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 俺が次に目を覚ますと、そこは森の中だった。見渡す限り木ばっかり。なぜこんな場所に転生させられてるんだ? 俺には親知らずが生えないという使えない能力しかないんだぞ。この状況からどうやって抜け出せっていうんだ? いや、一つだけ可能性は残っているか…………俺のすぐ横で寝ているセイコさんに頼るしかない。


「すいません。起きてくださーい」


 俺が呼びかけると、セイコさんはビクッとなって目を覚ました。


「あれ? なんで私はこんなところに? え? アキヒコ君なんでいるの?」

「よく思い出してください。俺たちはさっき変な場所で変な少女から変な能力をもらったじゃないですか。異世界転生プロジェクトとか言って」


 俺がそういうと、セイコさんは思い出すように考え込んだ。そして、納得がいったのかこちらをみて。


「確かにそうだった気がするよ。私がじゃんけんに勝ったんだよね。それでアキヒコ君は親知らずが生えない能力に…………なんかごめん」

「しょうがないですよ。もしかしたら逆だった可能性もあるんですから」

「そうだね。それとそのしゃべり方やめてほしいな。学校ではみんなに敬語なんて使ってなかったよね?」


 それは当然だけど。俺が学校でも一、二位を争うような美少女のセイコさんにため口で話すなんてハードルが高すぎる。俺なんてこれがしっくり来てるくらいだし。


「そういわれても…………」

「敬語やめてくれないと、私一人でいっちゃうよ。アキヒコ君をここに置いて」


 え? そんなことされたら、俺のセカンドライフただのサバイバルになるんですけど。てかため口でしゃべれば一緒に行動してくれるってことか? それなら敬語でしゃべってる場合じゃない。こんなことで俺の楽しいセカンドライフのためになるんなら頑張らないと。普通の友達だと思えばいける!!


「わかった。えーと……フランキーさんって呼べばいい?」

「それはやめて。さっきも呼ばれてすごい嫌だったんだから。普通に呼び捨てでいいよ」

「そうなのか。セイコって呼べばいいってこと?」

「うん、それでいいよ。私だってアキヒコ君って呼んでるんだから」


 ふう、これでいきなり一人ボッチになることは避けられた。しかし、まだ大して状況は変わってない。俺はセイコの機嫌を損ねてしまったら、瞬時に人生ハードモードになってしまう。


「この状況どうする? 近くに街や村はあるのか?」

「私にはわからないよ。でも私は今超人的な能力を持ってるはずだからちょっとジャンプして見てみるね。ごめん、危ないかもしれないから少し離れてて」


 一般人の俺が近くにいたら、ジャンプの風圧でぶっ飛んじゃうかもしれないもんな。セイコの言う通りちょっと離れとこう。ジャンプの風圧で人生終了とかマジで勘弁だ。


 セイコが足に力をいれ、ジャンプすると、すごい轟音ともに消えた。上を見上げようにも気が邪魔でまったく見えない。てか、セイコは木にぶつからなかったのか?


 そのままセイコが戻ってくるのを待っていると。


 ゴオオン!!


 すごい音がしてセイコが戻ってきた。こう見てみるとやっぱりあの少女が言ってたことは本当だったんだと身に染みてわかる。なので俺は本当に親知らずが生えてこないのだろう。異世界でそんな能力をもらってどうしろと? 何に使えばいいんだ?


「ジャンプするとき木にぶつかったんだけど全然痛くなかったよ。あ、それで街なんだけど。あっちの方向にかなり大きな街が見えたよ」


 やっぱり気にぶつかったんだ。意外とドジなのか? 少し考えれば上に木があることくらいわかると思うのに。いや、それよりも今は街を発見できたのがでかい。これでこの森で人生終了ということは無くなった。てかめっちゃ葉っぱついてるんですけど。


「よかった。本当にこのまま死ぬんじゃないかって思ってたぐらいだし。セイコのおかげで助かった」

「ふふ、そんなに褒めなくてもいいよ。私にしかできないんだからやって当然のことなんだから」


 自分についたはっぱを払いながら、嬉しそうにはにかんでいる。言葉の割にはすごい嬉しそうなんだけど。俺みたいなやつからでも褒められるのはうれしいものなのか?


「とりあえず街を目指すってことでいいか? どれくらいの距離があったんだ?」

「歩くと結構かかりそうかな。うーん、ようわからないけど普通に歩いたら数時間じゃつかないかも」


 それって結構遠くないか? どうするんだよ。セイコは強化されてるからなンの問題もないだろうが俺の体力なんて自慢じゃないが平均がいいところだ。それで森を何時間も歩き続けるなんて荷が重い。間違いなく、途中で力尽きてしまう。休憩をはさみながら歩けば何とかたどり着けるか? でもそれだとセイコに迷惑がかかるな。


「アキヒコ君は私が抱えるよ。たぶんそっちのほうが早いと思うから。別にいいよね?」


 え? 俺はセイコに抱えられて街を目指すってことか? でも案外そっちのほうがはやいのかもしれない。さっきのジャンプだってとんでもない跳躍力だったし。恥ずかしさよりも命のほうが大事だ。


「頼むよ。正直俺にはきついと思ってたんだ」

「うん、わかった。しっかり掴まっててね」


 ひょいっと軽く抱えられてしまった。しかもお姫様抱っこで。俺は人生初めてのお姫様抱っこがまさかされる方だとは夢にも思わなかった。

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