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私、目が悪いから……

 席替えも終わり、1時間目の授業が始まったのだが……


「クリス先生? 教科書忘れちゃったんでとなりの人に見せてもらっていいですか?」


「……えっ? あっ! は、はひぃ、どうぞ、エリザさま!」


「うふふ♪」


 クリス先生にそう言って、エリザは俺の机に自分の机をくっつけた。

 おいおい! 真面目なエリザが教科書忘れるなんて……


「シュウちゃん、教科書見せて?」


 そう言って俺の教科書を見ようとするエリザ、そしてさりげなく俺にピタっとくっついてくる!


「あ、ああ…… ほら!」


「うふふ、ありがと♥️」


 エリザの笑顔を見ると教科書の事とかどうでも良くなってきたな! 


「シュウちゃんよく見えないよ~、もう少しくっついてもいい?」


「えっ? あ、ああ……」


 そして肩と肩が思いっきりぶつかるくらいくっついてきて…… エリザの身体は柔らかいな~、それに近くにいるといいニオイが……


「ごめんね? 私、目が悪いから……迷惑じゃないかな?」


「だ、大丈夫だよ! エリザこそよく見えなかったら言ってくれよ? ほら!」


 エリザは学校では眼鏡をかけているけど、ここまでくっつかないと見えなかったんだな、そんな事も気付かないなんて……


「もう少しこっち寄ってもいいぞ?」


「ありがと♪ じゃあ……」 


 そう言って今度は腕を絡めてくる。


「え、エリザ!?」


「こうした方がもっと教科書がよく見えるかなって思ったんだけど……」


「そ、そうか! エリザが見やすいように好きにしていいけど、これはさすがにクリス先生が……」


 そう思ってクリス先生を見てみるが……


 俺と目が合ったと思ったら全力で反らされた! やっぱりものすごく怯えてる……


「エリザ? クリス先生に何言ったの? 先生、やたら怯えてるよ?」


「えっ? シュウちゃんは何も気にしなくていいよ、ちょっとお話をしただけだから♪ ……先生が弟さんのパンツ……ふふっ」


 最後の方……なんて言ったか聞き取れなかったけど…… お話って……あの怯えようで何の話を?


「……シュウちゃん?」


「どうした?」


「……シュウちゃんはクリス先生みたいにスタイル良くて美人な人の方がタイプなの? さっきから先生の事ばっかり気にして……」


「な! 何言ってるんだよ! そんな事……」


「私……ちっちゃくて、美人でもないし、色も黒くて……それにやっぱりダークエルフだから……」


「エリザ! エリザは確かにちっちゃいけど、顔は間違いなく美人だ! それに肌の色とかダークエルフとか全部関係ない! それに……外見だけじゃなくて中身も含めて、エリザが好きなんだ!」


「シュウちゃん、私も大好き!」


 おおー!! とクラスメイトの歓声が上がり拍手される! そうだった! ここは教室だったんだ! 俺はクラスメイトの前でエリザに愛の告白をしてたのか? 恥ずかしい!


 そしてエリザはさらに俺にくっつき、頭を俺の肩に乗せる。

 俺の腕はエリザにギュっと抱き付かれ……

 エリザのお胸様に捕まってしまった! もう逃げられない! ボリュームが……柔らか……


「エリザ……もうそろそろ、腕を離してくれないとノートが……」


「シュウちゃん大丈夫だよ、私が書いてあげるから、帰ってからちゃんと見せてあげるから! もちろん2人っきりでね? うふふ」


「でも…… あ、はい」


 言い返そうかなと思うと、エリザは俺の腕を抱く力をさらに強めて……

 俺の思考は停止してしまったよ……すごいよお胸様……俺には刺激が強すぎる!


 そしてそのまま授業を受けていたのだが……


「先生ー!! 前の席が熱いんで窓開けていいですか?」


「先生、口の中が甘いんでしょっぱい物を食べたい!」


「先生! 声が震えてて何言ってるか分かりませんよ?」


 授業をしているのだが、先生の顔色がどんどん悪くなり、そして……


「……今日はこれまで、あとは自習にするから」


「えっ!? 先生……なんで?」


「……もう限界、不安で……もし弟に嫌われたら私生きていけない……もう帰る! 早く弟に……」


 何だかブツブツ言って、クリス先生は教室を出て走っていってしまった……


 授業が自習になってしまったので、みんな勝手に席を離れて友達同士で話を始めてしまった。


「エリっち、シュウっちととなりになれて良かったですね?」


「あっ、ジュリちゃん! うふふ」


「それでクリス先生に何したです? サエっちみたく呪ったです?」


「も~! ジュリちゃん! その言い方やめてよ~、ただ私の想いを届けただけだよ?」


「そういう事にしとくです、それでクリス先生にはどうしたです?」


「……先生が私とシュウちゃんを引き離そうとするから……先生の1番大切な人に嫌われる呪いをかけちゃうよ? って言っただけだよ?」


「うわ~! エリっちヒドイです~」


「実際にはかけてないよ? ただ勝手に先生がどんどん不安になっちゃっただけ、1番大切な人に本当に嫌われたらかわいそうだもん、私だったら耐えられないから……」


 何か俺のとなりで物騒な話をしてるけど……

 うるうるした目でこっちを見られると……


「エリザ、ほどほどにな?」


「シュウちゃんがそう言うなら……シュウちゃんが心配でシュウちゃんの近くにいたくて……こんな私の事、嫌いにならないで……」


 今にも泣きそうなエリザ、そんな顔しないでくれよ


「嫌いになるわけないだろ? それになんだかんだ言っても俺の為を思ってなんだろ? そんな大切に思われて嬉しいよ、ありがとうエリザ」


「シュウちゃん」


「だから心配しなくても大丈夫だから……」


「うん! 今度からほどほどにしとくね」


 またエリザは笑顔になってくれた。

 

 笑顔のエリザを見てると俺も嬉しくなる。


 ただ、呪いはやり過ぎじゃ……


 

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