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神殺しの禍日主  作者: 三善斗真
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序章

初めまして。三善斗真と申します。初めてネット上で小説を投稿させていただきました。まだまだ未熟者の初心者ではありますが、暖かく見守っていただけたら幸いです。

「俺だ。京都に着いた」

 着物の裾を春の微風になびかせ、全長百三十一メートルもある京都タワーの頂上で静かに佇んでいた青年は、夕日を背に乱雑に跳ねた茶髪を搔き上げると、血のように赤く染まった朱色の瞳を鋭く光らせて、夕暮れで茜色に染まった街並みを見下ろしながら、スマホである人物に電話をかけた。

 それにスマホから爽やかで穏やかな声が答える。

「無事着いたみたいだね。久しぶりの京の都はどう?」

 そう言われ、眼下に広がる町並みを改めて見渡す。

 眼下に広がる町並みは、まだ夕暮れだというのに飲食店やショッピングモール、ビルの間をまるで血管のように休みなく行き交う車の群れのテッドライトで目が眩むほど眩しい。狭い歩道には、まるで何かの祭り事かのように大勢の人々がひしめき合い、賑わいを見せている。

 そのゴチャゴチャとした光景を一通り眺めた青年は吐き捨てるようにボヤいた。

「どうって、随分と荒れ果て穢れた街になったな。昔、この町中に溢れていた和の心意気も、複雑に練り込まれた神域の結界も一欠片も感じない」

 それに電話の向こうでその人物が軽く笑ったのが聞こえた。

「ははっ。あれからもう大分時が経っているからね。変わっているのも無理はないさ、それに……」

「そんな事は今はどうでもいい。無駄話もこれぐらいにして、さっさと依頼内容を話せ」

 まだ会話を続けようとする彼の言葉を青年は淡々とした口調で遮ると、

そう話題を本題に移した。

「俺を京都へ呼び出したという事はそれ相応の依頼なんだろうな」

 そう言いながら片方の手に握られた新聞を一瞥する。

そこには、(連続殺人事件)という大々的なテロップが表紙を飾り、犠牲者達の顔写真と事件の詳細が記載されていた。

「あぁ。それは約束しよう。この仕事は君の力が必要な一件だ」

 それに通話相手の人物が、先程までの穏やかな声音を一変し、真剣味が溢れた声でそう告げる。

 それがこの依頼の事の重大さを物語っているように感じ、青年は目を細めた。

「もう、僕が送った新聞には目を通したかな?」

「あぁ。連続殺人事件の記事だろう?これが今回の依頼と何か関係があるのか?」

 記事の本文には、神職に勤めていた陰陽師や宮司、巫女や占い師、霊能者など総勢数十人余りが突如行方不明となり、数日後に人気のない雑木林などで遺体で発見されるという数ヶ月前から頻繁に発生している殺人事件で、遺体に目立った外傷はないが、死因は体内の血液をすべて抜き取られた事による失血死、犯人は以前捕まっておらず、犯行に使われた凶器は不明のままだと書かれていた。

「その神職の者達を殺ったのは、この世ならざる者、彼岸の住民である妖だ」

「何?」

 その言葉に思わず眉間にしわを寄せる。

「最近京の街で暴れまわっている者達でね。

こちらも総力を挙げて奴らを探し回っている危険度の高い妖集団だよ」

「へぇ……なるほどな」

 それに、ようやく自分が呼ばれた理由を悟って、青年は不敵な笑みを浮かべた。

「つまり、俺はその者達を始末してこいって訳だ」

「あぁ、そうだよ。君の今回の任務は、この連続殺人事件を引き起こしている妖連中を見つけ出し、抹殺することだ」

 その穏やかな口調とは裏腹に発せられた指示に、青年は咄嗟に

腰に下げていた太刀の柄に手を掛ける。

「その妖共の名は?」

「京の街に棲まう妖共から聞いた話では、(人食い天狗)と呼ばれているらしい」

「人食い天狗、なるほど。了解した」

 夕日が沈み、辺りが薄闇に包まれる。

吹き抜ける風もより一層冷たさを増し、青年は袴の裾をはためかせると、

太刀を流れるように引き抜いた。

 キィン、と金属の擦れ合う音と共に闇の中に姿を見せた刃は、紅色に淡く発光し、不吉なオーラを纏っている。

「一般の人間達が襲われ始めて数ヶ月、事が大事になり始めている。早急に我々でその妖を始末し、世間からその存在を消さなければならない。それが僕達、禍日主の仕事だ。妖怪や幽霊など彼岸の者達が、現世、此岸に住む人間達に被害を加えるなどあってはならないからね」

「あぁ、そうだな。これは俺達、禍日主の仕事だ」

 青年、一ノ瀬颯斗いちのせはやとはそう最後に呟いて通話を終了させると、刀を振りかざしタワー上空から地上へ向けて、勢いよく飛び降りた。


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