招待
天鳳さんとダンジョンに行った次の日。
その日の学校が終わった後、僕は天鳳さんの家へと招かれていた。
「でっか……」
流石は冒険者最強の男が暮らす家と言うべきか。
招かれた家はびっくりするくらいの豪邸であった。庭の方にプールまである。えっぐい。
一体この家を建てるのにどのくらいのお金がかかっているのか。庶民派である僕には想像もつかない。まぁ、僕もそこそこ良いところに住んでいるんだけど。
「この程度で驚かれても困るのだけど。それに、記憶を失う前の碧衣はこの家と同じくらいの家に一人で住んでいたわよ?」
「え?」
なんだその衝撃の事実は。
全然庶民派ではないじゃないか、僕は。ちゃんとブルジョワだった。
あの家で結構大きなところだと思っていた僕は何なんだ。そして、そこに僕は一人で過ごしていたのか。絶対寂しいでしょ。
「ほら、隣の空き地すべてが元々あったあなたの家よ。私がこの家からしばらく離れている間になくなっていたけどね」
そう言う天鳳さんが指差すのはこの家のバカでかい窓から見える隣の巨大な空き土地……その広さはかなりのもので、この家と同じくらいあった。
大豪邸を建て、庭にプールが作れるほどの土地だ。
「えっ……?記憶を失う前の僕って金持ち過ぎん?」
今でも十分裕福な方なのだが、記憶を失う前の僕はそれ以上だったのか。
なんというか僕という人間に恐ろしくなってくるね!一体どんな人間だったのだろうか……。
思い出すのが怖くなってくるね。
「まぁ、それは記憶を思い出せばわかることよ!そんなことよりも大事なことに目を向けましょ。今は魔法の勉強が最優先よ」
「……まぁ、そうだけど」
僕は天鳳さんの言葉に頷く。
覚えてもいない僕の記憶よりも今の僕の火力不足をなんとかするほうが重要だろう。
過去に縛れていても仕方ない。未来を見なきゃね。
「さっ、私の自室の方に行くわよ。両親はどうせ家になんか帰ってこないでしょうし、思う存分やるわよ!」
「……言っておくけど、僕は途中で帰るからね?ここで一晩明かしたりしないぞ」
今日も僕の可愛い妹が夜ご飯を作って待っているのである。
僕はちゃんと家に帰って、玲香との時間を過ごすのだ。いつもどおり。自意識過剰かもしれないけど、これまでの天鳳さんを思い出してしまうと……。
「まぁ、いけず……まぁ、良いわ。私は落ち着くことを覚えたのよ。家に招待出来た段階で満足するとするわ」
「そうして欲しいな」
僕は天鳳さんとそんな話をしながら馬鹿広い天鳳さんの家の中を歩き、彼女の自室へと向かったのだった。
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