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言っていいこと 悪いこと

作者: ぴよ太郎

言っていいことと悪いことのボーダーラインはどこなのか。日々の疑問に自分なりの回答を出してみた。

言っていいことと悪いことがあるだろう。

というような説教は誰でも一度はされたことがあるだろうが、そもそも「言っていいことと悪いこと」のボーダーラインは存在しているのだろうか。

例えば、ここに身振り手振りがいやに大袈裟な世界史教師、山下がいたとしよう。四十二歳厄年。最近高校に進学した娘は反抗期に突入。時折連れて帰る彼氏も俗にいうギャル男。持病の腰痛も悪化し、イライラしっぱなしだ。そのせいか、元々大きい身振り手振りもますます大きくなり、もはや不気味な踊りと化している。

その大袈裟な身振り手振りで、産業革命について熱弁していた、とある夏の日。自身の「不気味な踊り」が仇となり、秘密である(はずの)カツラがずれてしまった。しかし、本人は全くそのことに気付いていない。

さて、ここで質問。

――カツラがずれたことは言っていいことですか?悪いことですか?

さあ諸君。良識ある行動を心がけよう!あなたならどうする?

確かにばればれのカツラだった。生徒の間で行われた「山下の毛はカツラか否か」の賭けでは、参加者全員がカツラに賭け、賭け自体が成立しなかった。地毛の部分とカツラの部分の色が微妙に違うし、大体ハゲた部分の方がカツラよりも一回りほど大きいから日食のような頭になっている。

それがずれたのだ。これでは「半月四日前の三日月」と言った方がよさそうだ。半月だの三日月だの言う前に、不気味だ。不気味なのは踊りだけで十分だ。

では検討しよう。

心優しい読者の中には「せっかく熱(苦し)く語っているのだ。このまま暖かく見守ってあげようじゃないか」という意見の人もいるだろう。大体人前でそんなことを指摘されるのは大層恥ずかしいことに違いないのだ。

それに山下の作る「特製世界史プリント」は非常に分かりやすい。「山下イズム」とも呼べるその授業形態から、PTAのおば様方の中も、熱烈な支持者が多数存在することも確かだ。元気があれば何でもできる猪木イズムとは違うのだ。「そんな先生に恥をかかせるわけにはいかない」と、ここは言わない方がいいのかもしれない。

しかし、ちょっと待ってほしい。確かにPTAからの信頼は厚いかもしれないが、生徒の間ではどうだろう。そのねちっこい性格と不気味な踊りのせいか、その支持率は旧森内閣程度であることも事実。昨日だって私の紫芋に関する間違い(もう二週間も前の話しだというのに!)を、厭味ったらしく、しかもみんなの前で掘り起こしていた。ここはリベンジという意味でも言った方がいいのではないだろうか。

難しい問題である。では別方面、「個人の利益」から検討してみよう。

言わない場合はどうなるか。正直、何も起こらないだろう。生徒の間では話題になっているだろうが、その経済効果はせいぜいトイレの壁の落書きが増えるくらいだ。「誰か言えよぉ~」と、自分は絶対に言わないくせに、寺田が愚痴るのは火を見るより明らか。

では逆に言った場合はどうなるか。PTAでの評判は落ちるだろう。山下にも確実に嫌われる。ひょっとしたら来週から自分ばかりややこしい問題をあてられるかもしれない。しかし、そんなマイナス面も、その後くる利益に比べれば微々たるものだ。友人たちから英雄視されるのは間違いない。今までどことなく近づき難かった隣の席の片岡とも、それがきっかけで仲良くなれるかもしれないし、ひょっとしたら職員室での評判も上がるかもしれない。山下のあの性格だ。職員室での支持率は、高くてもレタスのカロリー数程度に違いない。

PTAでも評判が下がり、山下に嫌われることを「支出」、友人たちか英雄視され、職員室での評判が一時的にせよおばあちゃんの血糖値くらいにまで上がることを「利益」とすれば、利益の方がはるかに高いのだ。

このように二つの角度から見てみたが、やはりカツラがずれたというのは言っていい事だろう。いや、むしろ言うべきことかもしれない。ただし、言う前には「世間がそれを求めているか」という「市場のニーズ」を的確に読む必要がある。

・・・・・・・。

話しいが中途半端に終わっていることは、「精神力が尽きたんだな、この作者」と、流してもらいたい。「ずれているのは山下の方向性」ということも、言ってはいけないことだ。


もう勢いだけで書いた。こんなに何も考えないことも珍しいってくらいに何も考えずに書いた。なはは。

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