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設定厨の異世界転生  作者: なみお
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プロローグ

ここは冬の日本、北海道に住んでいるが、雪は積もっていないし、まだ気温が7度くらいある。しかも今は家の床暖房をつけ、ヒーターを入れ、それなりの服装でいるので寒さは全くと言っていいほど感じない。それに、今は荷造りに集中しているので特に気にする理由はなかった。


「ふんふふふ〜ん♪春からは〜夢の東京暮らし〜♪」


なんの恥ずかしげもなく一人で即興の歌を歌っているのが私、島原細子(しまばらせいこ)22歳である。

今は1月で、3月から東京にあるインディーズのゲーム会社に勤めることが決まっているので、来月から東京に引っ越す予定になっている。

私が高校一年の頃、友達とどちらが高校卒業までに”凄いモノ”を作れるかという勝負をする事になった。その勝負の時私は簡単なゲームを作って驚かせようと思っていた。しかし、設定を詳細まで考える作業が楽しすぎて、結果最大限妥協した状態で二年生の終わり頃になっていた。そのあと必死にゲームを作る努力をしたが、納得したものが出来ずに高校卒業の日になってしまい勝負には負けた。友達は機械音声で歌を作ったらしく、試しにネットにあげ所そこそこ再生数が伸びていた。(私はその曲を気に入った)


高校を卒業し、ゲームを作る理由は無くなってしまったが折角青春の半分以上をかけた我が子供のような設定達を捨てることはできず、結局大学に入ってからも作る事にした。サークルに入る事なくせっせと作業をしてい所、大学2年の半ばにゲームが完成した。折角完成したゲームなので勝負をしていた友達にみせてみた所、


「これ凄い面白いし売ってみたら?安めの500円くらいで設定したらお小遣い稼ぎできそうだよ?」


と、言われた。私としてはちょっとしたお小遣いが手に入ったら良いなという淡い思いを抱き、なんか神ゲー感あるくね?というくだらない理由から540円という値段設定にし、販売してみた。

その後、有名実況者に取り上げられて知る人ぞ知る神ゲー扱いされ、若くしてそこそこの貯金ができてしまった。



そうしてゲームを作る事に楽しみを覚えた私は、進路を大学の時にどっぷりハマってしまったゲームを作ったゲーム会社に入社する事に決めた。それが先程書いていた東京のゲーム会社である。


「あぁ〜、来月から都会住みなんて楽しみだなぁ」


来月からの明るいはずの毎日を考えるとどうしてもニヤニヤしてしまう。少しは気を引き締めなければ、なにか失敗してしまいそうなのでしっかりしようと思っていたらそこへスマホの着信音が鳴る。誰だろうと思い画面を見ると、そこには[まーしゃん]と書いてあった。まーしゃんとは高校時代に勝負をしていた友達のあだ名で、職員室で麻雀をし先生に圧勝したために本名にかすりもしていないあだ名をつけられた子である。

何はともあれ、取り敢えず電話に出る事にする


「もしもし〜」

「あっサイコ?今から時間ある??」


サイコは私のあだ名で、せいこと最初に読める人がいないことが起因している。


「いいけど、なんか用事でもあるの?」

「違う違う!ただ一緒にご飯でもどうかなって思って」

「まだ晩ご飯食べてないから行くけど、どこ行けばいい?」

「あのね私、いまあなたの家の前にいるの」

「.......は?」

「私メリーさん、今あなたの家のドアの前にいるの」


すこしゾワっとしてしまい、怖くなったがドアを開けに行った。が、誰もドアの前にいなかった。


「ごめんごめん、ちょっとした冗談!本当にドア開けてくれるとは思ってなかったの!とりあえず、今は駅前にいるからなんか買ってそっち行くから要望を聞いても?」


かなりのびっくりと多少のウザさがあったが、まぁ平常運転なので立ち直りはなかなか早い。


「スーパーで温玉弁当と乾パン買ってきて、奢ってね」

「弁当は奢ってあげる、じゃまたあとで〜」


突然友達が家に来る事になった。正直、今家は色々な資料本やラノベを詰めたダンボールがいっぱいあって不格好なのであまり見せたくないが、親友の顔が見たいのでついつい誘いを受けてしまった。

