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「ねぇ。それって惚気なの?」
「違います……」
「もう! 敬語は要らないって言ってるじゃない! お忍び感がでないわ。公式の場でもないんだし。何回お茶してもカタいんだから」
庶民に人気のカフェで大きな口を開けパフェを食べているエレーナ様。
この仕草を見て誰が公爵令嬢だと思うだろうか。それにエレーナ様も私も目立たないような簡素なワンピースを身に着けている。
以前お忍び姿のエレーナ様と偶然町で遭遇して以来、月に1回、学園の休日にカフェで一緒にスイーツを楽しむ仲になってしまった。エレーナ様は庶民の女子がよくやる女子会なるものをやりたかったようだ。
学園では他の令嬢・令息達の目があるので中々気兼ねなく話すことはできない。
「はぁー。美味しい。パフェ考えた人って天才!」
口の端のクリームを指で拭いながらエレーナ様は幸せそうだ。
「あ、そうそう。アッシーの話だったわね」
「アシュフォード様です……」
「スキンシップが増えてきて困るって? 異性として意識されてるからいいんじゃない? アッシーもそこは年頃の男ってことかしら」
エレーナ様はアシュフォード様のことを陰でアッシーと呼び続けている。
「いいじゃない。愛されてて。私の婚約者のエドエドなんか見てみなさいよ」
エドワード殿下はエレーナ様にかかるとエドエドである。
「エドエドの頭の中なんてこのパフェより甘いんじゃないの?」
エレーナ様の言うことは厳しいようだが、残念ながら学園での様子を知る私ではエドエド殿下をフォローできない。あ、エドワード殿下だった。もういいか、エドエド殿下で。
「婚約者費用使ってキャミラちゃんに貢いでるわよ。この前、王妃様から聞かれたのよね。あのネックレス気に入った?って。エドエドが時間をかけてデザインを選んだんだって。でも私、学園に入ってからエドエドから贈り物なんてもらったことないから! 税金を勝手に使うんじゃなーい!」
エレーナ様は今度はケーキにフォークを入れながらグチグチ言っている。カミラ嬢はキャミラちゃんのようだ。
どうやらエレーナ様は鬱憤がたまっているらしい。
「アッシーが良い仕事してくれて助かったわ。相変わらず憎たらしいほど有能よね。しかも顔もいいし」
「あの……エレーナ様はアシュフォード様と婚約すればよかったのでは?」
「えー。それは無理よ。あんな嫌味な男は結婚相手としては無理ね。観賞用よ、観賞用。それにアッシーはあなたにベタぼれじゃない。あなたにだけこのケーキより甘い顔してるわよ。他はゴミ見るみたいな目で見てるのに」
「はぁ……どうして釣り合っていない私なんですかね……エレーナ様相手ならわかりますが」
「アッシーのあんな顔向けられるなんて想像する前から鳥肌立つからやめてよ。あんなにデレデレされてるのに何でそんなに自信ないのよ。愛されてるんだから胸を張っておきなさい」
「ただ純粋に疑問で……」
「その疑問はアッシーに聞きなさいよ」
「いえ、聞いたらスキンシップが酷くなるんですよ」
「なんか……胸やけがしてきたわ」
「コーヒーでも頼みますか?」
「一番苦いのでお願い。あと、限定ケーキも食べるわ」
「え、ケーキを更に食べて胸やけ大丈夫ですか?」
「あなたとアッシーの惚気に胸やけがしただけよ。こんな時はケーキを食べないとやってられないわ」
カフェはカップルで混雑し始めていたが、すぐにケーキとコーヒーがサーブされた。
長くなるので一旦ここで切っております。