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ラグナレク・レギオンズ  作者: 北都 流
4章 疾走
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意外な強敵

 その瞬間、校長室の扉がノックされる。その音を聞くとリオーシュは、外にいる人物に入っていいと声をかけた。


「ノーマンです。呼ばれたので来ました」


 そう言ってノーマンが校長室へと入ってくる。その際、しっかりと扉を閉めるのを忘れない。


「ノーマン先生、明日、出張が決まりました。私達6人で」


 その言葉にノーマンは目を細めた。


「6人ですか?」

「ええ、6人です。レドリア先生にも後で伝えなくてはなりません」

「それ程の問題がある、ということですよね?」

「今、別の地域の方々が対応しておられますが、どうも問題の原因は逃げ腰でありこちらに迫って来ているという話です」

「速いということですか」

「ええ。そして問題は犠牲を気にせぬものの様子。そのような問題を野放しにしては置けません。ましてこの街に近づかせるなど」

「有り得ない話ですな」

「ええ。なのですぐに問題を無くしてしまおう。そういう話です」

「なるほど」

「魔法を使えるレシア先生や私達もいますがそれがどれほど速いのか我々には分かりません。その時それを押さえ込むのがノーマン先生の今回の担当になります。よろしいですか?」


 リオーシュのその言葉にノーマンは、笑みを浮かべた。


「承りました、リーダー」

「よろしい。では、レドリア先生を探しに行きましょう。伝えないといけません」

「いえ、俺が伝えておきますよ。どうせ今日も訓練場にいるでしょう」

「そうですか。では、よろしくお願いいたします。私達は明日の昼に準備を終えしだい出発。先行している二人と合流します。よろしいですね」

「分かりました。学校の前でよろしいですか」

「校長室前にお願いします。お昼も済ませて、荷物も揃えてね」

「分かりました。伝えておきます」

「よろしい。では、本日は解散といたします。セシルちゃんとサシャ先生は、お留守番ね。学校をよろしく」

「はい」

「お仕事頑張ります!!」

「よろしい。それじゃあ、サシャ先生の住む寮へと案内するわ。ついて来て」

「は~い」


 そう言ってリオーシュは、校長室を出て行く。その後ろに続いて出て行くサシャに腕を掴まれているのでロギルもその後について行くことになった。


 校門へと移動するとセシルを待つリータがそこにはいた。リータは、サシャを見つけるとその視線の全てをサシャへと向けた。物凄く目を細めてリータは、サシャを睨んでいる。


「えっとリータさん?」

「手、離した方がいいんじゃないですか。ロギル先生が困ってるみたいなんで」

「えっと、大丈夫だよ。ロギル困ってないし」

「……なんで分かるんですか?」

「あのね、ロギルって本当に困ってると眉間にシワが出来るの。今は、出来てないから大丈夫」

「……そうですか」

「まぁまぁ、今日は帰りましょう。ね。それじゃあ私達はこっちだから、セシルちゃんもリータちゃんも気をつけて帰るのよ」

「は、はい」

「……さようなら、校長先生」

「ええ、また明日」


 リータは、歩きながらも何度もロギル達を振り向いては、サシャへと視線を送ってきた。その姿が見えなくなるとサシャは、ロギルの腕を強く抱きしめた。


「ここ、ライバルがいっぱいだね」

「私のロギル先生なんだから、あんたも諦めろよな」

「諦めない!!!!」


 ソフィーの発言に、サシャは一言で反論した。


「……恋もいいけど程ほどにね。仕事に差し障りない程度でお願い」

「分かりました、校長先生!!」

「……」


 勢いよくサシャは返事をしたが。本当に意味を理解しているのかロギルには疑問であった。


 リオーシュは、そんなサシャの反応を無視して歩き出す。そのあとに続いてロギル達も歩き始めた。


「……その、校長先生は、そういった方いらっしゃらないんですか?」


 リオーシュの背中にサシャは、そう問いかける。


「恋?」

「はい」

「……いないわね。そもそも恋ってなんなのかしら?そこすら今の私には理解できてないわね」

「なるほど」


 リオーシュは、そのまま無言で歩いていく。ソフィーはそれまでまだ手を離さないサシャを睨んでいたが、飽きたのかロギル背中に飛びつき掴まった。


「気になる男性とかいないんですか、校長先生?」

「う~ん、そうね。そういう意味だとロギル先生になるのかしら。今気になる男性という意味だとね」

「!?」


 その言葉にサシャは、ロギル捕まえている腕に僅かに力を込めた。しかし、その反応よりも最も深刻な反応をしている者が近くにいた。ソフィーである。ソフィーは、リオーシュの言葉に脳内をフル回転させて一瞬で分析を終え、ある事実にたどり着いていた。


(もしかして、ロギルの潜在的な理想の女性像に一番近いのリオーシュなんじゃない?)


