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いつもの日課の妄想

崩れ落ちる学校。

ひび割れた校庭。

その真ん中には二人の少年がいた。

「…本当は俺達、もっとわかりあえたんじゃないか?」

燃えるような紅髪の少年は言う。

「……」

透けるような蒼髪の少年は黙したまま。胸には幻影のような槍が突き刺さっていた。


―――――――――――――――――――――


「はぁー終わっちゃった」

僕はそういいながら手に持った漫画を閉じる。

僕の名前は筧みのる、漫画好きのごくごく平凡な高校二年生だ。

「しかし、やっぱ清浄院は最後死ぬのか」

清浄院とは、先ほど読んでいた漫画「イマジナリーワルツ」のラスボス。漫画では主人公の紀伊隼人の思い人を殺したり、世界をディストピアに導こうとしたり、やりたい放題なサイコなやつだった。

「材料はすべて出揃ったし、さてと!妄想妄想!」

僕はいつもの日課を始める。

このいつもの日課の妄想は僕が中学の時ある漫画を読んだ瞬間から始まった。

その漫画は誤解が飛び交い報われなさすぎる悲劇的な漫画だった。

しかも出てくる誤解はちょっとした事で解決するものばかり。

悲劇的展開がなければお話にならない、そう分かってはいるもののどうしても悔しかった。悔しいから妄想した。

そう、この登場人物がどう動けば最善だったとかこのシーンではこう対処して誤解は防げるとかとにかく皆幸せな最善のシナリオを考えた始めたのだ。

そうこうしてるうちに、ラノベとか二次創作界隈で転生ものが流行りだして「ああ、俺がやりたかったのはこれだ!」と一人興奮していたのは秘密だ。

そして気づけば僕は僕がもし漫画の世界の人物に転生もしくは憑依したら最善の手は何か?色んなパターンを妄想するのが日課になっていたのだ。


(やはりこの漫画の最大のキーマンは清浄院だな。こいつさえうまく立ち回れば解決しそう。よし!決めた。今回はこいつで妄想するぞ。)


そうして僕は自分がヤツデに転生した妄想を始めだした。

僕はまず物語のバックグラウンドを振り返ってみた。

この漫画の舞台は、幻想魔法が使える現代日本。主人公の紀伊隼人は、幻想魔法の中でも特殊な幻想を実体化できる魔法を代々受け継いでいる家の生まれだ。対してライバルの清浄院ヤツデは幻想魔法の名家の生まれで幻想に意思を持たせることができる。この特殊技能は代々限られたものにしか発現されない技能でヤツデは幻想に意思を持たせられることを周囲には隠していた。


僕は漫画の七巻を取り出しながら考えを深めていた。

(時系列で整えていくとこの七巻の回想のシーンが一番初めに当たるな)

七巻は行方不明になっていた主人公の弟、鷹人がメインに出てくる巻だ。

鷹人は幼い頃、ヤツデに誘拐され洗脳されていた。

ヤツデが黒幕だったと明かされるのもこの辺りからだ。


(まずは、この誘拐のシーンをなかったことにして紀伊家の平和を確保するぞ。)

妄想の中では、シーンの訂正なんて簡単だ。

ただ、今回は一つ注意しなければならない点がある。

ヒロインのさざんかの問題だ。

ヒロインのさざんかはヤツデに造られた意思を持つ幻想で、誘拐された鷹人の実体化魔法で実体になることができた。

鷹人が誘拐されなければ、さざんかはただの幻想のままだ。

(幼馴染になって正攻法で実体化してもらうに限るなやっぱ!)

僕は平和的な解決法を選んだ。

(ただ、主人公があやめさんを選ぶかさざんかを選ぶか悩ましい所だなあ……)

僕は途中でヤツデに殺される主人公の想い人のあやめさんの処遇について考え始めた。

(個人的にはさざんかを応援したいところ。でも、さざんかが隼人を守ると決意するシーンや、隼人がさざんかが幻想と知って戸惑うシーン、そして、受け入れるシーンがカットされるよな……それじゃあやめさんを選んじゃいそうだし……)

そこで、僕は考えた。

あ!さざんかが主人公の少女漫画にしちゃえばいいんじゃね??

ただ、今の妄想だと僕が操作できるのはヤツデだけだ……どうしたら上手く立ち回れるだろう?

ってああ!もう寝る時間だ!

僕は眠りについた。



『今宵は夢の世界へと誘いましょうグッナイみのる少年』


僕は目を覚ました。

と同時に違和感が襲う。

どう考えても体が小さい。

「ヤツデ起きたのか」

やややヤツデーーーーー!!??

鏡を見るとそこには幼少期のヤツデが存在した。

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