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エリザの昔話 その2

 小学生になった私達。


 家も近所だし、毎日一緒に手を繋いで登校している。

 

 今日もシュウちゃんはカッコいい♪ 私の夢は、いつかシュウちゃんのお嫁さんになる事、小学生の私は頑張ってシュウちゃんにアピールしていたのを覚えている。


 シュウちゃんのお嫁さんになる為、ママにお願いして料理を教えてもらったり、掃除や洗濯も進んで手伝いしていた。


 すべてはシュウちゃんのため。


 私はダークエルフみたいだから肌が黒いので、自分に似合い、そしてシュウちゃんに可愛いって思ってもらえるファッションなども研究した。


 髪の毛は、シュウちゃんが長めのストレートが好きみたい(雑誌などを一緒に見てさりげなく聞いてみた)だから、サラサラのストレートにしていた。


 あの頃はダークエルフって事をいまいち理解していなかったから、ママに聞いて自分の都合のいいとこしか知らなかった、というか覚えてなかった。


 ダークエルフは愛情が深く一途なんだと、だから私はシュウちゃん一筋、シュウちゃん以外なんて考えられないと思っていた。

(それは今でも変わらないよ♪)


「シュウ~? エリちゃん? 一緒にお風呂入ってきなさ~い」


「「は~い」」


 あの頃の私達は何も気にせず、一緒にお風呂に入っていた。


「きゃっ! シュウちゃん、やったな~!」


「うぁっ、エリザ! 水は冷たいから止めろよ!」


「えへへ~、ごめんねシュウちゃん」


 2人でバシャバシャとお風呂で遊び、一緒に洗いっこもしてたな~。


 シュウちゃんの家や私の家にお泊まりはよくしてたし、寝る時も一緒の布団、シュウちゃんの寝顔をみたり、抱きついてみたり。


 あの頃の私は純粋にシュウちゃんの事を好きだって気持ちをぶつけられてたと思う。

 ただ恥ずかしくて、言葉には出来なかったけど。


 ただそんな日々も終わりを迎える。


 小学校高学年になると、徐々にシュウちゃんと距離ができたように感じた。


 学校に行く時も手は繋いでくれるが学校へ近付くとシュウちゃんは手を離してしまう。


 それに一緒にお風呂にも入ってくれなくなった。

 お泊まりする時も別々の布団。


 今考えたら、シュウちゃんも私を女の子として意識してくれるようになったんだと思う。


 その頃には私も段々胸が膨らんできたし、女の子らしい体つきになってきてたし……


 でも私は当時それを理解してなかった。


 シュウちゃんに嫌われるような事したかな? 私はシュウちゃんにとって魅力的じゃないのかな? とすごい悩んだのを覚えてる。


 誰かに聞いてハッキリとシュウちゃんに嫌われてるって言われたら恐かった私は1人悩んで、そしてシュウちゃんにもっと好きになってもらうための研究をするために、私は近所の図書館へ行く事にした。


 モテる女子の秘訣、気になる男の子の気を引く方法など、色々読み漁っていた。


 そんな時にある本を見つけてしまう。



『ダークエルフについて……』


 私は自分がダークエルフだから、何か誰にも負けないような魅力が見つかるかもと軽い気持ちで読んでしまった。


 そしてその本を読んだ私は衝撃を受けた。


 その本に書いてあったダークエルフ……


 邪神の使い、悪魔を引き連れ人々を恐怖に陥れる種族と書かれていた。


 私は手が震えながらもページをめくっていった。


 嫉妬深く、愛した者を洗脳し、自分の都合のいい操り人形として一生飼い殺す、そして最後には精力も奪い取ってしまう……


 今の私だったら、そんな事ないって笑えるかもしれない。


 ただあの頃の私は自分と言う存在の恐ろしさ、それによって私の1番大切な人であるシュウちゃんを、危ない目に会わせてしまうかもという思いでいっぱいになっていた。


 もしかして……それでシュウちゃんは私と距離を取っているんじゃないか? と悪い考えが頭の中でグルグルと……


 その後はあまり覚えてない。

 気が付いたら家にいて、布団にくるまり泣いていた。


 そして……その夜ママにその事を聞いたら


「そんな事ないよ~! ママがパパを操り人形にしてるように見える~?」


 と笑っていたが、私の心のモヤモヤは晴れなかった。


 ママが色々説明してくれて、私達ダークエルフは邪神の使いでも、悪魔を引き連れてるような種族ではない事は分かった。


 私の中では理解したが、この心のモヤモヤは何かはすぐに分かった。


 ダークエルフについて間違っている事を書いている本があるって事は、そういう風に思っている人が少なくともいるって事だ。


 他の人にどう思われようが構わない。


 ただ……


 シュウちゃん……


 シュウちゃんだけには嫌われたくない、知られたくない!


 そしてこの日から私とシュウちゃんの関係は、一定の距離のまま過ごす事となる。


 あの日まで……

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