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洞窟

キリが悪かったので二話投稿。

 私があの時呼び寄せられるようにたどり着いたのは小さな洞窟だ。どう歩いたのかはもうさすがに記憶などしていないが近かったように思う。あの辺りを散策すれば普通にたどり着いた。


 ぬかるんだ入り口には確かに足跡がある。


 絡まった蔦を手で救い上げ中を覗き込めば、一寸先は闇という言葉が似合いそうなほど暗かった。


 冷たく湿った空気も相まってどこか別世界の入り口の様だ。暗くて狭い。それはどこか本能的な恐怖をあおりたてる物だった。


「うわぁ。――でそうだなぁ。これは」


 火を擦る音が聞こえて振り向くと、落ちていた枝とハンカチのような布でバニアは簡易的な松明を作っていた。


 何故そんなものをと見れは、油と火打ちは持ち歩くものだ。とバニアから冷たい視線を注がれてしまう。


 そんなものらしい。


「しっかりしろよな。――っしかし、狭いなぁ。こんなところ何しに来たんだ? あの女」


 人が一人。ぎりぎり通れる洞窟を屈みながら私たちは進む。火が近いためかチリチリと耳元に木が燃える音が聞こえてくる。


 それを聞きながら私は苦笑を浮かべていた。『何しに来た』と言われてもあの時私に目的があったわけではない。


 知っていたら来なかったのかと言われれば――来たと思うけれど。


「――ここには。選定の場所なんです。だから導かれた」


「は?」


 まじで大丈夫か。お前。そう言いたそうな顔に私は苦笑を浮かべた。そんな事をいきなり言っても分かるはずがない。


 すっと前を見据えればどうやら目的地のようだった。小さな穴から大きな空間へと繋がり、微かな明かりがぼんやりと見えている。


「見ていれば、分かりますよ」


「……まぁ、いいけどさ」


 納得いかない様子でため息一つ。『逆らわない方がいいな』そうわざわざ聞こえる様に呟いて、バニアは目を前に向けた。よく見ればその横顔はとても整っていてきれいなのだけれど――もったいない。と何となく思ってしまう。


 けれど、その整った横顔は驚きですぐに歪んでしまっていた。それは分かっていた事。もちろん次に出る言葉も何となく予想できる。


 おいなんだよ――あれ。


 狼狽が浮かぶ言葉に私は顔色一つ変えず視線を前に戻す。


 窮屈な所から解放するようにそこは大きな空間が広がっていた。



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