初めての友達
文字数少ないです
「ちょっと早く説明しなさいよ。あんたってほんとに」
「えぇ、貴女と同じ転生者、地球のしかも日本人なんて、どんな必然よ」
「はぁ~ヤッバ。それで」
「こちらとそちらの情報交換しましょ?」
「……なるほど了解したわ」
今日の武闘大会が終了してすぐ、アルフェーナとクルサは会場の脇にある小部屋でサシで話し合っていた。
「まずこちらから。私の本名はアルフェーナ・フィン・グラビトン、グラビトン公爵家長女よ、よろしく」
「グラビトン公爵家の長女?それってたしか……あぁ次はアタシか。アタシはクルサ・セル・ファンデーラ、ファンデーラ伯爵家次女よ、こちらこそよろしく悪役令嬢様?」
「悪役令嬢?」
クルサの言葉にアルフェーナが首を傾げた。訳がわからなかったからだ。
「あら?知らないのというかやったことないのかなゲームとか」
「それはあるけど、最近というか転生する前はめっきりやっていなかったから」
「勿体ないあんな名作やってないなんて」
アルフェーナはクルサから説明された。
恋愛育成RPGゲーム――――エルザエンブレム
魔法と剣の世界を魔王から守り、数々の難解を解き世界平和と恋愛成就を達成させるものらしい。
ゲーム発売当初からマニアの間では人気があり、SNSで更に人気が上がった話題作らしい。だがアルフェーナの前世、加藤咲苗の死亡の一年前に発売されていたのだが、当日咲苗はプロジェクトを任されていたのでニュースを見ることもなく、SNSもほぼほぼ見ていなかったので知らなかったのだ。
そしてそれに出てくる主人公の恋愛の嫌がらせをするのが、ゲーム版アルフェーナなのだという。なんでも主人公の恋愛対象の一人にアルフェーナが好きになった男性が含まれていたらしい。最終的にゲーム版アルフェーナは死刑か国外追放にされるらしい。
「私そんな心小さくないし、そんな風になるつもりもないし」
「えぇ~、やっぱりゲームみたくなんないのか残念、横から見て爆笑しようと思ったのに」
「笑えないわよ、それで、そのゲームはいつぐらいからのことをやっているの?」
「いつぐらい?…………あぁそゆこと、確か高校位のはずだから17、18のどちらかだったはずよ。まだまだ先だから大丈夫だって」
「…………でもあと数年で魔王が現れるんでしょ?ならやることはたくさんありそうね」
「ふふ~ん、気が合うじゃん。私も魔王打倒のためこうして今から最強目指してんのよ」
どうやらクルサの狙いは魔王の単独討伐らしい。アルフェーナは直感で名声や賞金が欲しいわけでないと思った、先程の激闘時に言っていた言葉、
(多分クルサは自分と同格か倒してくれる者を求めて魔王を目指しているのかしら?何となくだけどあってそうね……でも一応)
「魔王の討伐って、負けたいから?」
「あら!わかってるじゃない!名声、賞金なんてどうでもいいわ、アタシはただ魔王と闘ってみたいだけなんだから、まぁ最後に勝つのはアタシだけど」
なにやら聞きようによってはまだアルフェーナに負けてないと言っているように聞こえる。
「それで?何か対策とかあるのかしら、あと魔王までどうやっていくかも」
「そ……それは後々」
アルフェーナの問いかけにクルサはしどろもどろになっていた。分かりやすい性格である。
「はぁ~なんなら手伝うわよ。格安で」
「お金取るの!」
「当然よ。ギブアンドテイク、持ちつ持たれつの関係って言うでしょ?」
「ははっなによそれ」
それからも二人は相手が出した情報と同価値だと思う情報のやり取りを続けた。夕方少し前からの話し合いが、気づけば夕陽が沈みかけるまで続いた。
「最後に、私が悪役令嬢みたいになるかしら」
「わからないわよそんなの」
クルサは即答だった。それにアルフェーナは驚いた。
「こんな少しの間しか話してないけど、アタシ的に貴女はそんなことしないって思っているからでいい?」
「……ありがと、それと勇者召喚とかはあるのか?」
「確かなかったはずよ」
「わかったわ。それと最後に………友達になってください」
「……………………いまさら?というかそれいる?」
クルサが呆れたように呟いた。
「私はこういうのはちゃんと言っておきたい派なのよ」
「こんだけ話したらアタシ的にもう友達だと思っているんだけど」
「世の中貴女みたいに楽観的な人ばかりじゃないの」
それからの会話はただの雑談だった。クルサもアルフェーナも転生後に出来た初めての友達なのだ。時間も忘れ話し込んだ。話し込んでしまったのだ、時間も忘れて。
「それでね…………やばっ」
「どうしたのよヤバい……て…………あっ」
二人は慌てて外に出た。外は屋台や街頭で明るかったが、そこ以外は暗闇になっていた。自分達も悪かったのだが場所も悪かったのだ。人目につかないところで小部屋で、窓もあるがカーテンを閉めていた。一度確認した時で夕陽が沈みかけていたのだ。それから話していた、ということはすでにもう夕陽が沈んでいるとわかるものだが、部屋は照明で明るくしていたのでわからなかったのだ。
「クルサって待ち合わせとかあった」
「あると思う?アタシに。親にすら放任やら距離置かれているから大丈夫だけど…………アル、貴女は」
「今からだと……ギリね。ついでにクルサも来なさい、お父様とアゾルカ様に紹介するわ」
「えっ!それって……待ってまだ私達そんななかじゃ……でも貴女がどうしてもっていうな……」
「なにしてんのよ。コネ作ると思って遊びに来なさい。付いてこれなかったら置き去りにするから」
「ちょっと待って!置いてかないでよアル!」
アルフェーナとクルサ身体強化を施し、屋根を跳びながらチェザーレとアゾルカが待つ別荘に向かった。でも二人の顔には焦る状況であったが、笑みが浮かんでいた。どんなことであれ、友達と焦りながら目的地に向かうというのはなぜか楽しいものなのだった。
次回もよろしく~




