だが断る
バッサリと天鳳さんの申し出を断った僕。
「え?」
「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!?」」」
それに対して天鳳さんが呆然と声を漏らし、クラスメートたち全員が驚愕の声を漏らして僕を非難するかのような視線を向けてくる。
寝ていた明渡は飛び起きていた。
「まず、僕視点だと天鳳さんの証言が正しいかどうかの判別がつかない。次に何か大きな力が働いていると言われても厨二臭すぎていまいち信用しきれない。そして最後に、もし本当に大きな力が働いているのだとしたらそれに対して喧嘩売るのはまずいでしょ。これで僕が記憶を取り戻したらまたその大きな力とやらに狙われる危険性があるわけでしょ?今回は記憶喪失で済んだけど、もしかしたら次は殺されるかもじゃん」
「一つ目は信じて、としか言えないわ。でも、二つ目と三つ目であれば問題ないわ」
「……その根拠は?」
「私の父が世界最強の冒険者だからよ」
「は?」
天鳳さんの言葉に僕は呆然と言葉を漏らす。
「……えっ?」
「あっ」
「……うそ」
その、呆然は僕だけのものではなく、クラスメートたちも共有しているものだった。
「ん?えっ……ほ?……天鳳」
現在世界最強とされている冒険者は闇を統べる者という称号を持つ天鳳烈という中年の男性……苗字、同じだなぁ。
「えぇ。天鳳烈。それが私の父……その父の娘が私。これでも私は兄弟、姉妹の中で最も強いのよ」
「え、えぇ……」
「そんな父を持つ私が大きな力のことを証言しているの。そこらへんい転がっているような陳腐な陰謀論と同じにしないでほしいわ。それに、今度こそは何があっても守って見せるわ」
「……」
どうしよう。
僕の提示した三つのうち、二つの問題が一瞬で解決してしまった。
最初の信用におけないという理由も、ここでお前が信用出来ねぇから協力できない!なんて宣えばクラスメートたちからフルボッコにされる。
社会的にも、肉体的には……ボコボコにされないか。
でも、社会的にフルボッコにされるのはかなりの問題だ。
「碧衣が心配する必要はないわ。すべて、私がなんとかするから。何もかもすべてを」
だが……だが、だ。
「……それでも、断る」
僕にはここで頷くという選択肢はなかった。
「何故?」
「そもそもの話なんだけど、さ。僕は記憶を取り戻すつもりはないんだ。僕には僕の……今の僕の生活があるんだ。それが記憶を取り戻すことで崩れるのが怖いんだよ。今の僕が消えていなくなっちゃうような気がしてさ」
これは僕の本音であり、記憶を取り戻そうとしない一番の理由であった。
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