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「……事情聴取長すぎ。詳しいこと聞かれてもわからないに決まっているじゃんか」

 

 巨大な狼の魔物……あれは決してダンジョン第十五階層に出ていい魔物でなく、ダンジョン五十階層らへんに出てくるような魔物らしい。

 なぜ、そんな魔物があそこに居たのか。

 それを調べるため、あの魔物と戦っていた僕にも冒険者ギルドがしつこく事情を聞いてきたのである。


「僕は襲われていた神桜さんの手助けに行っただけで……詳しいことは何もわからないよ」

 

 とはいえ、僕が答えられることなんて限りなく少ない。

 どれだけしつこく冒険者ギルドが僕に情報を求めようとも、こちらは何の情報も持っていない。

 何か具体的な答えを返すことはできなかった。


「おかげで帰るのが遅くなった……」


 そんな僕の弁に納得してくれる


「妹も心配しているよ」

 

 僕は今、妹と一軒家で暮らしている。

 その一軒家は周りの家と比べてもそこそこの大きく、僕の通う高校からも妹の通う高校からもダンジョンからも近いという好立地。


 何故、こんないい物件を僕と妹の二人が有しているのか。それは記憶喪失状態にある僕には永遠の謎。

 正直に言って僕と妹の二人じゃちょっと持て余すような広さだし、全然もっと小さいこじんまりとした家で良かったと思うんだけどね?

 まぁ、僕が覚えていないだけで元は両親も暮らしていたのだろう。両親の存在を僕は覚えていないが。


「ただいま」

 

 僕は玄関の扉を開け、家の中へと入る。


「おかえり、お兄ちゃん。遅かったね?」

 

 玄関で待っていたのか、扉の前に立っていた妹が帰ってきた僕の方に寄ってきて口を開く。

 僕の妹、竜崎玲香。

 腰まで伸びる真っ白な髪に血のように真っ赤で鮮やかな瞳を持った美しい美少女である。

 うん。普通に黒髪黒目の僕とは似ても似つかない妹である。


「うん。ごめん……遅れた」


「良いよ。全然。それで?ご飯にする?お風呂にする?」


「んー。今日は疲れたし、最初はお風呂に入ろうかな」


「んっ。わかった……じゃあ、お風呂に入ってきて!私はその間にご飯温めているね」


「うん。お願い。ありがとね」


 僕は妹の頭を撫でながら感謝の言葉を口にする。

 

「……全然良いよ!これくらい」

 

 それに対して玲香は僕の手に自分の頭をスリスリと十分にこすりつけた後、僕の言葉に返答する。

 高校生である僕と中学生である玲香。

 年齢を考えると、ありえないような兄妹の距離感。

 だが、これが僕と玲香の距離感である。


「それじゃあ、お風呂入ってくるね」

 

 僕は一度、玲香から手を離し、自分の荷物を自室に置いた後、玲香が沸かしてくれたお風呂へと向かった。

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