11
お読みいただきありがとうございます!
ブクマ・評価もありがとうございます!
学園で張り出される成績。
トップはもちろんアシュフォード様。
決して簡単ではない学園のテストで毎回悠々と満点を叩き出す。
筆記問題が多く出題された時はなぜか満点より20点も高い点がでーんと記載されていたこともある。
そして2位にはいつもエレーナ様が続く。
ちなみにエレーナ様は王妃教育があるため、学園に来れない日や早退する日が多い。エドエド殿下は第一王子だが立太子していないので、王子妃教育と呼ぶのかもしれないがエレーナ様から聞いた内容によると、王妃様直々に教えることもあるそうなので実態は王妃教育だろう。エドエド殿下が立太子しなかったらエレーナ様どうなるのかしら? やっぱり第2王子の婚約者になるのかしら? その前に頑張って婚約解消にもっていくのかしら?
「そんなゴシップ新聞を読みながら時間がないと抜かすのか」
「えぇ、これは私の大切な大切な時間ですの。邪魔しないでいただけるかしら?」
「邪魔はしていない。お願いしているだけだ。いや提案が正しいか」
「あなたの犬に勉強を教えるお話? 私、ご覧の通り忙しくって。お断りしますわ」
「ほぅ? 婚約破棄事件を150年前まで遡る時間もあるのに?」
「おほほ。あの女狐があまりに目障りだったので、つい。殿下もなんだか腑抜けていらっしゃるようですし。あれは私なりの親切心ですわ。つまり女同士のコミュニケーションの一環ですのよ。殿方に口を挟まれる謂れはございませんわ」
はっ!
目の前の言い争いから現実逃避してしまっていた。
ここは図書室。
広い自習机一面にゴシップ新聞をバーンと広げて座るのは見事なプラチナブロンドの令嬢。その向かい側に立ったままのアシュフォード様。
ゴシップ新聞は図書室に置いてあるものだ。貴族や有名俳優のゴシップなんかも書いてあるので事実かどうかは分からないがとりあえず暇つぶしに私は読む感じだ。他の令嬢達も結構読んでいる。
あら、なんだかここだけ酸素が少ない? いや寒い? なんだか寒気がするので腕をさする。
先ほどまで図書室にいた他の生徒たちは会話が始まるとあまりのピリピリとした緊張感に退散していった。いつもは課題に取り組む生徒が何人もいる図書室が現在は貸切状態である。
アシュフォード様の無表情で凍てつく視線をご令嬢は笑みを浮かべて平然と受け流す。
彼女の名はジゼル・ダフ。ダフ侯爵家のご令嬢だ。あのエレーナ様がムカつくとぼやいていた方だ。
並みの令嬢や令息ならアシュフォード様のこの視線を受けてガクガクブルブル震えるはずだが、彼女は優雅に笑みをたたえている。それだけで凄い。というか怖い。私も逃げたい。
「気の強いことだ。これでは令息達は逃げ出すだろうな」
あー、ジゼル様には婚約者いませんからね。この勝気な性格のせいかは知りませんが。
というかアシュフォード様、この場面で私の腰を抱いておく必要性あります? ないですよね? ジゼル様への当てつけですか?
「まぁ、婚約者のことをあなたも心配してくださるの? 安心なさって。私に婚約者がいないのではないの。『彼』に『私』という婚約者が足りないのですわ。おーほっほっほ」
すごい。その強気発言。
聞き手に中々のダメージを与える発言だ。
カミラさんも会話が通じないというダメージを相手に与えるが、ジゼル様はまた違ったダメージの与え方だ。
「あの……アシュフォード様。向こうで待っていてください。私がお話しますので」
恐らくこの二人ではこの調子で会話が進まないだろうと思い、口を出す。
アシュフォード様は不満げにブツブツ言っていたが、私の頭にキスを落とすと二つ向こうのイスに腰を下ろし、嫌味なくらい長い足を組む。もう少し離れていて欲しかったが隣でなかっただけまぁいいか。