相談
「えっ?……えっ?」
天鳳さんの口から出てきた両親が滅能教会の信徒だという、驚愕のカミングアウト。そのカミングアウトに対し、僕が出来たのはただ困惑の声を漏らすという何とも無能な話だった。
いや、でも、そうじゃない?いきなり親御さんがあの滅能教会の信徒だった!なんて言われてすぐに受け入れるのは……あんなことがあってすぐだし。
「し、失望……したかな?」
そんな僕に対し、天鳳さんは何処か心配そうな表情で口を開く。
「いや、別に親御さんのことで失望したりはしないけど……」
「そ、そう……?それならよかったっ」
「えっ?滅能教会的に天鳳さんの存在は許されるの?……冒険者、だよね?」
「いや、あそこの教会は冒険者の存在を否定しているわけじゃなくて……ただ、能力持ちを否定しているだけだから」
「あれ?神桜さんって能力は持っていないんだっけ?」
「うん。私はあくまで魔力を使って戦っている人間だから……能力とかは特に」
「あぁ、……そうか」
別に能力を持っていない冒険者なんていくらでもいるか。
というか、それじゃあ、あれか。普通にあの注射薬も能力者の強化薬ってわけでもないのか。むしろ、能力を持たずとも第一線で戦えるように、ってのが本懐か?
「うぅーん……それで?相談内容が、親御さんが滅能教会の人だからどうしよう?ってこと?」
それなら、僕に答えられることなんてないんだけど。
こちとら両親のことを覚えてさえもいない妹と二人暮らししている記憶喪失児。両親のことで僕に聞かれても何も答えられない。
「いや、それもそうなんだけど……もっと、力を頼りたい案件があって」
「ん?」
「その……滅能教会のミサがあるんだよね。近くに」
「……ミサ?」
「うん。ミサ。キリスト教のじゃないよ?滅能教会のミサはただ信者が集まって牧師の話を聞くだけなんだけど……」
「なるほど」
滅能教会。キリスト教の単語を流用しているんだね。何処かのキリスト教の宗派の流れにあったり……はしないだろうな。絶対にキリスト教と関連あるのなんて単語だけでしょ。日本のカルト教団なんて。
「それで、……そのミサに私も両親と一緒に出なきゃいけなくて」
「あぁ、……なるほど。それで?僕には何を?一緒に来て欲しい、って?」
「うん。そうなのっ」
「別にそれ自体はいいけど……いきなり僕が行ってもいいものなの?」
「だから、私の彼氏!ってことで来て欲しいの!それなら違和感もないだろうから……!」
「……はい?」
彼氏として来て欲しい!そんな神桜さんの言葉に対し、僕は素っ頓狂な声を漏らすのだった。
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