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いつもお読みいただきありがとうございます!

ブクマ、いいね、誤字脱字報告もありがとうございます!

テストも終わり、長期休暇がスタートする。


ブランドン様の成績がまた上がったので、再度カンニングを疑われて教師に呼び出されるというアクシデントがあった。

今回は婚約者となっているジゼル様が堂々と「そのケンカ、買ってやりますわ」と高笑いしながら教師部屋に向かった。ケンカを買うよりも売っている気がするのだが、そこはダフ侯爵家パワーでなんとかするのだろう。アシュフォード様も「あいつが買わなかったら、うちで買ったのに」と笑いながら怖いことを言っていた。

すっかりブランドン様は「バカ」の称号を返上してしまっている。



そして私たちはというと。


「暑いな……」


「暑いですね……」


「本で読んでいたが、本当に暑いな」


「溶けそうです……アイス美味しい」


オルグランデ王国に無事入国した。「暑い」のワードだけで一時間は会話が成立しそうなほど日差しがキツイ。太陽が人間を殺しに来ている。


「エレーナ様は結局どうされるんでしょうね」


「オルグランデ王国での公務を一つ投げてきたから、来たかったら来るだろう。これで行動しないようならもうあのアホと結婚するしかないんじゃないか。ま、ブランドン達に探らせたら商人を呼んで薄手の衣類をたくさん購入したそうだから来ているんだろう」


アシュフォード様が衣服の襟元を緩めているのが無駄に色っぽい。

ハウザー公爵家の密偵とブランドン様に探らせたようだ。もうブランドン様は騎士団長じゃなくて密偵を目指した方が良い気がする。


「まずは目的を遂行して、その後で観光しよう。それにしても、観光客への優遇がすごいな」


私は周囲に紛れることができるが、アシュフォード様は目立つ。豪商の息子という体で店に入っては店主や店員たちと雑談している。


「いやぁ、年々税が上がっててねぇ」


「今年は長雨で野菜が高くって……」


そんな話を仕入れまくっている。

移動の疲れもあって軽めの夕食を摂り、一旦宿の部屋に戻る。宿の受付でそっとメモを渡された。



そして日が沈んでから、私とアシュフォード様はいかにも怪しげな酒場の前にいた。メモに書いてあった住所である。オルグランデ王国は観光に力を入れているので治安は良いのだが、やはり大通りから何本か入り組むとこんなところはあるのである。


「本当にここなんですかね……」


「住所は合っているな」


アシュフォード様が握る手に力が入る。怪しげな酒場の前で手を繋いでいる私達もヤバイかもしれない。


「なんかこう……廊下の奥で違法なことをしていそうな臭いがしますね」


「そうだな。じゃあ、白豚王子……いや育ちの良い牛王子とご対面と行こう」


アシュフォード様、ジゼル様に毒舌で先を越されたことけっこう気にしてます?



その頃ジゼルは―


「何かが足りないわ……」


前日にブランドンとの念願のデートをしたにも関わらず、物憂げにため息をついていた。


「何なのかしら、この心にぽっかり穴が空いた感じは」


昨日のデートは楽しかった。

天気も良く、ピクニック日和だったし。お父様の邪魔もなくブランドンを独占できたし。蝶が綺麗だと言えばブランドンが走ってジャンプして捕まえてくれたし。いや、蝶は別にいらなかったけどね。花を摘んでこないところがブランドンっぽくて良かったけどね。でも、頑張って捕まえてくれたのは嬉しかったけどね。


しかし、何だろう。この何か満たされない感覚は。ブランドンのテストの点も上がっているし、侯爵家の教育についてこれなくて、お父様に婚約解消されそうなんてこともないのに。むしろ安心・安泰で安全。


「んん?」


気晴らしにショッピングに来たものの、自分の気持ちを持て余しているジゼルの視界にあるものが目に入った。


「あら」


しばらくそれを見ていたが、ジゼルはやがてニンマリした。

★既刊情報&特設サイトについて★

2月14日に発売された「憧れの公爵令嬢と王子に溺愛されています⁉婚約者に裏切られた傷心令嬢は困惑中」の特設サイトができました。


https://www.cg-con.com/novel/publication/09_treasure/02_dekiai/


こちらでWEB限定SSも公開中です。

本をぜひお手に取って頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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