見せ付けちゃお!
休憩に入り約束通り2人で文化祭を見て回る。
焼き鳥や焼きそばなどの屋台が並ぶ屋外を最初に見て回っている所だ。
「結構人が来てるな~!」
「うちの学校は地域の人とかにも招待状送ってるからね」
うちの学校の文化祭は毎年たくさんの人が来るので屋台などは大忙しだ、案内をする生徒や、どこで何が行われてるかのチラシを配る生徒も次々と対応している。
「エリザは何か食べるか?」
「私はいいかな、おにぎり作ってきたからどこかで食べよう? 何か他に食べたかったら買って来なよ」
「エリザのおにぎりか! じゃあ……ちょっと焼き鳥だけ買ってくるよ!」
「うん、私はここで待ってるね」
焼き鳥を買いに屋台へ、人気があるのか結構並んでいるので少し時間がかかりそうだな。
そしてやっと俺の番が来て注文をし、焼き鳥を受け取りエリザの待っている場所に戻ると
「いいだろ? 俺達の事、案内してよ!」
「……私、夫が来るのを待ってるんで」
「夫? 高校生なのにそんな訳ないじゃん?」
「いえ、本当なので……」
「そんな奴ほっといて俺達と行こうよ? はい決まりね!」
そう言ってエリザの手を引っ張って連れて行こうとする男達、……あの野郎!
するとエリザは笑顔で男達に
「うふふ、しつこい男は嫌われるよ? はっきり言うとあなた達なんて眼中にないの? わかってくれるよね? うふふ、えい!」
「「うわっ! ……はい、失礼しましたエリザ様……」」
男達は回れ右でスタスタと学校から出ていってしまった。
「おい、大丈夫かエリザ?」
「あっ、遅いよシュウちゃん! あっちの休憩スペースで食べよ?」
「お、おお……」
エリザ、また呪いを使ったな?
しかし、フッと軽く微笑んだエリザにはどことなく余裕がある。
前ならあんな男達に言い寄られたら暴走して、あの男達はタダじゃあ済まなかったと思うけどエリザも最近は加減がわかってきたのかな?
休憩スペースのパイプ椅子に座り、エリザの手作りのおにぎりをもらう。
「いただきます! おっ! これは……たらこだな!」
「うふふ、シュウちゃんたらこ好きだもんね! あとは……ツナマヨと鮭だよ?」
「全部俺の好きなやつだ! ありがとうエリザ」
「喜んでくれて良かった、うふふ♪」
ムシャムシャと食べる俺を優しく見つめながらエリザもおにぎりを食べる。
「焼き鳥一口食べるか?」
「じゃあ……一口ちょうだい?」
そしてあ~んと口を開けるエリザに焼き鳥を差し出す。
「ん、シュウちゃんに食べさせてもらう焼き鳥、美味しい♥️」
「そうか? 何も変わらないだろ?」
「もう! シュウちゃんったら~! 私の気持ちはわかってるでしょ~?」
「あはは! 冗談だよ」
「うふふ、じゃあ私もシュウちゃんに食べさせてあげる!」
そしてお互いに食べさせ合いっこ、エリザと一緒に食べるからいつもより何倍も美味しく感じる。
「あそこにバカップルがいる……」
「あー! あいつらいつもあんな感じなんで気にしないで下さい」
「若いっていいのぅ」
「そうですね、あなた」
「あっ、あのバカップル! ここの高校だったのか!」
「ユウく~ん、はい、あ~ん!」
「あ~ん、モグモグ…… おいエル、あれ……」
「モグモグするユウくん可愛い♥️ ……ってあの人達……」
おいおい、聞こえてるぞ? 誰がバカップルだって? お前達だって立派なバカップルだよ。
それにしても……俺達の少し前の関係に本当にソックリだ、よく見るとお揃いのブレスレットまで付けて……ユウくんと言ったか? 君もダークエルフの彼女を大切にしてるんだな!
「エリザ、またあの2人だぞ?」
「本当だ…… うふふ、幸せそうで良かった、あの子達も私達みたいにもっと幸せになればいいね!」
「ああ、そうだな!」
「うふふ、見せ付けちゃお! シュウちゃん……ん♥️」
エリザの方に振り向かされキスをされる。
突然でビックリしたが俺もお返しにエリザにキスをする。
ウットリとした顔をしたエリザはもう1回とまたキスをせがむ、そしてまたキス……
周囲を気にせずチュッチュする俺達にビックリしたような顔をしていた2人だったが
「ユウくん……」
「エル? はぁ……仕方ないな」
「ん♥️ えへへ!」
「あとは……帰ってからな?」
「うん! ユウくん大好き! えへへ~」
負けじとキスをした2人を見て俺達は顔を見合せ笑う。
2人のこれからを思いつつ、食事を終えた俺達は校舎内の出し物を見に行く事にした。
別の話だが、文化祭会場に来ていたエリザやエルとは別のダークエルフの娘はこの光景を見て勇気をもらい、愛しの彼に猛アタックしたとかしないとか……
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