怒鳴り散らしだした。今回その標的はセルネだけでなくグレムトとトットにも向かっていた。ひとしきり聞いたセルネは冷たく言い放った。

「姫様は貴様らのようなグズは嫌いなのだ。だがその中に信念を持っている、そういう者は好ましく思っている。そこの二人には信念があり、残りの者にはない、ちがいなどそれだけで十分だ。わかったか?……わからないならそれでいい、売る価値もない」

『…………』

誰も、なにも発することができなかった。男達が理解できたのは、決定が下られたそれだけだった。

「お前達二人は宿に戻れ、追って連絡する。残りの者は……従順だな、ならば奴隷落ちに手続きをする、ついてこい」

先程までの威勢はなんのその、全員が従順に従った。男達が生き残るにはそれしか選択肢がなかったからだ。

グレムトとトットは大通りに戻り、他は路地裏に消えていった。

「そう、なら残りもそっちに任せるわ」

「わかりました姫」

外は屋台や街頭の灯りがあるものの、すでに闇夜に包まれていた。あのあと、四人で屋台を周り楽しい時間をすごした。だけど楽しい時間はあっという間に過ぎていき、夕方クルサが今日は帰ると言うことになったので別荘まで送り、そのあとアルフェーナ達も帰宅したのだ。

夕食も津々がなく終わり、今は就寝前だったときにミーゼとセルネが訪ねてきたので話し合っていた。

先にセルネが昼間の騒動(そうどう)の件を報告してきた。詳しく聞くと、彼らは最近【竜帝】に入ったばかりの新人らしい。あの資料もまだ渡されていなかったので、アルフェーナも知らなかった。

【竜帝】に入ったせいなのか、入る前から横柄(おうへい)だった態度が更に大きくなり、目をつけられていたらしい。だが初期はその傾向があるので、他のメンバーも気にしていなかったらしいが、そのせいであんなことを起こしてしまったので申し訳ないとセルネが謝罪してきた。

本来なら処分するらしいが、あの時おとがめ無しと言われたので殺してはいないらしいが、二人以外奴隷落ちらしい。奴隷落ちでない二人は、以外にもあのグレムトとその友人らしかった。どうやらそこまで根が腐っていないらしく、芯が一本ちゃんとあるらしいと言っていた。

「その二人はどうするの?」

「はいそれなのですが、ここの支部で働いてもらおうかと。どうやら腕には自信がありそうなので」

セルネが嫌らしい笑みを浮かべていたのをアルフェーナは知らないふりをした。続いてミーゼの報告が始まった。そもそもこちらが本題なのだが。

「現在【邪神教】は着々と準備を終えていっております。お嬢様の指示通り、バレず偶然のように尚且(なおか)つこちらがやったのだとわからないように妨害しておりますが、焼け石に水の状態です」

「いいのよそれで……焼け石に水と言っても遅延は起こっている、そうでしょ?時間がどうなのかわからないけど、奴等が時間通り始めるために急ピッチでやれば制圧にすこしの余裕が、万全を期すためにちゃんとやるなら、こっちは戦力の強化ができる。どちらにしても対して変わらないわ」

アルフェーナの物怖じせずしかも勝つことが決まっているような口調にミーゼとセルネは安心の表示を浮かべた。

そしてミーゼが今後の行動方針を聞こうとしたとき、耳につけたイヤリング型通信魔道具から暗号通信で急報(きゅうほう)が届いた。

「お嬢様それではこれ……すこし失礼……はい…はい……なんですって………わかった、あなた達は速やかに退避しなさい」

「……何かあったの?」

どうやら吉報(きっぽう)でなく凶報(きょうほう)らしい報告を受けたミーゼの顔には汗が(にじ)んでいた。アルフェーナからの質問に黙りこんでしまうくらいに。

「…………あっ…すみませんお嬢様!すこし動揺してしまい」

「いいから報告しなさい」

「はい、王都外部の張り込みをしていた部下からだったのですが、以前報告した【邪神教】の聖女が王都に入国したと」

「!!?!まさか!グラビトン領からここまで馬車をとばしても数日はかかるはず!いったいどうやって!」

普段声を荒げないセルネが忍んで来ていることを忘れて大声で捲し立てながら聞いていた。

「わからないわ、現れたときは徒歩だったらしいの。辺りにも馬車らしきものはなかったらしいわ」

「そう……か……」

余程計算外だったのだろう、セルネは顔を強張らせて考え込んだ。確かにセルネの不安は最もだった。

【邪神教】の聖女は現在の【竜帝】幹部では太刀打ちすることが出来ない相手であり、対等な相手もまた現在アルフェーナを除いて他にいなかった。だがここでアルフェーナを聖女に対する戦力として投下してしまうと、これまでの計画を大幅に変更しなければならないからだ。

これによりかなり難題になってしまうかと思われたが、アルフェーナの一言でまたも計画は修正される。

「聖女に関しては私が対抗するわ。他に危険なところは……クルサ……フェンデーラ伯爵の娘、私と同等だから、うまく誘導して対応させればなんとかならないかしら?」

「姫様と同等……少々お待ちを……」

セルネは顎に手をやり、ぶつぶつと言いながら思考し始めた。

「お嬢様、なぜそこまで信じられるのですか?例え戦ったことがあり、最近出来た友人であるらしいですが、このような重要なことを任せるほど信頼するのは……」

「あらミーゼ、私はクルサのこと信頼はしてないわよ?」

「え?ですが……」

「信頼でなく、信用しているのです。クルサの力量を」

ミーゼはそれでもわからないといった感じに首をかしげた。信頼と信用、言葉の意味がわからなかったようだ。それはアルフェーナも同じらしく、説明しようとして説明できずに首を傾げた。そうこうしていると、思考中だったセルネが顔を上げた。

