#.3
・・・僕にどうしろと?
「ねぇ、明純〜、入らないの〜?」
「う・・・ん・・・・・・」
ここは菜月の家。
家族で呼ばれて、母さんと僕と姉さんは岩田家で焼肉をご馳走になった。
今、母さんたちはリビングで話をしている。
そして僕と菜月は・・・
「ねぇ、嫌?」
「い、嫌なわけじゃ―――」
「何やってんのあんたたち、お風呂場の前で。」
廊下で押し問答していると、姉がいつのまにか近くに立っていた。
「あ、さっちゃん聞いて〜。」
「なぁに〜?」
姉は昔から菜月を自分の弟みたいに可愛がって甘やかす。
「あのね、明純がね、僕と一緒にお風呂は入ってくれないの。」
「まぁ、そうなの〜。ちょっとアズ、あんたなんで菜月ちゃんと入ってあげないの?!」
・・・この豹変ぶり。
「ほら見なさいよ!菜月ちゃんのこの子犬のような瞳!」
そこ?
「お風呂ぐらい、つい最近まではしょっちゅう一緒だったじゃない。」
つい最近は一年前も入るのだろうか?
「明純〜。」
「アズ、何恥ずかしがってるの?そりゃあ菜月ちゃんは可愛いけど、同じ男の子じゃない。裸の付き合いしなさい。」
姉ちゃん・・・それはちょっと・・・
突っ込みたいことはたくさんあるが、突っ込むとどうなるか分かったものではないので承諾する。
「・・・分かった。菜月、入ろうか。」
「わーいっ」
「・・・。」
可愛い・・・
「良かったね〜菜月ちゃん。じゃ、アズ、ちゃんと洗ったげなさいよ?」
そう言うと姉はすたすたとリビングに戻ってしまった。
「・・・マジかよ・・・」
「ほらほら明純!」
「あ、うん・・・って早っ!」
菜月はもうすでに服を脱ぎ終わり、お風呂場に足を踏み入れていた。
「・・・あぁ・・・」
大丈夫だろうか、僕。
上せないようにと祈りながら、僕は服を脱いだ。
「ほら見て見て!今日は泡のお風呂〜♪」
「ほ、ホントだねー。」
僕は一瞬イヤな予感がした。が、それを振り払って入っていった。
嫌な予感は、別のところで的中した。




