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ラグナレク・レギオンズ  作者: 北都 流
6章 混沌
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生贄

 魔力。


 それは、空間の全ての領域に存在する通常の物質とは異なる物であると言われている。


 その基本的な形態は、気体であると推測され。自然界に存在する全ての物質の代わりとなり、また自然界に存在しない物質すら作ることを可能とすると言われている。


 一般的に人が使う魔法とは、自身の内に溜まった魔力を用いて行使されることが多い。


 これは、生物学的に内に取り込む過程で何らかの処理が人体から成され、扱いやすく魔力を変えられているといった考察が近年では、考えられているがその過程が詳細には今の魔学では、説明されていない。


 しかし、単独で魔法を行使する場合、魔石を扱うよりもはるかに自然に体内に溜まった魔力を扱って魔法を使うことが楽であるために、この意見に異論を唱える者はいなかった。


 だが、近年では魔力を大量に使い文明の高度化、発展を目的とした魔力の使用用途が増えてきた。


 これは、明らかに自身のうちに自然に溜まっていく魔力だけでは、大規模生産に結びつかず。いくら便利な物が生産出来たとしてもそれは、一般家庭まで普及させる生産数には到達し得ない。


 その為、魔学という分野では、日々大量に魔力を使って生産を行うにはどうするべきかが話し合われてきた。


 魔力は、ありとあらゆる事を可能とする。その力を、生活の発展のために役立てないのは余りにも勿体無い。


 その理念のもと、研究が進められ魔法陣という魔力制御を可能とする陣を構築することが現在の魔学では主流となってきた。


 一度陣の構築を完了してしまえば、生産は自動。魔力の続く限り行われる。


 その圧倒的な便利さに魔学者達は、産業の時代が入れ替わるのを確信した。


 そして、王国は発展の歴史を歩み始める。


 魔学と共に。


 しかし、この生産には必要なものがあった。


 魔石である。


 魔力を大量に蓄える性質を持つ魔石から魔法陣によって魔力を取り出し魔法を行使する。


 それが魔学者達の今現在出した結論であった。


 しかし、魔力は空間のありとあらゆる場所に存在している。


 ならば、それを用いれば一生生産を続けることが可能なのではないか。


 と、誰もが思ったがその革命的な方法は、未だ確立されていない。


 魔石、体内に存在する魔力。それらはどうやら、人間が魔法を行使しやすいように形をある程度替えられた状態であるらしいということが近年では考えられている。


 その形に変換する手段が、今の人類の魔学には存在していない。


 故に、無限に製品を大量生産するということは、現代においても不可能であると結論づけられている。


 だが、魔学の発展によって空気中に存在する魔力を測ることが現代では可能となった。


 それにより、空気中の魔力を消費する方法も魔学の中には伝わっている。


 どうやら空気中の魔力は、魔法を行使した際に魔力がその場に定着せず行使され続けている状態で存在していると空気中の魔力は、僅かながらに消費されて行き魔法の状態を保たせようとする特性があるらしい。


