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ライトニングガン  作者: 一条イチ
第一章
9/48

その名はライトニングガン

 どうすればいいんだ。下手な答え方したら殺される、確実に。


「おい! 何してんだよてめえ!」


 桜井が大和に向かって怒鳴った。やめろ、わざわざ喧嘩売るような真似をするな。


「俺はこいつが奪った銃を返してくれと頼んでるだけだぞ」

「奪った? 銃を? 何を言ってるんだ」


 そう言ってから桜井は俺のほうを見たが、俺は何も言えなかった。


「九六式を返してくれりゃ何も手荒なことはしねえよ」


 それが本当だとはとても思えない。しかし返さなかったらこいつは俺を殺すと言った。

 ……もう、こうするしかない。俺は九六式を取り出した。


「こいつを返せば、見逃してくれるっていうんですか」

「ああ、九六式を奪ったことと、うちのもん……金田と米沢(よねざわ)を撃ったことは特別にチャラにしてやるよ」


 そう言って大和はタバコを吸う。米沢ってのはあのゲイボルグのデブのことか?

 チャラにするも何も、そもそも金田の野郎が父さんを撃ったんじゃないか。何様のつもりだよ。


「さあ、早くその銃を返せ」

「……わかりました」


 九六式を大和に渡す。そう見せかけて、すばやく大和に銃口を向けて引き金を引いた。

 だが銃弾は当たらなかった。大和は銃口の前から消え、右に動いていた。こいつ、いつの間に。


「桜井、こいつを倒すぞ!」

「わかった。その銃のこと、あとで聞かせてもらうぞ、纏!」


 桜井は自分の目の前に来た大和に殴りかかった。だが大和はそれもかわす。そして桜井の体に銀色の銃を突き付けて引き金を引いた。


「ぐああっ!!」


 大和の攻撃を受けた桜井は悲鳴を上げ動きを止めた。


「スタンガンか!?」


 少しよろめいた桜井は後ずさりしつつ体勢を立て直した。


「まさかこの電圧でまだ立ってるとはな。褒めてやるよ」

「この野郎……!」


 大和は新しいタバコに火をつけた。

 なめやがって。タバコの煙を吐き出す大和に銃口を向け引き金を引いた。


「だから、当たんねえよ」


 その言葉の通り九六式から放たれた銃弾は大和に当たらなかった。なんで避けられるんだ。金田にも米沢にも当てられたのに。

 桜井はまた顔面に突きを繰り出す。だが大和はそれも易々とかわした。


「こんなガキに九六式を奪われるとは、金田もヤキが回ったか」

「金田、金田はどこにいる!?」

「なんでそれを答える必要がある。しかし神崎(かんざき)様の直々の命だから来たってのに、所詮この程度かよ」


 誰だよ神崎って。そりゃ組織の人間だろうが、『様』なんて普通つけるか?


「纏、こいつは無理だ、倒せる相手じゃねえ。逃げるしか……」


 桜井は後ろを向きふらつきながら走り出した。

 嫌な予感がした。


「背中を向けるな! 桜井!!」


 俺のほうに顔を向けた桜井に、大和はスタンガンの引き金を引いた。

 何でそんな場所から引き金を引くんだよ。スタンガンは体にくっつけないと意味ないだろ。


 だがその瞬間、大和のスタンガンから光が走り桜井に直撃した。


「があっ!?」


 その光を受けた桜井はその場に崩れ落ちた。

 今、何が起こった? スタンガンから電撃を飛ばすだと?


「これはスタンガンじゃない。ライトニングガンだ」


 大和がライトニングガンと呼んだ銃。そこから放たれた閃光は、その名の通りまさに雷だった。なんだよそれ、いくらなんでもありえないだろ。


 俺はまた引き金を引いたが、プシュンという音、九六式の発砲音はしなかった。弾切れ? こんなときに、冗談じゃない。


「もう少し楽しませてくれると思ってたんだがな。これで終わりだ」


 大和はタバコの煙を吐き出して、右手に持った銃、ライトニングガンを俺に向けた。


 殺される。

 いやだ、死にたくない。


 そう思った瞬間、周りに白い煙が舞い、何も見えなくなった。


「黒木!」


 それは島本さんの声だった。俺は手を引っ張られそのまま走った。


 煙から出ると、島本さんが俺の手を引き、右肩に桜井の体を担いでいた。182cmの男をそんな扱いにできるとは。

 あたりを見回したが、大和の姿は見えなかった。


「さっきの煙は?」

「ああ、煙幕を使った。非常事態だったんでな」


 グロックもそうだが、なんでそんなものを持ってるんだ、この人は。


 島本さんのランエボが見えた。乗り込んでから島本さんはすぐにエンジンをかけ、シフトレバーを1速に入れて走り出した。

 よかった、なんとか逃げ切れた。いや、桜井は無事なのか? 俺は後部座席に乗せられた桜井に顔を向けた。


「今からちょっと知り合いのとこに行く。そいつに桜井を診てもらう」

「知り合い?」

「ああ、昔医者だったやつがいてな」

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