表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/68

28

いつもお読みいただきありがとうございます!

いいねや評価・ブックマーク嬉しいです。

「でもさ~、アッシュならあの男爵令嬢、簡単に暗殺できるよね? なんでやらないの?」


エレーナ様が過度のイチャつきに耐え切れず帰宅してしまった後のお部屋で。

昨日に引き続き場所によってはばっちり見える密会をスタートしたエドエド殿下とカミラさんを眺めながら、ブランドン様はなんてことないように口にした。


「アホか。そんなことしたらまずエレーナ嬢が疑われて、次に私達が疑われるだろう。証拠がなくとも変なウワサを流されて領民にでも広まったら、ウワサを消す方が面倒だ。民心が離れたら困る」


うん、暗殺できることは否定しないんですね。


「それに駆除したら次が湧いてくるかもしれないから、頭がスカスカな女だと都合がいい。変に悪知恵が働く身分の高い女が出てきたら困る」


「そっかぁ。アッシュは頭いいもんなぁ。行動読めちゃうもんね」


相変わらずのこき下ろしっぷり。

ブランドン様は皮肉が分かっているのかいないのか、私が用意した紅茶を嬉しそうにジゼル様とアシュフォード様に運んでくれている。犬の尻尾が見えるのは私だけではないはず。あと、ブランドン様の会話内容が最近少し知的になってきた気がする。



「結局、この王子殿下はどんな方なのかしら。情報が他と比べて少ないわね」


ジゼル様は婿最有力候補の資料を覗き込んでいる。


「1つ国を挟んでいるから調査に時間がかかる」


「もし虐げられている方ならこの国に婿入りしやすいのではないですか?」


「あぁ、そう思って候補に入れてある。エレーナ嬢と面識があることもプラスの要素だな」


「変に国内の有力貴族と婚約したら継承権争いが勃発しますものね」


「ボッパツ? なにそれ? どんな髪型?」


真面目なお話にブランドン様の間の抜けた声が入る。

ジゼル様が勃発の意味を説明し始めたところで、ドアがノックされた。


エレーナ様は帰ってしまわれたし、そもそも彼女にはこの部屋の鍵を渡してあるのでいつもノックはしない。全員で顔を見合わせて頷き合い、私がドアまで近づいた。ブランドン様が重そうな辞書を片手に後ろから付いてくる。

その辞書ってもしかして護身用? 勉強用じゃなくて?


「どなたでしょうか?」


ドアの前には人の気配がする。鍵がかかっているドアを開けずに私は聞いた。


「あの……ハウザー様に聞いていただきたいことがあります。こちらにいつもいらっしゃると聞いて」


幼さの残る男子生徒らしき声だ。聞き覚えはない。

チラリとアシュフォード様を見ると、書類を見えないようにまとめながら面倒くさそうに「中には絶対に入れるな」と小声で言われた。ジゼル様と言えばドアのところまでやってきて「なんだか事件が起きそうな予感がするわ。いつでもドアを閉めて追い出せるようにしとくわね!」とドアに手を添えてノリノリでスタンバイしている始末。


「では、まずご用件だけ伺います」


ブランドン様が守るように前に出てドアを開けた。


制服の袖口の色からして、私たちの1つ下の学年の男子生徒が女子生徒の肩を抱いて立っていた。女子生徒は教科書を1冊握りしめている。


うわぁ、なんか面倒くさそう。アシュフォード様の勘はおそらく当たっている。


【書籍情報】

第9回ネット小説大賞で金賞を受賞した小説が2022年2月14日に書籍化されました!

「憧れの公爵令嬢と王子に溺愛されています⁉婚約者に裏切られた傷心令嬢は困惑中」

ラブコメディです。この小説でもコメディによく走っております。イラストは鳥飼やすゆき先生に担当して頂きました!


挿絵(By みてみん)


紙の書籍と電子書籍が好評発売中です。こちらも良ければどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