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まちがえた!!

作者: みん
掲載日:2025/10/13


 俺の高校には、マドンナがいる。


 高橋真紘たかはしまひろさん。


 セミロングの艶やかな黒髪に、真っ直ぐ伸びた背筋。


 化粧せずとも赤い唇、ぱっちりとした瞳。


 笑う時に覗く真っ白な歯、鈴を転がした様な声。


 男子生徒の憧れを沢山に詰め込んだ彼女に、俺も例外なく恋心を抱いた。


 入学式から半年経った高一の夏、俺は思い切って彼女のロッカーにラブレターを入れた。


 成就するなんて思ってない。


 むしろきっぱり振られて、今後の学園生活を穏やかに送りたかった。


 次の日、ドキドキする胸を抑えながら登校する。


 高橋さん、読んでくれたかな……。


 今日の放課後、隣の空き教室で待ってるって書いたけど、来てくれるかな……。


 俺は後ろの列の席から、真ん中の列の席に座る高橋さんを一日中見ていた。


 そして遂にやってきた放課後。


 空き教室で高橋さんを待ちながら、心臓が早鐘を打って口から飛び出そうになる。


 永遠にも思える十分を過ごし、秒針が12の文字に重なった時。


 ガラリと音が鳴って人が入って来た。


 高橋さんだ……!


 近付いてくる足音、俺は彼女の顔を見れずに、早口で捲し立てる。


 「高橋さん!!来てくれてありがとう!!お、俺……、手紙にも書いたけど高橋さんのことが……」


 「ストップ」


 全部言い終わる前に遮られ、俺は、はへぇ?と間抜けな声を出した。


 「あたし、高橋じゃなくて高崎たかさきなんだけど」


 気の強そうな声音と、その言葉の内容にびっくりして俺は目の前の彼女を見る。


 そこに居たのは憧れの高橋さんではなく、高橋さんと出席番号が一つ違う高崎さんだった。


 彼女は高橋さんと同じ陸上部で、女子の人気が高い人物だ。


 ショートカットにした日焼けで茶色くなった髪に、焼けた肌。


 気の強そうな吊り目に、ツンと尖った唇。


 高崎さんは、呆れた様に腰に手を当てて俺を見ていた。


 俺は真っ青になって慌てる。


 「ちょっと、何か言ったら?間違えてるんだから謝罪くらいして欲しいんだけど」


 すみません、内心大パニックで声が出ないんです。


 俺の様子を見てため息を吐いた高崎さんは、椅子を引いて座る。


 「まあ、真紘の事好きになるのは分かるけどね。あの子女子にも男子にも分け隔てなく優しいし、あたしだって恋人にするなら真紘が良いわ」


 すらりとした脚を組んで、頬杖をつきながら高崎さんは言う。


 俺は共感して、激しく頷いた。


 「そうなんです!俺が彼女を好きになったのも、ノートの落書きを褒めてくれたからで……!」


 「へえ、あんた絵描くんだ。いいじゃん、真紘ああ見えてアニメとか好きだから、絵描いてアプローチしたら?」


 アプローチという言葉に、俺は一気に意気消沈した。


 「い、いえ……。俺は玉砕するつもりだったからアプローチとかはいいんです」


 へなへなと背中を丸める俺に、高崎さんは、はぁ!?と声を荒げる。


 「なにそれ!めちゃくちゃダサいんだけど!あたしそういう考え方嫌い、努力もせずに諦めるなんて絶対認めないから!」


 俺は、ぐっと拳を握る。


 本当は諦めたくない、絵を褒めてくれた時みたいに、高橋さんをずっと笑顔にしたい。


 俯いている俺に、高崎さんは立ち上がって近付き、俺の背中をバンっ!と叩いた。


 衝撃に驚いて動けないでいる俺に、高崎さんは鋭い顔で告げる。


 「あたしがサポートしてあげる。あんた、何としてでもしっかり真紘に告白しな!」


 「はへぇ??」


 またも情け無い声が漏れて、高崎さんにつっこまれる。


 「情け無い声出すな!男磨きしろって言ってんの!」


 高崎さんの目は本気だ。


 俺は頷くしかなかった。


 「分かったらならよし、明日からこの教室で、昼休みに真紘攻略作戦を始めるよ」


 唐突な展開に頭は付いていっていないが、なんとか返事をする。


 にかっと笑った高崎さんは、この日から俺の友人になったのだ。




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― 新着の感想 ―
作品読ませて頂きました。 高崎さんがサポートしていく中で、主人公が最初は高橋さんだったけど…と心の変化が生まれるのではないかというくらい、間違われた側の女性が魅力的にかかれており、かっこいい女性も素敵…
こちらの作品を拝見しました。 高崎さん、男よりも漢ですね〜。 こんなの高橋さんとはまた別ベクトルで惚れてしまいますよ……! これは続きが読みたくなりますね。 面白かったです。 ありがとうございました…
高崎さん!! ついていきます!
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