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小話 ~ありがとうございます、うふふ~♥️~

2人の入籍日の話になります。

「おめでとうございます!」


「ありがとうございます、うふふ~♥️」


「ありがとうございます! さて、次は……」


 今日は俺の誕生日、そして俺との赤ちゃんが出来たエリザと役所に婚姻届を出しに来て、ついに俺達は夫婦になった。


「あぁ…… シュウちゃんのお嫁さん…… 夢だったシュウちゃんの奥様に……うふふ~♥️」


 エリザは朝からこの調子でニコニコと俺に抱き着いては、うふふ~♥️ と笑っている。


「これからもよろしくね? あ・な・た♥️ キャッ♥️ うふっ、うふふふふ~♥️」


 目立つくらいお腹が大きくなってきたエリザを見ていると、父親として、そしてエリザの夫として頑張らないと! と思う気持ちが更に強くなる。


「じゃあ、予約してた写真館で記念撮影して……」


「あとは家族みんながお祝いしてくれるって私達の家で準備してるから……夕方までどこかで時間潰さないとね?」


「そうだよな~、どこかいい所ないかな?」


「実は私、行くところ決めてるんだ~! だから付いて来て?」


「お、おう、あまり遠くはダメだぞ? 身体に障るからな?」


「もう、シュウちゃんは心配性だね? 大丈夫だよぉ~」


「でも……」


「いいから、行こ?」


「ちょっと、エリザ……」


 そしてエリザに手を引かれ歩き出す。

 写真館によりエリザと記念写真を撮り、そこから少し歩くと……


「ここって……」


「うふふっ、懐かしいでしょ?」


 エリザに連れてこられたのは近所の公園、そして、エリザとよくおままごとをしていた、山に穴が空いて中に入れるようになっている遊具の前まで来て


「おかえりなさいあなた、うふふっ」


 保育園から小学生になる頃くらいだったか、毎日のようにエリザとこの公園で遊び、この遊具の中が俺達の家として暗くなるまでエリザと2人きりで過ごしたのを今でもよく覚えている。


「お仕事お疲れ様! ごはんにする? お風呂にする? それとも……わ・た・し? な~んて、あの頃の私、おませさんだったね? 今じゃあ…… うふふっ♥️」


「まずはエリザ! なんて言っては……」


「やぁ~ん♥️ って、シュウちゃんにお姫様抱っこされてベッドに……」


「あははっ! あぁ……でもあの頃からエリザとこんな風にずっと居るんだなぁ~、ってぼんやり思ってたんだよな~」


「えぇ~!? 初耳だよぉ~! そっかそっか……うふふっ、昔から両想いだったんだね!」


「今思えばそうだよな! で、ここに来た理由って何なんだ?」


「あっ! そうだった!……えっと、はい! シュウちゃん誕生日おめでと!」


「えっ、ありがとう! 何だろうな…… 開けていいか?」


「うん!」


 そしてエリザからもらった小さな箱を開けると……


「おっ? これは…… 時計?」


「そうだよ、それで文字盤をよく見てみて?」


「んん? うわぁ! これはすごいな!」


 文字盤の中央には小さな文字で俺とエリザの名前、そして今日の年月日が書いてあり、そして時計の裏側には今度産まれる俺達の子供の名前が書いてあった……


「イリナ、オリガ? でも、何で上の方に寄せて書いてあるんだ?」


「うふふっ、また子供が出来たら書き足せるように空けておいてもらったの!」


「エリザ……ありがとう、大切にするよ!」


 まだ産まれてないのにもう次の子供の事なんて……第一、エリザはダークエルフで子供が出来づらいんだよな? ちょっと気が早過ぎるんじゃないか? ……まあこの時計はありがたく使わせてもらおう!


「あとは…… チュッ♥️ そろそろ帰ろ?」


「そうだな」 


 そしてエリザと手を繋ぎ歩いていると


「昔はここに駄菓子屋さんがあったよね」


「ああ、よくおこづかいをもらって買いに来たよな」


「シュウちゃんと半分こにして食べたり、一口ずつ2人で食べたり…… うふふ~」


「あっ、中学生の時ここのケーキ屋さんでエリザの誕生日ケーキを買って……」


「ここでシュウちゃんとお揃いのノートを……」


 公園からの帰り道、小さい頃から今まで、エリザとの思い出がいっぱいだ。


 ずっと一緒、幼なじみから恋人、そして今日、俺達は夫婦に…… そう考えると凄い事だよな。


 そして……


「もうすぐ着くなエリザ、身体は大丈夫か?」


「うん、大丈夫だよ! ありがとシュウちゃん」


「もう準備出来てるかな~?」


「あっ! 待ってシュウちゃん!」


「どうした?」


 家の前で急に呼び止められエリザの方を向く。


「シュウちゃんの家の前、ここで私は初めてシュウちゃんと出会ったんだよね」


「? ああ、エリザが引っ越して来て、俺んちに挨拶に来た時だったよな?」


「初めて会ったあの時から、シュウちゃんは私の運命の人だって思ってたの……」


「えっ?」


「一目惚れって、いうか、ダークエルフの勘なのかな? この人と一緒にいたい! って思ったのを覚えてる」


「そうだったのか……」


「それでそんな運命の人との赤ちゃんも出来て、今日夫婦になれて私…… 凄く嬉しい!」


「エリザ」


「だから…… これからもよろしくね、シュウちゃん」


「こちらこそよろしく、俺だってエリザしかいないんだ、絶対幸せにするからずっと一緒にいてくれ!」


「シュウちゃん……」


「エリザ……」


 そして俺達は抱き合い、夫婦になって初めてのキスをして……














「あんた達、家の前でいつまでチュッチュしてるのよ?」


「あはは~、シュウくんとエリザは相変わらずだね~?」


「シュウ…… はぁ、準備出来てるから気が済んだら家の中に入ってこいよ?」


「エリザも身体に障るから、ほどほどにね?」


「「あぅ…………」」


 ついついエリザが愛おしくなって、長いことチュッチュしてしまっていたみたいだ。

 お互いの両親に見られるなんて恥ずかしい……


「シュウちゃん、家の中に入ろっか?」


「そうだな」


 そんな俺達の入籍の日、結婚記念日が来るたびにこの日の事を思い出す。

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