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第7章:さらなるレベリング

本当に怖かった。わずか一時間という短い間に、俺は二度も死にかけた。


もちろん恐ろしいが、こういう経験を経なければ強くなれないのだと思う。おそらくこのシステムは、犠牲に見合うほどの力を与えてくれる。そして強くなるためには、リスクを負う必要があるのだろう。


俺は命を危険に晒しながら、生と死の狭間を歩くのが好きではない。だが強くなりたいなら、やるしかない。


今回は一気に5レベル上がった。手に入れたExpは30ほどだったので、レベルを1つ上げるのに必要なのは6Expほど。効率は悪いが、あのコウモリほど恐ろしい魔物ばかりでもないだろう。


俺の種族【スカルランサー】は、格上の相手に特化した種族だと言われている。しかしあのコウモリは、その特徴を極限まで引き上げた化け物だ。頭か胸の中心に一撃でも食らえば、即死していたはずだ。


とにかく、もう二度と遭遇したくない。もし見つけたら、気づかれる前に倒すのが最善だ。


……


今じっくり考えてみると、あのコウモリについて一つ気になることがある。【鑑定】でもう一度見せてくれ。


【モルセゴ・バラ:ランクE−】

【大型犬ほどの巨体を持つ巨大コウモリ。特異な戦闘方法から“自殺コウモリ”と呼ばれる。古代時代のダンジョン《死王のニルヴァーナ》にのみ生息する希少種。】


このダンジョンにしかいない?

じゃあ、ここはただの洞窟じゃなくて、ダンジョンなのか?


【ダンジョン《死王のニルヴァーナ》】

【古代時代クラスのダンジョン。150年前、人間を憎み人間性を捨てた狂気の魔導士によって創られた。現在は迷宮都市「アルデバラン」の三大宝物の一つとされ、レベル上げや宝探しを目的とした冒険者たちが最も集まる攻略拠点である。】


まじかよ……そんな重要な場所に俺はいるのか?


150年前に作られただけなのに「古代時代」なんて呼ばれるのは、きっとダンジョンの分類だろう。詳しくは知らんけど。


つまりここは、冒険者がレベル上げをする絶好の狩場ってことか。しかも宝物も手に入る……。


面白い話だが、喜んでばかりはいられない。このダンジョンには多くの冒険者がいるはずだ。


もし遭遇したら、俺は殺される可能性が高い。人間はこの世界でも強いはずだ。戦えば負けるだろう。


では出口を見つけたら出た方がいいのか?

だが街には強者が溢れている。外に出れば殺される危険がある。

このままダンジョンに残っても、魔物に殺されかねない。


完全に板挟み状態だ。


出した結論は一つ。

強くなるしかない。


進化して十分な力を得てからダンジョンを出るか、あるいはより人型に近い姿へ進化して、衝突を避けながら街を抜けるか。


……結局、何度も命を懸けるしかないのか。気が滅入るな。


まあいい。レベルアップで得た魔法を確認しよう。強くなる手段の一つだ。


【暗黒治癒:Nv1】

【通常あるいは聖なる治癒でダメージを受ける“闇系存在”専用の治癒魔法。失われた部位を再生する力を持つ。また闇を持たない存在には有害となりうる。】


これは興味深い。部位の再生も可能か……。壊れた肋骨を直すのに使えそうだ。【再生】では戻らなかったしな。


強く意識して魔法を発動させようとしたが、なぜか反応しない。え? なんで?


……考えろ、考えろ!


もしかして、スキルみたいに「ボタンを押す感覚」で発動するんじゃなくて、魔力の流れを自分で制御しないといけないのか?


そういえば、対象を指定していない。

スキルは勝手に魔力を吸って発動するが、魔法はもっと複雑な手順が必要なのかもしれない。


少し考えた末、再挑戦する。

今度は魔力が自分の内部から湧き、肋骨に集まるイメージで【暗黒治癒】を思い浮かべた。


すると、かすかな黒い光が俺から溢れ、狙った場所へと自動的に集まっていく。光が肋骨を包み、奇妙な熱が走り、骨が再構築されていく。


【魔法〈暗黒治癒〉のレベルが1→2に上昇しました】


黒い光が消えると、新しい肋骨が生えていた。


すげえ!

これなら身体が壊れても、いちいち破片を回収しなくて済むじゃないか!


……ただし効率は悪い。

一度で大部分が治ったが、消費MPは3。HPは5も回復していない。


その点、【再生】はMP1でHP10回復だ。

HP回復は【再生】が圧倒的に優秀。


なるほど、この魔法は実質“部位再生専用”。

HP回復は別。


レベル5に到達した時の報酬だろう。1/3まで来たからかもしれない。もっとレベルを上げれば、新たなスキルや魔法も増えるはずだ。


さて、MPの回復を待とう。強敵が来たらMPなしでは戦えない。


自然回復は……遅い。

2分でMP1。

HPはその半分の時間で1回復だが、今は【再生】も【暗黒治癒】もあるから問題ない。


……


……


……?


なんか……

今すぐ何かをしなきゃいけない気が……する。

すごく大事なことを忘れてるような……


その瞬間、壁の奥から石を噛み砕くような不快な音が響いた。


……あっ。


思い出した。

他のチョウル・モグラが来る前に逃げなきゃいけなかったんだ!!


