26.第一の祠 ③
「色が……変わった!?」
試練の魔物は円柱状のまま、形を変える事無く真紅に染め上がる。
しかし、色が変わってから特別な動きは見られない。
「アザミさん! 触手が切断できるようになりました!」
彼の方を見れば、足元に短くなった触手が何本も転がっている。
「ああもう次から次へと!」
今のところ脅威度の変動はない。
発射される魔法の精度や触手のスピードにも変化はない。
これは試練。きっとなにか理由があるはず。
「ユリ、一応防御おねがい」
「はい!」
「気持ち頑丈でよろしく――ファイアーボール!」
火球を呼び出し、魔物に向かって発射する。
触手はユウジを相手し、魔法はクールタイムの最中。阻むものはない。
なにも起こってなければ無効化される。
何かが起こっていれば何かが起こる!
火球は接近し、寸前で無効化される――しかし。
「やべ!」
火球は魔物の目の前で消失したが、私が呼び出した火球と同じ物が出現してこちらに飛んでくる。
「お姉さま!」
わずかな水蒸気を発生させ、火球は消失する。
「ありがとうユリ! だけどあれは……」
私は魔眼ではっきりと敵を捉えていた。しかし、飛んで来たファイアーボールを予想できていなかった。なぜなら敵のオーラに魔法特有の揺らぎがなかったからだ。見えたのは奇妙な動き。突然大きくなって、瞬間的に消える。通常のオーラの動きでは決してない。
魔眼抜きの光景であれば、私の放った火球は対象に到達する瞬間に消え、消えたと思った直後に方向を変えてこっちに飛んで来た。しかも私が放ったのと同じ速度、同じ威力で。
「もしかしてさぁ……色が変わるとパワーアップして魔法を跳ね返すようになるとか言っちゃう感じ?」
苦虫を噛みつぶしたような顔で聞いてみる。
「……」
真っ赤なお相手は口下手なご様子で。それが答えだといばかりに魔法が飛んでくる。
今回はハッキリとオーラが揺らいだ。しかし、放たれたのは氷牙ではなく火球だった。
しかも反射で受けた火球よりも速く強い。
「大丈夫ですか!?」
痺れを切らしたのか、はたまた身を案じたのか彼は顔を覗かせる。
「あんなへっぽこ魔法でケガなんてしないわよ! それよりも旅行のお土産みたいなやつに一太刀ぐらい浴びせてみなさいよ!」
「とは言いますけど、こっちはこっちで本数が多い上に、触手が再生するスピードが速くて大変なんですよ!」
気付けば、彼の足元には切り落とした赤い触手が多く転がっている。足場が着々と悪くなっているのにも関わらず、ユウジはさらなる触手を切断し、冷静に攻撃をかわしていく。
しかし、彼の足は前には進まない。
形勢は徐々に不利になっていく。
魔法が効かず、無尽蔵にも思える触手、しまいには定期的に魔法を繰り出す。
決定打を見いだせないまま、持久戦に持ち込むのはどうしても避けたい。
ユウジの動きは若干の鈍りを見せ、ユリの額には汗がにじむ。
「お姉さま、行ってください」
「ユリ?」
「自分の身は自分で守ります。だから行ってください!」
「でも……」
その考えは私にもあった。
今の私達にはあの試練に対する試行回数が足りていない。
本当に魔法は効かないのか、色が変わった途端に切断できるようになったのは何故なのか。
これを確かめるには慎重に動きつつ、一回一回を考えながらする必要がある。これでは私の魔力量を調整できても、ユウジの体力とユリの持続的な集中力に不安がある。
かと言ってユリのそばを離れ、私が飛び出したところでユリの安全性にも不安がある。
「お姉さま!」
ユリの瞳は真っ直ぐにこちらへ向き、なぜだか頼もしく思えた。
「――行ってくる!」
彼女から視線を外したのと同時に、私は駆け出す。
射程距離に入ったのか、触手はユウジだけでなく私にも向かうようになった。
「おい脳金馬鹿!」
「その呼び方やめてくださいよ!」
ユウジは眉を下げて抗議する。
「プランあたしり! 覚えてる!?」
蛇行しながら迫る触手を慣れた足さばきでかわしていく。
「プラン頭隠して尻隠さずですか!? ふつーに壁になれっていってくださいよ!」
討伐隊で多く用いたプラン。たまらず私の頬は上がってしまう。
「さあ……ここからよ!」
エタ。
ストーリーが糞。
展開の緩急がキツイ。
女主人公は難しい。
シスコンは簡単に手を出していいものじゃない。
最初らへんの魔法を練習する話って必要か?
次は反省点を活かして書く。
また来年の夏からセミのように投稿するとおもう。




