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苦手

「……何、それ?」

 

 僕は聞いたことない名前に困惑し、首をかしげる。

 僕はそんなチートっぽいこと出来ない。


「え?知らないの……?能力が『時ノなんちゃら』だということは認識している、よね?」


「あぁ……うん。僕に出来るのは『自己加速』と『時止め』だけじゃ……」


「それ以外にも『小規模過去改変』と『小規模未来確定』というチートじみた能力を使っていたわよ?私の知っている貴方は」


「なにそれ知らない……」

 

 昔の僕はやっぱり『能力』でもっと色々なことが出来たんだな。

 能力を駆使して逃げることしかできない僕とは違って。


「あら、そうなの。んー……でも、ちょっと困ったわね。私もなんかめちゃくちゃ強いってだけで実際何が起こっているのかとかわからないんだけど」


「……駄目じゃん」


「まぁ、でも納得したわ。あの二つの能力が使えないなら、碧衣が私よりも弱いわよね」


「それの使い方なんとか思い出せないかな……」


「詳細は教えないわよ?これもまた、あなたが記憶を思い出したくなる要素の一つとして残しておくわ」


「……ひでぇ」


 その二つの能力を使えるようになるだけでかなりのレベルアップを見込めそうなのに。酷い話だ。

 とはいえ、名称から何となくの能力は察せそうだけど。

 

「良いじゃない。この際だから魔法をちゃんと使えるようになりなさいよ」


「……魔法苦手なんだよなぁ」


「記憶を無くす前の碧衣も苦手だったわ。ちゃんと苦手なものは克服しなきゃ駄目よ?」


「……わかったよ」


 現状の僕は攻撃力が乏しい状態である。

 どうせ魔法に関しては学ばなかればいけないような状態であった。

 というか、昔の僕も魔法が苦手だったんだね。

 勝手に出来るものなのかと思っていたわ。

 一応、魔法の基礎的なものは僕の体が覚えていたし。


「私は一応魔法のスペシャリストだからね。任せてくれて良いわ」


「なるほどね。じゃあ、存分に頼らせてもらうことにするよ」


「〜〜〜ッ!もっちろん!任せなさいッ!」

 

 僕の言葉を聞き、天鳳さんが心底嬉しそうに言葉を告げる。

 ……今の言葉のどこに喜ぶ要素があったんだ?


「それじゃあ、ダンジョンの方に行きましょ。まずはあなたの実力を知らなければ私は何も言うことが出来ないからね」


「あぁ。うん。そうしようか」

 

 師匠として最強の冒険者の娘である天鳳さんが面倒を見てくれる。

 ハーレムを作るためという最低の目標のために最強を目指す僕には実にもったいないくらいの状況なのではないだろうか?

 僕はそんなことを考えながら天鳳さんと共にダンジョンの方へと降りていった。

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