くそっ!

進化とコウモリ戦、そして長考で時間を使いすぎた!


壁が裂け、そこから五つの突起が飛び出し、毛のないたるんだ皮膚をした巨大なネズミの頭がにゅるりと這い出してくる。黄色い歯で岩や土をリンゴのように噛み砕いている。


五匹のモグラが、爆散した仲間の血塗れの残骸を見て、同時に俺へ憎悪の目を向けた。


「グリィィ!!」「グリアァァ!!」

「グラァァ!!」「グルアイィィ!!」

「グリィィア!!」


怒号とともに、一斉に走り出した。

距離はあるが、到達まで数秒。……遅い。


よく考えれば、今の俺は彼らの四倍の速度がある。焦る必要も、恐れる必要もない。


今のステータスなら五匹まとめて相手にできる。……もちろん、あのコウモリみたいに何か仕掛けがなければ、だが。


一歩でも間違えたら、噛み千切られて死ぬ可能性はある。


だが――


俺は決めた。

強くなると。


多少のリスクは受け入れる。

それに、五匹分の経験値があれば、レベル最大に届くかもしれない。


よし……今回は逃げない!

力を出し切れば、今すぐにでも進化できる!


まだ距離はあるが……試したいことがある。


モグラへ腕を伸ばし、魔力を集中、放つ。

【暗黒治癒】だ。闇を持たない存在には有害だと説明にあった。


黒い光が俺の手から放たれ、二匹のモグラを包む。


途端に咳き込み始めた。


――――――――

種族:チョウル・モグラ

状態:(激昂)(呪い:小)

Nv:7/10

HP:11/13

MP:5/5

――――――――


呪われたな。

病気のようなもので、じわじわHPが削れていくようだ。


反応速度も落ちている。だいぶ弱体化した。

MPが残っていれば全員に撃ちたかったところだ。


安全に勝てる確信はあるが、油断は禁物。


……よし、時間切れだ。攻める。


咳き込んでいる二匹を無視し、残り三匹がこちらへ来る。


俺は全力で走り、一気に跳躍して三匹を飛び越え、咳き込む二匹の前へ着地した。


「グリィ!?」「グリア!?」


気づいた二匹が迎撃の体勢を取る。

俺は腕を後ろに引き、姿勢を低くして空気抵抗を減らし、さらに加速。


拳が黒い粒子で包まれ始める。


使うのは――

俺が作った攻撃スキル【死者の拳】。

速度、または遠心力で威力が跳ね上がる技だ。

高速移動か回転が必要となる。


勢いのまま、油断していた一匹の頭部へ拳を叩き込む。


「グリィィア!!」


拳の下で頭蓋が砕け、眼と耳から血が噴き出し、断末魔が響く。


【36Expを獲得しました】

【〈スカルランサー〉のレベルが5→10に上昇しました】


……え?


計算ではレベル11になるはずなのに。

必要Expが5〜6だと思っていたが……違う?


もし本当にその量で上がるなら、レベル上げは簡単すぎる。

おそらく10レベルごとに必要Expが増えるのだろう。


この調子で次の進化に届くのか?


横のモグラが仲間の死に逆上して噛みついてくる。


だが、今の俺はさらに強い!

上顎と下顎を掴み、漁網を広げるように押し開き――


身体ごと回転し、首をへし折る。


【36Expを獲得しました】

【〈スカルランサー〉のレベルが10→12に上昇しました】


うげぇ……残酷だ。

よくこんな発想が瞬時に出てきたな、俺。


計算どおりなら、今必要なのはExp20。

たぶん合ってる。


残り三匹がこちらへ戻ってくる。

だが遅い。仲間のそばに残るべきだったな。


俺は死体の尻尾を掴み、上へ持ち上げ、その重みを利用して振り下ろし、突っ込んでくる一匹へ叩きつける。

歯が両方とも砕け散った。


まだ息はあるが、気絶している。

だが容赦はしない。


気絶したモグラの尻尾を掴み、ハンマー投げのように回転し、加速。

そして遠くに逃げようとしていたモグラへ投げつける。


回転の勢いが重さの消失と共に反動になり、俺の身体も逆方向へ高速回転しながら吹き飛ぶ。


【72Expを獲得しました】

【〈スカルランサー〉のレベルが12→15に上昇しました】

【魔法〈隠槍:Nv1〉を獲得しました】

【スキル〈力焦点:Nv1〉を獲得しました】

【〈スカルランサー〉はレベルMAXに達しました】

【進化条件を満たしました】

【選択肢を表示しますか?】


投げ飛ばされたモグラたちはぶつかり合い、その衝撃で二匹が即死した。


俺はそのまま回転しながら最後の一匹へ向かって飛ぶ。


逃げようと背を向けた瞬間――

黒く輝く拳を構え、全力で叩き込む。


胃袋を砕かれたモグラは血を吐いて倒れた。


【レベルMAXのためExpを取得できません】


……なるほど。つまり最後の一匹も死んだということだ。


俺は両腕を突き上げ、叫ぶ。


よっしゃあああ!!

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