帰路
恐れていた滅能教会のミサ。
教義の内容を聞くにつれて恐怖が増え、ヤバいやろ感が死ぬほどあったわけだが、無事に僕と神桜さんはミサを終えることが出来た。
「普通に帰してくれてよかった」
「いや、本当に……」
教義を話し終えた後、そこから何か絡んだりされることもなく、若人の恋愛を邪魔するわけにはいかないからという理由で神父さんが早々に解放してくれたのだ。
「……滅能教会、あんな教義だったのね。思っていたのと違ったわ」
帰路へと着く途中、ぼそりと神桜さんがつぶやく。
「えっ?神桜さんも知らなかったの?」
「知らないわよ……私の両親が滅能教会に傾倒しだしたのここ数年だし」
「まぁ、それはそうか」
そもそも滅能教会の存在が一般的に広く知られるようになったのがここ数年の話だ。傾倒しだしたのがここ十年とかだったら驚きだ。
「私は怪しいとしか思っていなかったから、近づこうともしていなかったもの」
「大正解だね」
「何度か断り切れなくて顔を見せることはあっても……そんなしっかり教義聞いてことなかったし、ミサに行ったのも初めて。はぁー、ほんと無事に終わってくれてよかったわぁ」
「そうだねぇ」
何かもめごとが起きなくて本当に良かった。
ちゃんと恐怖体験ではある。カルト教団の根城に潜入し、そこで自分を含む人間に対して天誅を下そうと叫ぶ教義を聞かされるのだ。これ以上ないほどの恐怖体験と言える。
「……カップルとして」
「ん?」
改めて、体を震わせていた僕へと神桜さんがこちらへと口を開く。
「カップルとして送り出されたのに、このまま家に帰るのも不自然だから……このまま、何処かに行かない?」
「えっ?……あぁ」
「駄目、かな?」
「いや、うん。良いよ。そうしようか。確かに言う通りだしね」
今の時刻は夕方。
まだ夜にはなっていない。何処か適当なところに行くくらいの時間は余裕であった。
「じゃあ、何処に行く?」
「竜崎くんは何処に行きたい?」
「んー?そうだなぁ」
無事にミサを終えた僕と神桜さんは平和な言葉を交わしながら街を歩いて行った。
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