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多忙すぎて連載が全然書けない中、ちょっとコメディを思いついたので。

相変わらずの設定ゆるゆるです。

「近寄るな、香水臭い」


「せめて人間の言葉を理解できるようになってから口を開いたらどうだ?」


「はあ? クッキーを焼いてきた? 私に毒でも盛るつもりか?」


そこらの虫を見る方がまだ優しいんじゃないかと思うような冷ややかな視線と、今日もキレッキレの毒舌。

毎日よくこんなに毒のある言葉が出てくるものだと感心してしまいます。

しかし、言っている側の顔面偏差値が高いとなんだか毒舌も崇高なものに聞こえてくるのは私の気のせいでしょうか?


あ、ご心配なく。大丈夫です。私に向かって言われた毒舌ではありません。


冒頭のセリフを口から紡いでいるのは、切れ者と名高い現宰相様の嫡男、アシュフォード様。

宰相様の教育の賜物なのか、ご本人の努力の賜物なのか、アシュフォード様も大変優秀な方です。

整いすぎて普段でも冷たく見えるお顔は、口を開くとさらに冷たくなります。

その澄んだ青い瞳が細められると、首筋に氷の刃でも突き付けられているような気分になります。

女性でも羨むほど透き通るような白い肌。銀色に光る長めの髪はいつも一括りにされて片方の肩に流されています。

うーん、アシュフォード様の美しさを形容するには私の語彙力では厳しいようです。

アシュフォード様を見た女性が10人いたとしたら10人全員が見惚れるほどといえばいいのでしょうか?人の集まる場所に行くとそんな感じです。


あ、そうそう。

目の前のご令嬢は、毒舌を吐かれながら勇敢にもアシュフォード様にくってかかります。

いえ……勇敢と無謀は紙一重ですわね。

この方は、殿下が気に入っていつも一緒にいるというご令嬢ですね。今は殿下はいらっしゃらずお1人ですが……。


「酷い! 私はアシュフォード様ともお話したいだけなのに!」


「勝手に名前を呼ぶな、腐る」


え、腐るんですか……なんて思っても私も令嬢の端くれですから。はしたないツッコミは入れません。

でもちょっと笑ってしまいそうになりましたので、この場をしれっと退場しようと横に足を伸ばしました。

お、それにしても今日はギャラリーが多いですね。

まあ人通りの多い学園の中庭での騒動ですからね。


そんなことを考えていると、腰をぐいっと強く引かれました。

はぁ。残念ですが、逃亡には失敗したようです。


「ブロンシェ、どこに行くんだい? 私とこれから図書館に行くのだろう?」


先程の凍てつく視線は欠片もなく、私を見つめるアシュフォード様の目は……うーん……どう見ても甘い。氷が水になりそうなほど熱さをはらんでいます。


「自習の席取りに行こうかと思いまして……」


「席がなければ私の膝に座ればいい」


「それでは勉強できませんから」


「ではうちの屋敷で勉強しよう。明日は学園も休みだ。泊まっていくといい」


「そういうわけには……」


密着してくるアシュフォード様の体を押し返しながら、ギャラリーの皆さんの雰囲気が段々と生温くなっていくのを肌で感じます。


そう、この毒舌男、いえアシュフォード様は私の婚約者なのです。

この学園の七不思議に数えられる位、不思議なことです。

だって私は平々凡々な伯爵令嬢なのに。



お読みいただきありがとうございました!

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