 リオーシュ・エレメリオは、巨乳である。しかもまだ若く、胸は成長途中であった。しかし、その胸は普段スーツに隠れていてその余り有る存在感を外に出すことがない。だが、ソフィーの両目はその実力を確実に見抜いていた。


(ロギルは、自身の母親も胸が大きかったことから女性の胸の大きさに母性を潜在的に感じている。よって胸の大きな女性が潜在的には好きなんだ。村にいた女性達がよく働く姿を見ていたところから肉付きのいい女性には好感を持つし、小動物に可愛さを感じるところから自身よりも背が低い女性に可愛さを感じるようにも潜在的にはなっている。つまり、ロギルは胸が大きく肉付きのいい働いていて自身よりも背の小さい女性に一番外見的な興味を引かれるんだ。つまり、それは私かリオーシュ。この2人が当てはまっていることになる)


 ソフィーは、その事実に目を細めた。


 そして、ソフィーよりもリオーシュには優っているものがあった。


(このリオーシュ、落ち着いた性格だ。ロギルの好きな女性の性格なんだ。しかも人間の女性だ。そういう意味では、私よりも躊躇せずにロギルが誘い易い相手とも言える。私は敢えてロギルが遠慮しないように明るくしているが、というかこっちのほうが過ごしやすいし。そういった意味で捉えると、リオーシュは私と同格。つまり私並みにロギルを惹きつける可能性を秘めた女性ということになる)


 そう、ソフィーの中ではサシャなど問題ではなかった。ロギルを惹きつける武器が自分よりも少ないからだ。だがリオーシュは違う。


(この女、まさか淫魔の私並みにロギル好みの体をしているというのか。なんだそれは、この世の奇跡かなにかか?)


 もし自分の好みの異性がいたら目で追わずに人はいられるだろうか。いや、そんなことはできようはずがない。ロギルも、ソフィーに性欲の源を吸収されていなければそのように普通の反応をするだろう。だが、今のロギルには性欲が皆無であり、そのようなことにはなろうはずがなかった。もしソフィーが性欲を吸収するのをやめれば、ロギルは気づいてしまうだろう。リオーシュ・エレメリオという存在の自身の好感の大きさに。


(それだけは避けないとまずいわね。せめて私がロギルの初めてを貰うまでは)


 ソフィーは、淫魔である。一度でもその力を味わうと人では到底抗えない。それがロギルにも通用するのかは怪しいが、それでも人知を超えた力であることには違いがない。それはリオーシュにもないソフィーのみが持つ特権であった。


(まさかこんな近くに本当の強敵がいたなんてね。リオーシュの前では、ロギルの性欲を戻さないように気をつけなくちゃ)


 サシャ達が世間話に話題を切り替えている間に、ソフィーは一人でそんなことを考えていた。


「あ、着いたわよ。ここが先生方の寮ね」

「わぁ、大きいですね」

「そう。専用の鍵がないとまともに入れないからそこは気をつけて。あと、外部の人を知り合いでも入れられないから、そこは注意ね」

「は、はい!!」

「家具は一通り部屋に揃ってるから後はそれを使って。じゃあ、今日はお疲れ様。おやすみ」

「あっ、えっと中のどの部屋なんですか?」

「ああ、私達も登録してないから上がれないのよ。この寮。勿論、ロギル先生もね。鍵に書いてある番号の部屋だから自分で探して」

「えっ、ロギルも?」

「ああ」


 その言葉にサシャは、驚きの顔をする。


「えっと、ロギルはどこに住んでるんですか?」

「学校ね。ほら、拠点管理って大切だから」

「わ、私も!!」

「ダメ。部屋あいてないから」

「だったら同じ部屋でいいです!!勿論、ロギルと!!」

「ダメ。流石に正式に付き合ってもない男女の同棲をしかも学校でなんて認められません。分かった?」

「うぅっ」


 嫌そうな顔をするサシャの頭にロギルは手を置くと、少し手を動かして撫でた。


「また明日、学校でな」

「……うん」


 ロギルがそう言うと、サシャは名残惜しそうに腕を離した。


「……また明日ね」

「ああ」


 そう言うとサシャは、手を振って寮へと入っていった。


「オモテになるわね、ロギル先生」

「からかわないでください、校長先生」

「ふふっ、いつも冷静なロギル先生が困った顔してるから、ちょっとからかいたくなってね」

「はぁ~~、やめてください」

「ふふっ。さて、帰りましょうか」

「ええ」


 そう言ってリオーシュとロギルは、学校へと歩き出す。ロギルの背中でソフィーだけは、クッソ、やりとりも自然じゃないか!! この女、やはり手ごわい気がする!! と、一人無言でリオーシュを見つめていた。



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