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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

メニアウ

作者: 慧奈

十字路が嫌いだった。


幼い頃、十字路には怖いものがいた。


真っ黒で、動かなくて、ただじっと、そこにいるだけ。


気味が悪くて、

友達に変なのがいると言ったら


「なにもいないよ。」


と、変な顔をされてしまった。


自分にしか見えていない。

さらに気味が悪くなり、十字路を通る時は顔を伏せるようになった。


ある日、ひとりで帰宅していた時のこと、

いつものように黒い何かがいる十字路を通る途中。

運悪く手提げ鞄を落としてしまった、

急いで拾い上げ、その場を立ち去ろうとした時、

黒い何かと"目が合って"しまった……


怖くて、こわくて、コワクナッテ

ただひたすら走った。


真っ黒の中から有り得ないほどに充血した一つの目、

ギロりとこちらを見る目


(怖い……)


ただ早く帰りたい一心で走る。

そして、しばらく走った頃

通り過ぎたあの十字路から衝撃音が聞こえた。

びっくりして思わず振り返ると、車が塀にぶつかっていた。


そして、黒い何かは目を細めて、スッと消えていった。


その事故の後、遠回りをして学校の行き帰りをするようになった。

以来、その黒い何かを見ていない。


時は経ち、そんなこともすっかり忘れ、平穏無事な毎日を送っていたある日、

遠回りで使っていた道が工事のため通れなくなっていて、仕方なくあの道を使う事になった。

忘れていたはずの恐怖感が全身を襲う。


(何もいませんように……)


祈りながら歩く。

そして、十字路。


(………!?)

いた。黒い何か。赤い目。

しかし、引き返す事は出来ない。

顔を伏せて、下を向いて、通り過ぎる。


よかった、目が合うことはなかった。

早く帰ろう。


ピリリリリリッ


急に電話がなって、驚きながらも応答する


「は、はい」

「何変な声出して…」

「ごめん、びっくりして。」


電話の主は親の都合で引越しをした友達。

来年から戻ってこれると言う事を伝えるために電話をしてきたと言う。

「それでさ、今もしかして外出てる?」

「うん、もうすぐ家に着くけど」

「あ、じゃあ俺の目の前にいるのってお前?」

「え?」


言われて振り返る。

振り返った先には左手を大きく降っている人影。

そして、黒い、赤い目……


友人は目の前にいるのが自分だと確信してこっちに走ってくる。


だめだ、走らないで

お願い止まって、こっちに来ないで……


ドンッッ


友人は目の前で鈍い音と共に車に攫われた。

赤い目はまるで笑うように、ゆっくりと赤い目を細める

そして、あの時と同じように消えてしまった。


目が合っただけてで 、こんな目にあうなんて……


攫われた友人は真っ赤な血を流し、流れた血は顔中にベッタリと付着していた。

動くことはなく、車の主はガタガタと震えていた。

あぁ、救急車を呼ばなきゃ……


スマートフォンを取り出し、電話をしようと起動ボタンを押す。



画面に薄ら映った自分の目が赤くなっているとは知らずに。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 『怖くて、こわくて、コワクナッテ』 →いい表現ですね。 『有り得ないほどに充血した一つの目』 →すごいイメージしやすかったです(そんで怖い、っていうか貞子のあのシーンが思い浮かぶ。。。) …
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