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ラグナレク・レギオンズ  作者: 北都 流
8章 隣人
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黒神

 町の外へと飛び出した化け物目掛けて、追撃の一撃を放とうとしたロギル。


 しかしその瞬間、化け物の腕が変化してその形を変える。


「なっ!?」


 その形は銃。黒い銃が、そのまま化け物の腕に形成され、ロギル目掛けて放たれた。


「ちっ!!」


 その銃弾は、巨大な黒い狼の頭を形作ると、口から紫の光線を放つ。その光線をなんとか身を捩ってロギルは躱したが、空の雨雲が切り裂かれた。


「ふっ、素晴らしい」


 未だ空中を飛んでいる化け物が呟く。そして地面に着地すると、ロギルを見て笑みを浮かべた。


「くそ!!」


 ロギルが今一度レヴィアタンの頭から熱線を放とうとするが、敵の銃弾が射出される速度の方が早い。


 無数に形成される黒き狼の頭。その光線の弾幕の中を、ロギルは、なんとか避けながら敵へと近づく。


 猛攻をかいくぐりロギルが化け物を攻撃しようとした瞬間、ロギルの腹に化け物の拳がぶつかっていた。


「やっと、捉えられたな」


「グホッ!!」


 一撃、たった一撃でロギルは血を吐き出す。そして、その衝撃のまま後方へと吹き飛ばされた。


 そのまま追撃の銃弾が放たれる。避けるすべもなくロギルに光線が当たろうとした直前、ロギルがソフィーの翼を使い、強引に飛行して無理やり光線を避けた。


「ほ~~」


「ぺっ」


 血を吐いて、化け物をロギルは睨みつける。そして態勢を整えると、再び化け物目掛けて突進した。


「まだ分からないのか、絶望的な状況が?」


 ロギル目掛けて通常の銃弾が放たれる。


 小さな銃弾が連続して放たれる中、それを迷いなくロギルは、ソフィーの尻尾を部分召喚して弾く。そして再び化け物へと再接近した瞬間、またロギルの捉えることの出来ないスピードで化け物の伸ばした指先が放たれていた。


 知覚することも出来ぬまま、ロギルの心臓は貫かれる。そのはずだった。


 だが、その瞬間ロギルの姿が淡く光って消えた。


「なに?」


 その言葉の響きの後、すぐにロギルが光を纏って化け物の背後に現れる。そして、ソフィーの尻尾を化け物の首に巻き付けると力に任せて引っ張り、地面へと叩きつけた。


「無駄なことを!!」


「どうかな?」


 ロギルが飛び退く、するとその背後から緑の光の矢が飛んで来て化け物へと突き刺さった。


「それがどうした!!」


 しかし、無傷。ロギルを攻撃しようと化け物が距離を詰めるが、ロギルが飛び退く。その化け物が飛び込んだ空間目掛けて、新たな緑の光の矢が飛んで来ていた。


「鬱陶しい」


「なら、本気を見せてやる」


 アマナの髪が大きく輝く、そして、その光が顔を通り、腕を伝い、一本の矢へと集まった。


「100%だ」


 離れた街の建物の上で、アマナが細い一本の矢を放つ。そのあまりにも儚い光の矢は、アマナが放った瞬間、その空間から消えた。


「ん?」


 緑の波紋が、化け物の胸に現れる。そして、その体がいきなり巨大な衝撃を受けて吹き飛ばされた。


「グッ!?」


 腕で衝撃を起こした本体を掴み、投げ捨てようと化け物はするが、そのあまりの威力に矢のようなそれを掴めない。


「穿て」


 更に衝撃が膨れ上がる。そして、化け物の肉体を僅かに削った。


「……な、何だと!?」


「くっ、どんだけ硬いんだよ!!」


 アマナは、その場に緑の炎を失って座り込む。だが、すぐに体を引きずりながら歩き始めた。


「この体に傷をつけるとは!?」


「お前も無敵では無いということだ」


 アマナの攻撃により、分からない程の距離を一瞬で移動した化け物の背後にロギルは居た。


 その声に、驚きながらも化け物は、ロギルへと銃になった腕を向ける。だが、一瞬の判断の遅れによりロギルの攻撃が先に刺さった。


「グアッ!!」


 それは、先程のアマナの一撃に比べれば何ということもない一撃であった。


 しかし、その攻撃で化け物は、大きな水の塊。湖へと叩き落とされた。


 化け物を追ってロギルが湖に飛び込む。


 そして、命をかけてロギルは召喚を行使した。


 水の中、すぐに藻掻いて化け物は浮上しようとする。しかし、その体が巨大な何かに掴まれた。


 それは、巨大な竜の尻尾であった。それが絡みつき、化け物の動きを封じている。


(い、息が!!)


 浮上することも出来ず、化け物は暴れる。その体から酸素がなくなり、その生命活動が止まろうとしてたい。


 だが、化け物はその瞬間笑うと、銃を自分の口の中に突っ込んで銃の中身をぶち撒けた。


「!?」


 膨れ上がる。


 化け物の肉体が膨張していく。その異常な肥大化に、レヴィアタンは抑えることが出来ず押しのけられていった。


 レヴィアタンの肉体が光の粒子となって消えていく。そしてその光の中からロギルが現れ翼を使い、湖を脱出した。


 その後、ロギルを追うように巨大な黒い竜、いや、人の形をした化け物が現れた。


 化け物は、湖を抜け出すと咆哮を上げる。そして何かを、口から吸い込み始めた。


「あやつ、魔力を」


「吸っているって言うんですか!?」


 フラつきながらロギルは、空を滑空する。


 その姿を、化け物は捉えるとその口から、周囲全てを焼き尽くす光を吐いた。


 一瞬の間、その光の中ですべての景色が一変した。存在していた泉も、木すら消えた。


 周囲には、結晶化した鉱石と、焼けただれた大地だけが広がっていた。


「あんな力を」


「有り得んな」


「先生が居なければ死んでいました」


「いえ、まだ終わっていません。礼は早いですよ」


 転移魔法。それを使えるダンタリオン。その使用には、転移する場所に魔力でマークを付けておく必要がある。それを使用し、ロギルは長距離を移動しあの一瞬で脱出していた。


 この戦法を使い、ロギルはレヴィアタンを倒した。だがあの時は、ナーガの毒がレヴィアタンには有効であった。


 しかし、あの化け物にはそれが通じない。


 ロギルには、思いつく突破口が一つしかなかった。


「奴の口の中でナーガの毒を使う。それしか無い」


「それは、死する最後の覚悟の元するべきことじゃぞ」


「ちょっと賭けが悪いと私は思うな」


「まだ、出来ることがありますよ。ロギル様」


「先生、それは一体?」


「簡単なことですよ。頼れる者を全て頼る。当たり前のことです」


 そう言って、ダンタリオンは笑った。


 


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