 つまり物質を固定して生み出す魔法ではなく、エネルギーに変えて放出するタイプの魔法を長時間持続して行おうとした時により空気中の魔力は消耗される。


 故に、空気中の魔力を最も多く消耗するために何をすれば良いのか。


 そう、エネルギー放出系魔法による空間の占有。つまり、早い話が力押しである。


「フュージョンバレット」


 その言葉と共に、リオーシュが銃のシリンダーを回転させる。


「フレア、フレア、フレア、フレア、フレア、フレア」


 シリンダーが回転する最中、リオーシュの魔力によってシリンダー内に赤い弾丸が創造されていった。


 その弾丸が、回転に合わせて今、一つの弾丸へと重なり発射口へと到達する。



「火の煌めきよ、遥かなる天より来たりて邪悪を滅せよ!!ソーラードラゴン!!」


 トリガーを、リオーシュが引く。その瞬間、銃口から太陽のような光を纏う赤く煌めく龍が出現した。


「今日は、大盤振る舞いよ」


 更に銃を、リオーシュは構え直す。



「遥かなる風よ。大気を揺らし、巨悪を滅せ。現れろ、ストームドラゴン!!!!」


 シリンダーを再び回転させてリオーシュが叫ぶ。回転が止まってトリガーが引かれると、緑色の巨大な龍が放たれた弾丸から出現した。


「下がって、皆!!」


「おっ?」


「飛びのけ、ノーマン、レドリア!!」


 二匹の龍が触手目掛けて突進する。


 その光景を見て、ノーマンとレドリアは、全力で遠くへと離れていった。


「あっ、なんだ?」


「全て、燃えろ」


 二匹の龍が重なって一つの龍となる。その瞬間、触手の存在していた空間一区画を丸ごと包むように周囲の大気中がいきなり燃え始めた。


「ぎゃああああああああああああ!!!!」


 触手から悲鳴が上がる。


 周りの大気を振動させて火を防ごうとしているようだが、全身をカバーしきれていない。


 既に火は、触手の内部に入り込みその体を焦がし始めている。


 その火も、振動によって消すことが可能ではあるが、どこかを消そうとすれば防御がおろそかになり別の場所が燃え始めるといった事態に触手は陥っていた。


「あっさり決着がつきそうね。良かったわ」


 そう言ってリオーシュは、銃口の先端を吹いてから懐にしまう。


 その時、空間の炎の中から、紫の光が溢れて周囲に広がり始めた。


「ここに来て更に召喚魔法ですか。ですが、戦闘によって相手は余り魔力を保有していない状態のはず。大したものは、出てこないでしょう」


 そうレシアは言うが。内部から広がる光は、どんどんと大きくなっていく。


「下がるわよ」


 事態に違和感を感じたリオーシュは、後退を宣言するとそれに伴って全員が触手と更に距離をとった。


 その瞬間、空を飛んでいたロギル目掛けて、巨大な黒い手のようなものが伸びて来て捕まえようと迫る。 


「おっと!?」


 風を切って飛び、なんとか腕をロギルは回避した。


 しかし、腕は辺りを探るように周囲をぐるっと回ると地面に手をついて何か力を入れるような仕草を始める。


 その時、空間を包んでいた火の空間が晴れて黒い霧のようなものが周囲に溢れ始めた。


「あれを吸うな!!出てこようとしている!!手を狙え!!」


 リオーシュが、そう言って銃で巨大な手を狙って撃った。


 しかし、手は銃弾を受けても微動だにしない。


「なにあれ、やばいんだけど!?」


「明らかに奴の保有していた魔力で足りる相手ではないですね。これは、邪道を使ったのでしょうか」


「生贄ってわけね」


 生贄。


 それは、小さな召喚ゲートを開き、向こう側にいる生物に魔力を使わせこちらに出てくることを促させ対象を呼び出す為の供物である。


 少ない魔力で強力な対象を呼び出すことを可能とする反面、生贄となった者は確実に生きて帰ることが出来ないとされている現代魔学においては、邪道とされている方法である。


「対象は、焼けた触手本人ってところかしら?まぁ、美味しそうに見えなくもないかもね」


「私は、タコとか苦手なのでその気持ちは分からないですね」


「どうでもいいから、何とかしなさいよ!!」


「やることは簡単なので、時間だけ稼いでいただければ」


「了解!!皆、時間稼ぎ!!!!」


「おう!!」


 ロギル達が攻撃して時間を稼ぐ中、レシアは魔力の抜けた魔石を装置から取り出してその手に持つ。


「さて、丁度良く魔石があって良かったといったところでしょうか」


 手から魔力を流してレシアがバラバラだったその石の一つを持ち上げる。


 すると、全ての魔石がレシアの魔力を通して繋がって一本の糸のように繋がったまま箱から取り出された。


「殺す!!お前ら、殺す!!!!」


「おいおい、生贄になったはずのやつの声が聞こえるんだが!!」


「幻聴ではなさそうですね」


「生きていたようですね。どういう原理なのでしょうか?まぁ、どうでもいいですけどね」


 そう言うとレシアは、一本の糸のようになった魔石を、腕の根元めがけて投げつける。


 すると、魔石が等間隔に一直線に散らばり、レシアの魔力でつながったまま腕の出てきているゲート付近まで届いた。


「まだ召喚は完成されていない。なら、ここで魔法を中断させてしまえばいいだけです」


 そういうとレシアは、魔石にさらに魔力を流し始めた。


「お前!?」


 大きな腕が、レシアに向かって伸びようとする。


 しかし、その行動は、空中にいたロギルの腕より放たれた熱線によって止められた。


「十分です。助かりました。陣の書き換え、完了です」


「まさか!?」


 腕の出ている魔法陣が、急速に縮んでいく。


 そして、出てきていた腕の根元から光が消えると、腕を残して空間から召喚の光が消えた。


「何とかしましたよ」


「よし、後はあの腕をどうするかね」


 こちら側に残された腕のみが、根元から切断されて地面に倒れる。


 そして、僅かな時間を置いて動き始めた。


「……」


「残す、という選択肢はなさそうですね」


「はぁ~~」 


 ため息と共に、リオーシュは再度銃を構える。












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