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「ブロンシェに話すわけがないでしょう」


「は? まさか本当に話していないのか!? 今回のことを全く? 嘘だろう?」


「話せるわけがないではないですか。こんな重荷をブロンシェに背負わせるわけにはいかない」


「いや、その……あれだ。一部だけ話すとかいうこともできるだろう」


「一部だけ話してもいつか勘づいてしまうかもしれないでしょう。なら、何も知らない方が幸せだ」


「いやそうは言ってもだな。女は隠し事をされるのが嫌いだろう?」


「なぜいきなり主語が大きくなるんですか。大体、私だって知ってから一週間は悩んでろくに寝られなかったんです。ブロンシェにそんな思いはさせたくない。あなただってエレーナ嬢には話さなかったでしょう」


「エレーナはああ見えて人形だ。自分の意思をきちんと持っていない。物事の裏も読めない。だから言わなかった。お前が言わなかった理由とは違う」


「殿下はエレーナ嬢が大切でなかったということですか?」


「人を鬼畜みたいに言うな。哀れだから言わなかっただけだ。王妃に感じていることと一緒だ。あまりに哀れだろう」


「そんな理由ですか」


「俺は弱虫なんだ。派手に婚約破棄をして幽閉されて毒杯を飲む勇気もなければ、全てに目を瞑って王太子になる未来も選べない。だからこうして逃げて来た。お前だって分かっているだろう。あのヘタレの方がよっぽど勇敢だよ」


今度はエドワードが自嘲気味に笑った。


アシュフォードが差し出した封筒をエドワードがその場で見たら計画続行。その場で見なかったら保留。二人で決めていた合図。

アシュフォードは内心、何度も封筒をこの場で見ないでくれと願った。その度にエドワードは躊躇いなく破って封筒の中身を見る。そう、毎回迷っていた自分の方がよっぽど弱虫だ。


***


「ねぇ、私達って来る意味あった? ないわよね。帰っていいかしら」


「まぁまぁ」


「来なかったらブランドンとデートできたのに」


「まぁまぁ」


エレーナ様の御邸、つまりハベル公爵邸に遊びに来ています。婚約が決まったのにヘタレ王子が「恥ずかしいし、会話が持たないから一緒に来てよぉぉぉぉ」と煩いので、ジゼル様とブランドン様と一緒にお邪魔しています。


ジゼル様の仰る通り、私達別に来なくて良かったんじゃね?という雰囲気ですが。別に拗ねてません。

ハベル公爵夫人も交えて楽しそうに3人で喋ってるし。エレーナ様なんて微笑んでピンク色の雰囲気だし。


ちなみにフロスト王子はヘタレすぎて、エレーナ様にだけはネイルができない。近づくのが恥ずかしすぎるんだそうだ。


「そもそもアシュフォードはどうしたのよ」


「エドエド殿下が荒れているようで、様子を見に数日前から行っています」


「あぁ、ウワサは聞いてるわ。領地の城の壁を剥いだとか、穴をあけたとか。ついていったカミラさんだったかしら? 彼女が暴力に怯えているとか。アシュフォードも大変ねぇ。それに比べてあのヘタレ野郎は平和だこと」


「ヘタレ野郎って……。これから公爵家での教育もスタートしますから大変になりますよ」


「それもそうねぇ。オルグランデ王国との交易が盛んになる方が益と判断されてすぐ婚約できてよかったわよね。ヘタレのくせに良いところはサラッと持って行くわよね」


ジゼル様はフロスト王子に対しては辛口だ。何か恨みでもあるのかというほど、ツンデレのツンしかない。ツンツンのツンである。


「卒業パーティーの衣装の準備は進んでいますか?」


延々とヘタレに対する愚痴が続きそうなので、話題を変えてみる。


「侯爵家の威信にかけて進んでいるわっ!」


「それは良かったです」


ジゼル様は一気にご機嫌になる。ブランドン様とお揃いで衣装を仕立てているのが楽しいらしい。


「あなたもパーティーのためのドレスはとっくにオーダー済みでしょう? このままだとあの第一王子は不貞腐れて不参加だろうし。卒業パーティー楽しみね!」


「そうですねぇ」


「辛気臭い顔してどうしたのよ?」


「なんだか終わった感じがしなくって。変な感じなんです。これでいいのかなって」


「あぁ、そういえばメアリの婚約の件がまだ終わってなかったわね。今週顔合わせなのよ。それでかしら?」


「……そうでしょうかねぇ」


「メアリの婚約が流れそうな不吉なこと言わないでよ。流れたら次見繕えばいいだけなんだし。あなたも疲れてるんじゃない? アシュフォードも体調崩していたし、ずっと忙しかったものね。きっと疲れてるのよ。よし帰りましょう。あのヘタレは放っておいて」


モヤモヤする私に対してジゼル様は相変わらずハッキリしていた。

よっぽど帰りたかったらしい。


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