過ぎたことは気にしても仕方ないので、荷物の仕分けと段ボールづめを再開する。



暫くした後、チャイムが鳴ったのでドアを開けるとそこには来る予定だった親友ともう一人女の子がいた。この子は大学で仲良くなった子で、黒髪セミロングな絵に描いたようなスーパー清楚ちゃんの華野玲奈である。肩に乗るくらいの髪が非常に可愛らしい。ちなみにまーしゃんの本名は八木花子で茶髪のショートで非常にお姉さん力が高いと思う。


「ごめんね細子ちゃん、連絡なく押し掛けちゃって。」

玲奈が謝る。


「いいよいいよ、一人や二人増えた所で家に入らないわけじゃないし」

「ありがとね細子ちゃん」


玲奈のニッコリ笑顔は相変わらず可愛い。この天使が風邪にでもなったら困るので取り敢えず、二人を部屋に入れる


「電話の後買い物行く途中で会ってたからご飯に誘ったんだよ。お菓子も買ってきたからさっきの電話の件はチャラにして」

「相変わらず図々しいけど甘いものがあるなら許してあげる」

「ありがと、あ、電子レンジ借りるね〜」

「私のも温めといて〜」

「私のもお願いします」

「うぃ〜」


3人分の弁当を温め終わると、すこし早めの晩ご飯を食べ始めた。


「サイコは来月から東京行くんだっけ?」

「うん、めでたく行きたい会社に就職できる事になったから楽しみだよ」

「細子ちゃんたまには帰ってきて顔見せてね?遠くへ行ったきり友達と疎遠なんて寂しいでしょ?」

「最初の頃は難しいかもだけど、来年も初詣は3人で行く予定にするからちゃんと予定開けててね?もし裏切ったら西はサンフランシスコ、東はワシントンDCまで追うからね」

「地の果ての代わりにアメリカ横断しないで.....まぁ、予定は開けておくからちゃんと帰ってきてね?」

「善処します」


他愛無い話をしながらその後、ご飯を食べ終えるとスイーツがテーブルの上に並べられ始まる。最近のコンビニスイーツはなんと罪深いのだろうか、ケーキもエクレアもパフェだってある。しかもそのどれもが非常に美味しいのもまた悩みの種である。計7個のスイーツが並べられたテーブルを睨む。


「ひとり2個までね〜あまりは私がお持ち帰りするから遠慮せずにとってね」

「悩んじゃうな〜、このずんだケーキって美味しいのかな?」

「こんな変なのがコンビニにあってビックリしたよ」

「変なのって作った人にに失礼でしょ、花子ちゃん」


ちょっとした雑談も交えながら私達は誰がどれを食べるか決め始めた。

こんなくだらない日常も、来月からは味わえないかもしれないと思うとちょっと寂しい気持ちもしたが辛気臭いこと考えてたらクリームの味が楽しめなさそうなので考えない事にした。


「わぁ〜、このずんだケーキ美味しい!」

「え!まーしゃんちょっと分けて」

「サイコとレイのケーキ一口ずつで」

「なんで私まで条件に入ってるの...まぁ、私もちょっと気になってからいいけど」

「苺味のクリームを使ったケーキも美味しそうだったからさ、ずんだケーキ二口分あげるから許して♡」


結局みんな同じものを食べる事になるのだが、賑やかなのは嬉しい。こんなやりとりはこれまで何回やってきたかわからないくらいだが、よくもまぁ飽きないものだ。

全く変わらない自分達に少し呆れつついろんなスイーツを食べていた。カロリーは気にしないようにした。




みんなが帰ったあと、後片付けが終わったならば準備再開だ。どう使うのかわからない資料本などがあるので捨ててもいいが、なんか捨てられないので、全てダンボールに詰めているせいで量がの問題でどうしても種類分別に時間がかかる。入社してからすぐ企画を出したいので面接に合格した時から構想は練ってある。まだ完成したわけではないのもう少し設定を詰めてストーリーを完成させたい。本来ならストーリーは概要だけで完成させる必要はないのだが、私が知るところではなかった。


ひとまず全ての作業を終えた私は疲労が凄いのと深夜であるので、もう寝ようと思う。もう東京の家自体は契約済みなので、移動しようと思えば今すぐ行ける。明日には引越し業者に頼んで送ってもらうのもいいかもしれない。最後に友達といい思い出()ができたのでこのまま気分良く旅立ちたいので、予定を繰り上げる事にした。予定としては三日後から行動を開始する予定だ。その間に両親とその他の友達と別れを済ませるつもりだ。

明日からの予定を決めた私は布団に潜り込んだ。

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