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ラグナレク・レギオンズ  作者: 北都 流
7章 知識
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魔界

「あ~~、参考までに聞かせて欲しいのだけど、それってどういう魔獣?」


「色々と居る。疫病を振りまく魔獣。地を統べる魔獣。一面を焼け野原へと存在するだけで変える魔獣など。その種類は、様々だ。神が作ったと明言した魔獣も存在するが、そのどれが連中の狙いかは、分からない。ただ、疫病の魔獣であれば直ぐにこちらにも厄災が降りかかってくるだろう」


「聞いただけで頭を抱えそうな魔獣ね」


「奴の力には、薬など用意している暇がない。屍を積み重ねて勝利を得たあとにことを収めるしか手立てがないのだ。また、魔界全土に何も存在し得ない地域が増える事になるだろう。そして、ここにもな」


「それよ。なんでこの私達の世界が関係してくるわけ?貴方達の世界にそれはいるのでしょう?」


「知らないのか?かつては、私達の世界も多くの隣り合う世界と繋がっていた。しかし、度重なる戦いの爪痕によっていくつかの世界とは、既に私達の世界は、全く繋がらなくなってしまった。魔力が存在する量の少ない世界ほど特にな。それに比べてここは、とても近い地域にある。そして、魔獣が好む魔力も豊富にあるわけだ。魔界が焼け野原になったあと、連中がこちらに来るというのは、とても自然な考えだ」


「餌場として絶好ということね」


「そうだ」


 リオーシュは、自身の髪を撫でる。 


「そちらの事だから、私達が手を出すというのはおかしいのでしょう」


「そうだな。我々には、魔界を守るために666の軍団がいる。そのどれもが他者からの介入は受け付けないだろう。しかし、私は君達が彼らと同じような力を持っていることを知っている。そして、私は無闇に自分の部下を死なせるのが嫌いだ」


