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 俺の名前は永山ながやま 明彦あきひこ自分ではどこにでもいるような高校生だと思っている。成績は中の中、運動神経もこれと言っていいわけでもない。ただ日々をなんとなく過ごしているだけ毎日何か面白いことが起きないかなどとしょうもないことを考えている。まあ、実際に起きてしまったらそれはそれで困るんだろうが…………うん、まさに今の状況。


「ではお二人は今日の朝にお亡くなりになりました。ここまではいいですよね?」


 理解不能ですから、朝目が覚めるとこのわけのわからない空間に学校でも一、二位を争う美少女の一人、山本やまもと フランキー 聖子せいこさんと二人だったのだ。そこに突如あらわれた謎の少女、セイコさんとはれるほどかわいい。そして今の状況である。なぜか突然死んだと宣告されました。


「ちょっといいかな。私は昨日今日で死ぬような病気にはかかってなかったんだけど。それがどうして突然死んだりなんて」


 流暢な日本語で話しているが思いっきり金髪のアメリカとのハーフである。生まれも育ちの日本なので逆に英語は喋れないらしい。この外見で日本語をしゃべってる姿を見ていると毎回違和感を感じてしまうんだよな。


「鋭いですね…………まあ、そこはそれほど気にすることでもありませんのでどうぞスルーしてください」

「いやそれは流石に無理だろ。死因はスルーとかとんでもなさすぎるから」

「おそらく心臓麻痺とかですよ。はい答えましたよ」


 なんだかすごい顔をそらしながらそう言ってきた。明らかに怪しいのだが、これ以上問い詰めたところで何かしゃべってくれるのだろうか?


「それよりも早く本題に入らせてください。実はですね。お二人は今回新たに実施することになった異世界転生プロジェクトの記念すべき一回目の被験者に選ばれたんですよ。あ、間違いました。当選者です」


 思いっきり被験者っていってたけど? この人マジでやばい感じの人だ。


「それでその異世界転生プロジェクトというのはどういうものなの? これは説明してくれるんだよね?」

「もちろんです。このプロジェクトは若くして死んでしまったかわいそうな人たちを異世界に転生させてあげ、楽しいセカンドライフを送ってもらおうと言うものです。どうです? 興味が湧いてきませんか?」


 異世界でセカンドライフか。これだけ聞くと俺がいつも想像してた何かに近い気もする。というかまんまこんな感じだ。


「もちろん異世界ですから、モンスターや冒険者など元の世界にはなかったものが色々と存在しています。そこでですね、お二人にはそれぞれ一つずつの能力を授けようと思っています。でもこれはまだまだ試験段階なので、いえ、ぶっちゃけ今回が初めてなので。まずは様子見といたしまして、お一人にはチート能力をもう一方にはしょうもない使えない能力。それでどれほどの差が出るのかということがやりたいんです」


 その片方になったら普通に楽しいセカンドライフどころじゃなくないか? 絶対に天と地ほどの差が出ると思うんですけど。モンスターと素の俺でどう戦えばいいと?


「大体把握したんだけど、なんで渡しとアキヒコ君が選ばれてるのかな? これはただの偶然なの?」

「はい、もちろんです。似たようなタイミングでお亡くなりになられたので、まさかお二人が知り合いだったとは。びっくりですね」


 なんだか白々しいな。これ絶対知ってたやつだろ。てかセイコさん俺の名前覚えててくれてたんだ。マジで感激。


「それならいいよ」


 そういいながらセイコさんが俺のほうをちらちらと見てくる。俺と一緒というのはやっぱり嫌なのだろうか? せめて心の中だけでとどめてほしいな。態度に出されるとガラスのハートの俺には大ダメージだから。


「それではさっそく決めていきましょう。チート能力のほうは、身体能力カンスト、魔法能力カンストのスーパー超人として異世界に転生できます。はずれのほうは親知らずが生えないです。意外に外れのほうも役に立つので安心してください」


 親知らずが生えない能力か元の世界で生きていくなら少しうれしい能力ではあるな。親知らずを抜くのなんて絶対痛そうだし。でも異世界となれば話は別だろ。その能力じゃ、人より四本歯が少ないだけの一般人だよ。無理に決まってる、そんな能力じゃ異世界なんて生きていけないから!!


「もう少しましな能力にしてもらえないか? 何が何でもそれは使えなさすぎだろ」

「無理です。私一度決めたことは曲げない主義なので。それに親知らずを抜くのはほんとに痛いんですよ。私なんて何時間歯医者で格闘したことか。お母さんに無理やり連れていかれ椅子に固定されましたからね。うう…………思い出すだけでも寒気がします」


 実体験からだったんだな。それでこんなゴミみたいな能力を。大体あんたは何者だよ? なに普通に歯医者とかいっちゃってるの?


「もういいですよね。それでは気になる方法ですが、今回はじゃんけんにすることにしました。行きますよ、じゃんけんポン」

「「…………え?」」


 俺とセイコさんは完全に不意を突かれたものの何とか反応し、出すことができた。ちなみに俺がグー、セイコさんがパーだ。負けちゃった…………。


「フランキーさんの勝ちです。これでアキヒコさんは親知らずのほうに決定です。それでは楽しいセカンドライフを送ってくださいね。さよーならー」


 謎の少女がそういうと、俺の意識は途絶えた。

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