「姫様がおっしゃった考えならばなんとかなるかもしれません。これから大まかにどうするか考えようと思いますが、それはまた後日報国に……」

「それは報告しなくていいわ。今後私に届けるのは聖女についての情報を最優先とします。というか明日でしょ?報告で時間は喰いたくないわ」

「「わかりました」」

「ならよし、では今度はこれが終わったら来なさい。では、解散」

そういうとセルネとミーゼは闇夜に消えていった。残されたアルフェーナは明日ぶつかる聖女に期待を込め、必要になる魔道具の手入れに移った。

「くそっ!こんな大事なときに起きる些細な遅延事件が鬱陶(うっとお)しい、それがなければ期間を越えることはなかったものを!」

「貴殿もか、実は私のほうの工作員達にも起きているらしい」

「家は輸送中だった贄の馬車が盗賊に襲われたようで……ですが積み荷が遅くなり……」

王都の真夜中、貴族御用達(ごようたし)のサロンにて、数人の男達が口々に愚痴を吐いていた。彼等の胸元には六対の翼と漆黒の剣が描かれたペンダントや、刺繍、バッチが付けられていた。彼等は……

「まるで我等【邪神教】の妨害を目論む者が行っているように見えるな」

上座に座っていた老齢の男が鋭い目で目の前の男達の愚痴を聞き、彼等に聞こえないように呟いた。老人の考えは的を射ていたが確証に持っていくには判断がつきにくかった。なぜならアルフェーナ達が行っている妨害は、普段にも起きうるようなありふれたことだったからだ。立て続けに起きれば不思議に思うかもしれないが、この時期に多発する妨害を行い、同一組織が行っているとバレないように、手を変え品を変えていたので彼等はも老人も判断をつけられなかったのだ。

「静粛してください皆様」

謙遜(けんそん)のなかその声は妙に全員の耳に入ってきた。声がしたほうを振り向くとそこには黒いマント付きのフードを被っているものの、それだけでは隠すことが出来ない抜群のプロポーション、見るものを魅力する雰囲気が醸し出される美女が立っていた。

「あなた様は!」

老人がいきなり大声をあげたことに男達が驚くなか、老人は美女の元に走り(ひざまず)いた。この中で一番上の階級の人物がそのようなことをしていることに更に衝撃が走っている、

「お久しぶりです、トゥーラ侯爵」

「こちらこそ、お迎えに上がることができず申し訳ありません、聖女様」

『!!?!』

老人、トゥーラ侯爵の発言にやり追い討ちをかけるように衝撃が走った。それにより男達は呆け、固まってしまった。

「貴様ら何をしている!聖女様がお見えなのだぞ、早く跪かぬか!」

『!は、はっ!』

トゥーラ侯爵の叱責でようやく正気に戻った男達はすぐさまトゥーラ侯爵の背後に行き、同じく跪いた。

「すみませぬ聖女様、この者達は聖女様を謁見してことがなく、お姿を知りませんでした、私の責任、処罰はなんなりと」

「よいのですトゥーラ侯爵、私も邪神様めあなた方を許しましょう。誰しも間違いはあるのですから」

「ありがたき幸せ」

トゥーラ侯爵はもう一度深々と頭を下げ、後ろからは安堵の息がもれていた。すると、後ろにいた男の一人が疑問を投げかけた。

「聖女様、あなた様は遠く、グラビトン領にいたと聞いていたのですが、いつの間ここに来ていたのですか?」

「これ貴様!聖女様に何を聞いて……!」

トゥーラ侯爵が男を叱責しようとしてとき、聖女がそれを静止した。

「よいのですトゥーラ侯爵、疑問は皆様同じはずですから。私は転移の魔道具を所持しているのです。なのでそれを使いここまで来たのです」

男達が感嘆の声をあげた。なぜなら、魔道具しかも転移となるとかなり希少な分類にあり、世界でも数点しか発見及び制作されていないと言われていたからだ。

「この話はここまでにいたしましょ。私がここに来た目的、我等が宿願邪神様の復活のために儀式、『邪神様の右腕の召喚』の進捗(しんちょく)状況の確認と、当日の補佐に参ったのですから」

「おぉ!聖女様が補佐していただけるのですから、これは成功したも同然ですな!」

「うふふっ、ありがとうございます」

聖女が微笑むとそれまで黙っていた男達が、いいとこを見せようとして口々に自身の成果を発表していった。男達の眼はトゥーラ侯爵とは違い情欲が現れまくっていた。普段ならばあり得ないのだが、我等はどうしてもこの聖女が欲しい、そう思わずにはいられなくなっていた。

それが聖女の魔性であり、邪神の聖女としての能力だった。

「まさに悪女、いや魔女か。私も惑わさん用にせねばな」

トゥーラ侯爵は誰にも聞こえないように呟いた。トゥーラ侯爵はこの中で唯一聖女の能力に対抗できる者だった。だがそれはトゥーラ侯爵が【邪神教】内部でかなり高位の地位にいるからこそであり、その対抗手段も聖女の気分次第でいつでも失くされる物だった。

「うふふっ、皆様素晴らしい成果です!どれもこれも邪神様に喜んでもらえるでしょう。私も嬉しいです。すこしばかり遅れてもなにも問題ありません。明日はとても大切な日、皆様頑張りましょう」

『はっ!』

「うふふっ、うふふふふ!あはははははははははは!」

全員の力強い答えに聖女は微笑み笑った。

次回、本戦再開

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