神桜由依
僕の腕の中にいる少女。
その彼女は僕のクラスメートである神桜由依だった。
クラスの中心人物にいるような陽キャ女子であり、陰の世界を生きる僕との接点はほとんどないような少女だった。
多分、まともに顔を合わせて声を交えるのがこれが初めてだ。
同じクラスメートなのにね。
「大丈夫?」
「えっ……あっ!だ、大丈夫!」
「そう。それなら良かった」
僕は神桜さんの言葉を聞いて頷き、彼女を僕の腕から話す。
「さて、と……あの狼の相手は僕がするから、君は逃げて?後、出来ればその間に助けを呼んできてくれたら嬉しいな……多分あれは僕じゃ殺せないから」
「そ、そんなッ!そ、それじゃあ……竜崎くんが……」
さっさと逃げるように話す僕に対して神桜さんは僕を思いやるような発言をする……君が見せかけだけの心配したところで何も出来ないんだから、大人しく言うこと聞いて欲しいんだけど。
今、巨大な狼の魔物が動き出したら……神桜さんを守りながら戦うのは流石に骨が折れる。
というか、無理そう。
「君がやるよりは可能性があると思うよ?君は普通に足手まといなので、さっさと助けを呼んできて欲しいな」
ここまではっきりと言えば神桜さんも引いてくれるだろう。
「……えっ。あっ……うん。ご、ごめん。必ず呼んでくるから!」
一瞬、とても悲しそうな表情を浮かべた神桜さんは、すぐに表情を切り替えて僕の言葉に大きな声で頷く。
「うん。お願いねー」
僕は大慌てでここから離れる神桜さんに手を降って見送る。
「ガァッ!」
そんな僕に対して、巨大な狼の魔物はここから逃げ出した神桜さんを追いかけようと動き出す。
だが、僕は巨大な狼の魔物が神桜さんに襲いかかるよりも前に時間を止め、相手の前へと立ちふさがる。
「行かせないよ?」
僕は懐より取り出した短剣を狼の目元めがけて投げつける。
「キャンッ!?」
いくら硬い毛皮に覆われた魔物と言えど、瞳に当たればただではすま……ない……?
「グルルルルルル」
確実に巨大な狼の魔物の眼球へと当たったはずの短剣だが、それは一切何の影響も与えることなく跳ね返されて地面に落ちる。
「……え?」
眼球でさえも鉄製の短剣を投げつけられてなお無傷になるほどの硬さなの……?
そんなにカッチンコッチンなの?やばぁ……。
「ガァッ!!!」
瞳に短剣を投げられ、チクッとはしたのだろうか?
なんか一気に怒り状態へと変わってしまった巨大な狼の魔物が咆哮を上げて僕へと突撃してくる。
「……わわッ!?」
僕は自分の元へと走ってくる巨大な狼の魔物を前に冷や汗を流しながら大慌てで『ジ・アクセル』を発動させて回避行動に移ったのだった。
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