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美好桜の場合

「Ⅰ仕事だ」


「嫌です」


 流石にあの大掛かりな仕事から3日しか経ってないのはしんどい。


 あの後、山際が殺されたらしい。やっぱり、籠目が殺し屋だったのか。まぁ、受付嬢は組長殺したからね。


「働け」


 殺のチョップをギリギリな所で避けた。


「なら、殺が行ってきなさいよ!」


 流石に1週間は休みたいわよ!


「前の銃の怨みはまだ残ってんだ」


「喜んで!」


 あぁ、恐ろしい。殺から悪魔が降臨するところだった。


「誰殺すの?」


 ボスから書類を貰った。


 中小企業の社長令嬢ね。


「逆恨みじゃない」


 こういう人は残酷な殺し方はする意味がないのよね。


「今日中に終わらせてくるよ」


 銃を忍ばせて外に出た。


「そう簡単にいくと良いけどね」


「ガードが堅いんですか」


「いいや、roseが何故かボディーガードしてるらさ」


「奥さんに呪われませんか?」


「呪われるね」




「ここで良いか」


 社長令嬢の美好桜の行きつけの喫茶店。


 窓際の席にいた。少し離れたところから見る。トイレに立った所を狙うか。それとも、背後から行こうか。


 ここは、出口がな。やっぱりトイレに立つのを待つか。


「あの、少しお話よろしいですか?」


「ちょっと…」


 怪訝な顔をして相手を見た。普通に見知らぬ人から声かけられたらこうなるでしょう。


「あっ、私、こう言う者です」


 名刺が渡される。


「プロダクションのスカウトさんですか…」


「はい、芸能界には興味ありますか?」


 その言葉に首を横に振る。


「今の仕事が気に入ってますので」


「そうですか…失礼ですがご職業は?」


 この人…。ただのスカウトじゃないな。


 でも、この違和感は何のだろう?モヤモヤが胸の中を支配する。


「外資系のOLです」


「そうですか」


 しかし、男は中々私から離れてくれなかった。最悪なことに標的が帰ってしまった。


 今日中に終わらせたかったんだけどな。


「あの、すみません。私、もう帰らないと…」


 ちらりと腕時計を見た。


「あぁ、引き留めてしまってすみません」


 何とか解放してもらえた。


 しかし、あの男。殺し屋だな。


 でも、それだけじゃない気がする。ただの殺し屋だったらこんな違和感何てしないはずだ。


 何処の殺し屋だ?それに…あいつ、標的を逃がすようにしていたのかな?


 理由はどうか知らないけど、あの男を始末しないと先に進めそうにないな。


「作戦、練り直すか」


 そうなれば少し、時間を置きたいところだけど。あえて付きまとってみるのもありかな。


 もう、今日の顔は使えないから新しいのを考えないと。


 しかし、相手は殺し屋をガードに付けている。そうなれば、分かりやすいものは使えない。


 何が分かりにくいのか?


 会社のアルバイトとして入って過ごすか。


「田代優香です」


 何とかアルバイトとして入れたけど。


 殺し屋がちらほらと。


 何で?標的はそんなに狙われる理由なんてないし。どうしてかしら?


 てか、これならすぐにバレそうなんだけど。


「あっ、桜さん!お聞きしたいことが」


 標的がここで働いているのは嬉しいことなんだけどね。


「どうかしました?」


「ちょっとわからないことが」


 何とかして標的に近付きたいんだけどね。


「桜さん、お時間が」


 つかさず秘書の女が出てきた。


「ごめんなさいね、代わりに美冬に聞いてもらえないかしら?」


「はい、引き止めてすみませんでした」


 この秘書は、普通の人。殺し屋ではないけど厄介だ。



「ボス、今回の案件ですが」


「どうした?」


 今回の案件はおかしすぎる。大体、ただの逆恨みで殺されるような人は殺し屋をボディーガードに選ぶわけがない。


 ボスの返答を待つ。普通のボディーガードでないのが不思議だわ。


「roseがボディーガードらしい」


 roseがボディーガードね。それは面倒なことになったわ。


「そういうことね」


 まぁ、roseがボディーガードになっている理由もわからないけど。


 行くしかないし、やるしかない。


 私が直接やるとバレる。ドミノを倒すように細かく細かく立てていかないと。


「桜ちゃん、お茶でもどう?」


「良いですね、行きましょうか」


 どうやらこれから出掛けるようだ。


 このチャンスを使わなければ殺しきれない。


 三好は、毎回ミルクティーを頼む。ケーキは3種類をローテーション。新作が出ると欠かさず頼む。


 ずっと調べてきてわかったことだ。


「あら、すみませんね」


 少しふらついたフリをして三好のいるテーブルにぶつかる。


 敢えてこまめに変装しなかった理由。ボディーガード達の警戒を薄くするため。また、三好より早くもなく同時でもなく、また、お茶も終わりの方で近づいた理由。


「いえ、大丈夫です」


 ボディーガード達に悟りないためともうひとつ。三好桜はこのタイミングで砂糖を新たに加えるからである。


 砂糖にはしっかり毒を入れてある。


「あの、少しよろしいですか?」


「えぇ、外で良ければ」


 声をかけてきた男にそう答えた。


「もう、遅いですから」


 飲んだ瞬間に死んでしまうから。


 店を出たら人々の悲鳴と微かに苦しそうな声がした。


「あなた方もお疲れさまです」


 少し調べてみたがどうしてこんなところに優男とメデューサがいるのだろう?


 と言うよりroseがボディーガードをしているのが不思議なのだが。


「全く、何時になく細かい殺しなだね」


 優男が言う。


「それはどうも」


 私、Ⅰこと楯山えりかは依頼された殺しはみんなやる主義だからね。どのような妨害があってもやって見せるよ。


 まぁ、いつもは結構雑にそして、残虐にやるものだけどねぇ。同情もなにもしないが今回の殺しを少しなめていたよ。


「揉め事があるなら後はボスにどーぞ」


 私はただ単に依頼されてやっているだけだし。加えて拒否権なんて存在しないしね。


「それじゃ」


 とうぶん会いたくない人達ね。

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