私は今すごく幸せだから
「エリザ、歩きづらくないか?」
「そうかな? もしかしてシュウちゃんはこうやって歩くの嫌だった?」
そう言ってしょんぼりするエリザ。
「いや、そんな事ないよ! 俺は嬉しいけど……」
「良かった、ずっとシュウちゃんとこうやってみたかったんだ♪」
家から出た時は普通に手を繋いでいたのだが、いつの間にかエリザは俺の腕に抱きつくように歩き始めた。
そりゃ、恋人だしこうして甘えるようにしてくれるのは嬉しい、ただ俺の腕が……エリザのお胸様にサンドイッチされてるんだよな~。
段々学校に近づいてきて同じ学校の奴も増えてきたから、さっきから俺達をチラチラ見てくる奴もいるな。
「エリザ、もうそろそろ学校着くから離れたほうが……」
「……ごめんね、昔からずっとシュウちゃんとこうして歩きたいと思ってたから、夢が叶って浮かれてたね……それに私、ダークエルフだし……」
エリザ……そんなに俺の事を……そんな不安そうな顔するなよ。
「よし! エリザがいいならこのまま行こう! みんなからチラチラ見られて恥ずかしいと思って言っただけだよ、別に俺達は恋人同士だから堂々としてればいいんだよな? 俺の方こそごめんな、それにダークエルフは関係ないだろ?」
「シュウちゃん……ありがとう、大好き!」
「ああ、俺も大好きだ」
そう言うと嬉しそうにまた腕にしがみつくエリザ。
やっぱエリザは可愛い!
「シュウちゃん、私今まであまり積極的にすると、シュウちゃんに嫌われちゃうと思って我慢してたの、だから本当に嫌だったら言ってね?」
「分かったよ、ただそんな事でエリザを嫌いになるなんて事ないから安心してくれ!」
「うふふ、ありがとうシュウちゃん♥️」
そうこうしてるうちに学校に着いた。
俺とエリザは同じクラスだから、そのまま教室に入る。
「おはよ~エリっち……ってどうしたです!? 2人とも腕なんて組んで……もしかしてエリっち、ついに!?」
「おはようジュリちゃん! 私達付き合う事になったの♥️」
「エリっち、良かったです! シュウっちもやっとその気になったです?」
「まあな……母ちゃんにも散々ニブチンって言われたけど、やっとってお前……」
「エリっちがあんなにアピールしてたのに気付かなかったですか? クラスのみんなわかってたですよ?」
「ジュリちゃん、それぐらいにしてあげて? 私は今すごく幸せだから」
「ノロケてるです~!」
ジュリはエリザの中学からの友達で、俺もよく知っている。
ジュリとエリザは同じ図書委員で、エリザと同じで本を読むのが好きで気が合うらしい。
そんなジュリに早速冷やかされたが、エリザは逆に嬉しそうにしてるから、まあいいか。
エリザと俺の席は離れているので、さすがにエリザも腕を離し、自分の席に座ってジュリとおしゃべりを再開しだしたので、俺も自分の席へ座る。
「よ~、シュウ! 朝から何見せつけてるんだよ?」
「おっすケン太、別に見せつけてねーよ!」
こいつはケン太、こいつも俺達と同じ中学で、中学の時から仲が良い。
「でもやっと付き合い始めたのか~! エリザちゃんもホッとしただろうな!」
「お前も同じような事言うんだな!」
「だってよ~、エリザちゃんはずっとシュウの事を見続けてたからな~!」
「そりゃ幼なじみだし……」
「そうじゃねーよ! シュウは気付かなかったかもしれないけど、エリザちゃんって結構人気あったんだぞ?」
「そうなのか!?」
「ああ、あんだけ可愛くて、ちっこくて……それにあのお胸様だぜ? お前は知らないだろうけど、かなり告白されてたんじゃないか?」
「えっ!?」
「ただ……エリザちゃんはこっぴどく振ってたみたいだけどな!」
「そうか……」
「あんな笑顔を向けてくれるのはお前にだけなんだぞ? 中学の頃もエリザちゃんの気を引こうと色んな男らが話しかけてたけど、クスリとも笑わないんだよ! まあそれを見て、俺とジュリは爆笑してたけど」
「最低だなお前ら……」
「だからエリザちゃんの事大切にしてやれよ?」
「……言われなくてもわかってるよ……」
そうか……エリザはそんなにモテてたのか、全然気付かなかった。
エリザも何も言わないもんな……
「……席に着いて、ホームルーム始めるよ」
「おっ! クリス先生が来た! 今日も美人だな~!」
「ケン太……なんか親父くさいぞ……」
担任のクリス先生は確かに美人だ。
可愛いというより綺麗な顔をしている、まあ俺からしたらエリザの方が何倍も美人だか……
ノロケじゃないぞ?
「……じゃあ、今日は最初に席替えをしようと思ってるから、廊下側の人から順番にクジを引いて」
席替えか~! エリザと近くになればいいな~、とチラッとエリザの方を見ると
エリザはクリス先生をジッと見つめていた。
なんか先生を見つめる目が恐いような……
このあとダークエルフの恐さをちょっと知る事になろうとは……