「あなた自身は、協力者を欲していると?」


「そうなるな」


 そう言ってサブノックは、ロギルを見つめた。


「校長、急な主張になりそうですが、よろしいですか?」


 ロギルがそういう。


「待って。ロギル先生。知り合いかもしれないけど、この方は魔獣よ。そんな簡単に信頼できるものなの?」


「ええ。魔界には、一度行ってこともありますので」


 そう言ってロギルは、ソフィーを見つめる。


 二人を見てリオーシュは、腕を組んで頭を悩ませた。


「……三日。三日間だけでいいかしら?」


「十分だ。感謝する」


 そう言うとサブノックは、ロギルに向き直った。 


「ダンタリオン殿、貴方の力も必要だ。働いてもらうぞ」


「……隠居した者を頼るのは、やめていただきたい」


 何処からともなく声がする。


「魔獣の中では、俺も貴方も若い世代であろうに、もう隠居気分か?いささか早い気がするが」


「貴方こそ、化けるのは老けた人間の姿ではありませんか。私と気持ちは同じでしょうに」


「こちらのほうがしっくりくるのだ。仕方あるまい」


 そう言ってサブノックは、笑う。


「さて、ロギル殿。もう一度お越し願えるか。我が城へ」


「ええ。それが、この街のためになるのなら」


「おいおいおい、一人で行かせる気かよ?」


 そうノーマンが言う。それに対してアマナが椅子から立ち上がり、サシャがロギルの腕を握った。


「どう思う、ロギル先生?同行者はいる?」


 そういうリオーシュに対してロギルは、首を横に振った。


「いえ、皆には、この学校を見ていてもらいたい。そう思うので大丈夫です。それに」


「それに?」


「あちらでは、少し暴力的に過ごす事になる。それを、皆にはして欲しくない」


 何でもない顔をして、ロギルはそう言った。


 その顔を眺めた後、リオーシュは決断を下す。


「では、ロギル先生のみ出張3日間ということで決定。ただし、危なくなったら至急帰還すること。分かったわね?」


「ああ」


「それじゃあ、休み明け前だけど頼んだわよ、ロギル先生。別途であとで休暇は約束するわ」


「助かる」


 その後、部屋に戻って身支度を済ませると、仲間との軽い挨拶を済ませてロギルは、サブノックと共に中庭へと出た。


「お土産、期待しているぞ」


「お前な、魔界の土産ってなんだよ。やばいもんだろそれ」


「ロギル、気をつけてね」


 リオーシュ達が見届ける中、サブノックが魔法陣を展開して別世界への扉を開く。


「ほう、面白いですね」


 それを興味深げにレシアは見ていた。


「行ってくる」


「気をつけるのよ」


 リオーシュの言葉に手を振って答えると、ロギルとサブノックは、魔力でできた通路へとその足を進め違う世界へと移動を始めた。


 少し進むと、通路の奥に景色が見えてくる。


 それは、ロギルが修行時代に何度となく見た景色であった。


「ようこそ。我が城へ」


 サブノックがそう言って前へと進んでいく。


 そこには、巨大な石で作られた立派な要塞が存在していた。


 その要塞の入口の門目掛けてロギルとサブノックは、歩いていく。


「ロギル様、これを」


 どこからともなく声が響くと、ロギルの目の前に一つの仮面が落ちてきた。


「ありがとう、先生」


 ロギルは、その仮面を身に付ける。


 すると、要塞の方から誰かが走ってきているのが見えた。


「軍団長殿!!!!」


 その兵士は、顔が豹の頭をしていた。しかし、体の体型は人間と変わらず、二本足でこちらへと走ってきている。


 その速さは、凄まじく。明らかに人間では出せない速度でその兵士は、こちらへと近づいてきた。


「どうした?」


「はっ!!布陣先より、軍団長殿が消えたとのお話が!!」


「敵の攻撃が思った以上に激しくてな。一時避難をしていた。後に残した者たちは、無事であったか?」


「はい!!軍団長殿の指示のもと、詰めすぎず遠距離からの攻勢によって賊共を、見事撃退に成功したと伺っています」


「そうか。逃したか」


 サブノックは、顎に手を当てて暫し考える。


「足を用意しろ。中央に行く」


「はっ!!中央でございますか!?」


「そうだ。今回の件の説明を中央にて審議にかける。いくつの軍団を動かすのか、とな」


「承知致しました!!直ぐにご用意いたします!!」


 そう言うと、豹顔の兵士は城へと駆けていった。


「向こうは少数のようだが、そうも言っていられない。万が一があってはいけないからな」


「それでいいと思います」


 歩きながら、ロギル達は会話する。すると、程なくして城の門があき、その門から巨大な馬車が姿を現した。


 その馬車は、鉄で出来ていて巨大な馬のような生物4頭に引かれている。


 馬車は、ロギル達の目の前まで驚くべき速度で移動してくると、その目の前で止まった。


「軍団長殿、編成を終えて我ら一同、参上致しました」


「うむ。今回の敵のアドバイザーとしてロギル殿を特別にお招きした。失礼のないようにしろ」


「はっ!!」


 サブノックと一緒にロギルは、鉄の馬車へと乗り込む。そこでロギルは、サブノックに対して立ち上がって剣を構えて礼をする多くの騎士達の姿を目にした。


「出陣する」


 サブノックの声に、馬車が動き出す。


 ロギルは、サブノックと共に移動し、サブノックの腰を下ろした隣の位置へと座った。


「誰ですか、あれ?」


「新入り、お前は知らないのか?」


「俺達を相手に一人で大立ち回りをしたってバカの話、聞いたことくらいあるだろ?」


「サブノック様を含め、軍団全てを一人で相手にしたって話ですか?それは、聞きましたけど。嘘ですよね?」


「あそこに居る奴が本人だ」


「確かめてみるか?」


 兵士たちの話に、ロギルが割って入ってそういう。


 仮面の下で兵士を睨みつけながら、ロギルはそういった。


「いえ、遠慮しておきます!!」


「そうか」


 新人の騎士が首を横に振る。その姿を見て、ロギルは興味を無くしたように視線を逸らした。


 魔界では、どのような時でも力が重要視される。


 その為、何かを成そうとするのなら自身の力を誇示し、見せつける必要があった。


 それを、ロギルは以前の経験から知っていた。


 故に、ロギルはここでは、力を使うことを躊躇しない。


 その行動が人間社会においては、暴力的であったとしても。


「それでいい」


 ロギルの行動にサブノックは、一人そう呟いた。







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