悲鳴
ダンジョン十三階層より更に下へ下へと降りていってダンジョン十五階層。
「ほッ!」
僕はそこで魔物を狩り、魔石を回収していた。
能力である『時ノ◆』を使って逃げる必要があるような敵とはエンカウントしていないが、十五階層の魔物は結構強く、苦戦することもあった。
「ふんふんふーん。我は最強になる男〜」
とはいえ、ちょっと苦戦するくらい。
機嫌良く鼻歌を歌いながらダンジョンを進んでいた。
「キャァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
そんな折、僕の耳へと誰かの悲鳴が飛び込んでくる。
「おや?」
ダンジョンに潜る冒険者。
彼ら、彼女らはダンジョンが命のやり取りをする場所であると理解しているだろうし、いつでも死ぬ準備は出来ていることだろう。
故に、ここで死んだとて、それは当人の話だ。率先して危険のある場所に向かい、人助けを行おうという冒険者は珍しい。
僕も悲鳴が聞こえてきたからと言って必ず助けに向かうこともない。
「ふぅむ……これは、クラスメートの声かな?」
だけっど、聞こえてきた悲鳴に僕は聞き覚えがあった。
「流石に助けに行くべきだよな」
知り合いでもあるクラスメートを見殺しにするのはちょっと気が引ける。
流石に、助けに向かうかな。
「良し……『ジ・アクセル』」
僕は己の能力である時ノ◆の権限、自己加速を発動し、僕個人に流れる時間の流れを他の人よりも二倍、早くする。
「大丈夫ですかーっと」
悲鳴が聞こえてきたところへと駆けつけてきた僕は口を開く。
「……い、嫌……」
「グルヴァッ!!!」
僕が駆けつけてたところ。
そこには見たことない巨大な狼の魔物に襲われているクラスメートの少女がいた。
少女のすぐ目の前で口を広げ、彼女を食い殺そうとする巨大な狼の魔物によって、その命が今まさに尽きようという状況だった。
「『カイロスダウン』」
僕は時を止め、駆け抜け……そして、今まさに殺されようとしていた少女を抱きかかえて、巨大な狼の魔物の大きな口から回避する。
「ふぅーッ」
僕が止めていられる時間の長さは短く、巨大な狼の魔物から逃げるので精一杯……また、時を止めるという法外なことをしている代償なのか、再び時間が動きだすと主に僕の体に激痛が走る。
その激痛で僕の集中力が乱れ、発動にかなりの集中力が必要な『ジ・アクセル』の方も解けてしまう。
「え?……ぁ。ん?」
「グルルルルルル……」
僕の腕の中に収まっている少女は困惑の表情を浮かべて戸惑い、巨大な狼の魔物はいとも容易く獲物を奪い取った僕に警戒しているのか、すぐに突っ込んでくることはなく、唸り声を上げながら睨んでくる。
「ふー……大丈夫?」
僕は巨大な狼の魔物がいつ動いても対処出来るように身構えながら、少女へと声をかけた。
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