それぞれにお仕事を
イセカイからここに来ていた、という人の現れ方は人それぞれで
ある国の王女だったのに冤罪で処刑されて、目が覚めたらこの国のある夫婦の子どもになっていた、とかだったり
マオウやモンスターというものと戦っていて転移の術をかけられた瞬間ここにいたという者
戦闘パーティーから追放されて1人彷徨っていたら眩い光に包まれて気がついたら知らない場所についていた
などなど
似たような例もあれば特殊な例もあり
私の国はみるみるうちにイセカイから来た人で溢れ、少なかった人口はどんどん増えていった
みんながみんなこの世界のお金を持ってない
でも無償で住まわせるには厳しい状況になったから、それぞれの世界で得意だったことを活かしてもらって働いてもらうことにした。
元の世界で騎士をしていた人はその身体能力を買って自警団やこの国の警備員の師範として採用し
教員として務めていた人は子どもたちに数式や道徳を教えてもらったり
仕立て屋をしていた人はその世界の服の流行りを取り入れて作業効率のいい服やオシャレな服を作ってもらったり
建築に従事していた人には寒さや暑さに強い建物を新築してもらったり城の強化をお願いしたり
…さすがにアイティーキギョウのエスイーというお仕事の人はコンピューター?というものがこの国にはないから、苺の栽培とかの農業を手伝ってもらっているが、テイジであがれて睡眠も食事もたっぷりゆっくりとれて幸せだと涙を流しながら喜んでいた。
元の世界ではどんな生活をしていたのか、想像するのが恐ろしいけれど、まぁ、それぞれ馴染んでもらってよかったかな?
最初の混乱もだいぶ落ち着いてきて、イセカイからの人を受け入れるのにも慣れ、かなり国が活気付いてきたころ
他国に御使いに出ていた城の者から耳を疑う話が飛び込んできたのだった…。