エリザの昔話 その4
「……エリザ、今日は先に帰ってていいぞ?」
「えっ?」
シュウちゃんが私と一緒に帰らないと言ったのは中学校に入って今日が初めてだった。
「う、うん、分かったよ!」
「……ごめんなエリザ……」
シュウちゃんの顔を見て……私はピンときた。
シュウちゃんは私に隠し事をしている……
しかも嫌な予感がする!
そして私は帰ったフリをして、シュウちゃんの後をつけた。
そこは学校のすぐ側の公園だった。
そこにいたのは……
この間、シュウちゃんの事をカッコいいって言ってた女の子だ!
「シュウくん、来てくれてありがとう」
「……ああ、それで話って?」
「あのね? 私……シュウくんの事、好きなの! よかったら付き合ってくれないかな?」
えっ!? シュウちゃんに告白? そんな! やめて! 私の……私のシュウちゃんを取らないで!
そえ考えている内に……自分の心の中から黒い感情が……
私のシュウちゃんに手を出して! あの子…… 許さない! シュウちゃんは絶対渡さない!
「……気持ちは嬉しいけど…… ってどうした!?」
「……ごめんなさい、今のナシにして! ……私、私……無理~!! きゃあ~!!」
「えっ!? え~!?」
そしてその女の子は走っていなくなってしまった。
それからその女の子はシュウちゃんの顔を見るたびすごく怯えるようになってしまった。
……あの時、私は心の中でシュウちゃんに
手を出したら大変な目に逢うぞ! と思ってしまった。
そしたらあの女の子が怯え出して……
その事が恐くて、ママに聞いてみた。
「それは嫉妬しちゃったんだね~、シュウくんを独占したいっていう気持ちが溢れちゃったんだね~、でもそれはダークエルフだからしょうがないかな~? でもね~? ……」
ママに聞いた話……感情を上手くコントロールしないと、私達ダークエルフは感情が外に溢れだし、色々な影響を与えてしまうみたい……
ママは呪いって言ってたけど……
こんな事シュウちゃんに知られたらますます……
幸いな事かは分からないけど、それからシュウちゃんに近付く女の子はいなくなって、私はひと安心していたが……
中学2年、私はシュウちゃんと同じクラスになれた。
毎日お祈りしてたから願いが届いたのかな?
シュウちゃんと同じクラスになれた私、ジュリちゃんとも同じクラスでシュウちゃんと話す機会はもっと増えた。
シュウちゃんの友達のなんとか太くんも話に加わってきて、私4人でいることが多くなった。
しかし、シュウちゃんがいなくなると……
「エリザちゃん、シュウと付き合ってるの?」
「エリザちゃん、今度2人で遊びに行かない?」
シュウちゃんがいないとクラスの男子や他のクラスの男子、上級生や下級生もいた、そんな男子が私に話かけてくることが多くなった。
……またか、私に話しかけないでよ! シュウちゃんに勘違いされたら……私は絶対許さないからね?
そして……仮に話しかけるんだったらちゃんと目を見て話しなさいよ! みんな、私のお胸を見ながら話しかけてきて……汚らわしい!
自分で言うのもなんだけど、私は中学生になってからどんどん女らしい体つきになってきたと思う。
お胸もおっきくなっちゃって……
こんなになって、シュウちゃんに嫌われないかな?
そんなお胸をジロジロ見ながら話しかけてくる男子、下心見え見えでイヤになる。
この身体はすべてシュウちゃんの物なんだから汚い目で見ないでくれない?
最初のうちは愛想笑いをしていたが、今では笑うのももったいない。
私はシュウちゃんにだけ見てもらいたいんだから!
「あなた達とは遊ばない……」
「そんな事言わないでよエリザちゃん! ……ひっ!」
「あなた達ごときが話しかけないで! 汚れるわ!」
「そんな言い方…… うっ! は、腹が……!」
「お、俺も……ト、トイレ!」
「……ふん!」
「どうしたエリザ? 調子悪いのか?」
「あっ、シュウちゃん、何でもないよ! 心配してくれてありがとう、えへへ~♪」
「そうか、無理するなよ?」
「うん!」
「ぷふふ~! エリっち面白いです~♪」
「ってかシュウ……ニブ過ぎだろ……」
ジュリちゃんとなんとか太くんが笑ってるけど構わない。
私にはシュウちゃんさえいれば……
ただ、臆病な私は中学でもシュウちゃんとの距離は縮める事は出来なかった。
そして……進路調査。
第一志望から第三志望まで……
「シュウちゃんはどこの高校にするの?」
「俺は○○高校かな~? 家から近いし、エリザは?」
「うふふ、私もそこかな? また一緒だね♪」
―前日―
「あの~? エリザさん、これは?」
「私の進路希望です!」
「でも……お母様も何か……」
「うちの娘が決めた事なんで~、うちらは何も言うことないですよ~」
「でも……第一志望から全部……シュウちゃんのお嫁さん♥️ はダメでしょ!?」
「でも事実ですから! 私はシュウちゃんのお嫁さんに永久就職です!」
「あはは~、エリザは昔からシュウくんの事好きだからしょうがないよね~?」
「うふふ~」
「あはは~」
「……いや、今は行く高校を……じゃあシュウさんと同じ高校って事でいいですか?」
「はい!」
…………
…………
そして私達は一緒に受験勉強をして(もちろん2人っきりで、幸せ♥️)無事高校に合格した。
「また春からよろしくね!」
「ああ、よろしくな!」
そして……私はこの高校生活で勝負をかける!
シュウちゃんのためにいい女になるから……
だから、待っててね! シュウちゃん♥️




