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ラグナレク・レギオンズ  作者: 北都 流
6章 混沌
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解析

「おいっす~」

「おはよう」


 相談室でアマナは、顔を上げて朝の挨拶をする。眠気眼を擦ると、大きく口を開けてあくびをした。


「で、なんて?」

「水中用の装備を準備するらしい。出るのは、早くても一日後になりそうだな」

「そっか」

「朝ごはんだよ」

「お、ありがとう」


 サシャが、目覚めたアマナの目の前にサンドイッチを置く。それを、アマナは間を置かずに食べ始めた。


「それで、目覚めたけどどうする?先まで見ておく?」

「いや、まだ見てない水路の中がある」

「……一箇所じゃないと?」

「有り得ない話じゃないだろ」

「……分かった」


 食事を終えると、目に炎を宿してアマナが目を見開く。その光景を、地図を片手にロギルは、見つめた。


「これで最後だな」

「ああ、そうだな」


 地図にロギルが丸を書き込む。


「まさか」

「五箇所も不自然な場所があるなんてな」


 地図を見直しながらロギルは、溜息を吐く。


「校長室に行ってくる」

「おう」

「いってらっしゃい」

「アマナは、どうする?」

「先を見てみるよ。水路の横穴の中なら、周辺を光らせてもバレないだろうから」

「分かった。頼んだぞ」


 そう言うとロギルは、相談室を出て校長室へと向かった。


「と、言う訳なんだが」

「五箇所も、ねぇ」


 地図を見つめてリオーシュは、溜息を吐く。


「装備は、明日には準備されるわ。それと、警備の兵士も出ていく」

「圧力が通ったのか?」

「街がなくなるかもしれない時に、最高戦力が出られないなんておかしすぎるでしょ」

「違いない」


 ロギルは、深く頷いた。


「それでどうする。俺達は、六人だ」

「五箇所でしょ。一人一箇所ね。人選は、アマナを残して他が出ることにするわ。アマナは、案内と連絡係ね」

「今、アマナが横穴の奥を調べ始めてる」

「それで出向く手間が減ればいいんだけど。そうとも思えないのよね。そうでしょ、ロギル先生」

「ああ、俺もそう思う。なんせ」


 ロギルは、持ってきた地図を指差す。


「横穴の位置が不自然なほど地図上では、等間隔に配置されている。明らかに何らかの魔法絡みの配置と見たほうがいいだろうな」

「その通りだと思うわ。恐らく、全てに何かしらかの仕掛けがあるでしょうね。ダミーだと嬉しいのだけど」

「これらを円で結べば街をほぼ飲み込むようになっている。これで本命が一箇所だけというなら本当に嬉しいな」

「まぁ、そうはならないでしょうけどね」

「そうだな」


 リオーシュとロギルは、二人揃って溜息を吐いた。


「地獄絵図だな」


 相談室で、アマナはそう呟く。


「何がですか?」

「通路の奥がだ。今は二本目だが、どこも奥は、魔獣の集団でいっぱいだ」

「魔獣を飼育している、ということでしょうか?」

「どうかな。飼育というよりは、放し飼いな気がする。餌もないのか餓死してる奴もいるぞ。だが、その数は多い。意味不明だな」

「餌がなくても増えるってこと?それって、仲間の死体で餌が足りるってことなんじゃ?」

「増やした仲間を餌にさらに増えるっていうのか?物理法則を無視したような奴らだな」

「その魔獣を増やして街に放つのが目的かな?」

「だと単純なんだけど、どうも通路の奥には何かの加工がされてるぽい。微妙に床面や壁に色の違うところがある。誰かに行って用途を見てもらわないと分からないな」

「書き移したらいいんじゃないですか?」

「一応それもしておくか」


 アマナは、紙にペンを走らせた。


「で、これをレシアに渡すと」

「私が渡してくるよ。魔学研究室だよね」

「ああ、いるはずだ」

「行ってくる」


 サシャは、紙を持って相談室を出て行った。


「さて、あれで分かればいいけど。どちらにしろ行かなきゃいけなさそうだなぁ」


 アマナはそう言うと、目頭を押さえて三本目の通路に目線を合わせた。


「なるほど。それでこれがそのうつしですか」

「はい」


 サシャに渡れた紙を、しげしげとレシアは、眺める。


「これは、召喚系の魔法陣ですね」

「召喚系?」

「はい。ここの壁際に三重で制御呪文が書かれているでしょう。これが、召喚魔法の一般的な形と似ています」

「な、なるほど?」

「……ざっと見た感じだと、この部屋の中のものを捧げるとなっていますね」

「さ、捧げる?」

「生贄ってご存知ですか、サシャさん」

「は、はい。それぐらいならば!!」

「この区画に居るものの存在全てを使って何かを呼び出す構造のようですね」

「魔獣をですか?」

「この魔法陣の部屋の中には、魔獣がいると。では、そうなのでしょうね」

「あの」

「なんでしょうか?」


 サシャは、おずおずと手を挙げて質問する。


「それって、部屋の中にロギル達が行くとまずいんじゃ」

「いえ、直ぐに部屋を破壊すればいいだけなので、それほど危険でもないかと」

「そ、そうですか」

「だと思いますが、一応もう少し見ておきますね。校長にもこういうのがあったと伝えておいてください」

「はい」


 サシャは、そう言うと魔学研究室を出ていく。それを見届けると、鼻歌を歌いながらレシアは解析を始めた。


「なるほど。召喚系ね」

「はい」


 校長室についてサシャは、リオーシュにそういう。部屋には、既にロギルはいなかった。


「召喚魔法か」

「厄介なんですか?」

「魔学の研究が開始された当初は、魔獣の力を扱う研究とか、契約する研究とかは実は盛んに行われていたの。今の貴方達、サモナーみたいなものね」

「そうなんですか?」

「ええ。なんせ魔獣の中には、その当時の人間の魔学力を超えた知識を持った者も居たみたいだから、魔学者からすれば涎が止まらない研究だったでしょうね。簡単に求めてる知識が手に入るんだから」

「でも今は、そういう人たちってあまり見ませんよね」

「それはそうよ。だって、破滅するんだから」


 リオーシュのその言葉に、サシャは動きを止める。


「は、破滅するんですか?」

「契約内容にもよるけど、一方的にこちらが相手に何かを求めるなら契約した側も相応の何かを支払わなくてはならないもの。破滅するわよ。普通にね」

「は、はぁ~」

「だいたい、自分たちより知識や力があるものが呼ばれた瞬間に大人しくしていると思う?契約を結ぶ以前に暴れられて国の記録では、消えた村や町の記録がうじゃうじゃ。まぁ、それもだいぶ昔の話だけどね。今は減ってるけど」

「ゼロじゃないんですね」

「悲しいことにね。一番最近だと、二年前かな?公式にはないけどデカ物を相手にした記録があったような」

「……」

「愚かな人はどこまでも愚かよね。人間って」


 リオーシュは、そう言うと立ち上がる。


「ちょっと出てくるわ。今回は、片付けが大変になるかもしれないから」

「上に言うんですか?」

「本当は繋がりはないけど、まぁ、一応ね」


 リオーシュと共にサシャは、校長室をでる。


 照りつける日差しの中、車を走らせてリオーシュは、走行中に一件の家の郵便受けに封書を投げ込んだ。


「……」


 すぐさまその封書を、一人の男が無言で手に取る。そして、どこかへと男は走り去っていった。





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