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実は私……ダークエルフなの!

「シュウちゃん……実は私……ダークエルフなの!」


「えっ!? ダーク……エルフ?」


 それは突然の告白だった。


 俺の幼なじみで、親友以上恋人未満のエリザからいきなり言われて俺は混乱した。


 昔から色黒だな~とは思っていたけど、まさかダークエルフだったなんて……


「シュウちゃん……私の事、嫌いになった?」


「それは……」


 



 それは2時間前、今日のエリザはなんか様子が変だったような気がしてはいたのだが……





「ただいま~」


「おかえり~」


「おかえりなさい、待ってたよ!」


「お前……いないと思ったら、先に帰ってたのかよ!」


「……うん、アヤノおばさまに料理教えてもらう約束だったから」


「それならそうと言えよ……なんかあったのかと思って探しまわったんだぞ!?」


「ごめんなさい……でもシュウちゃん、私の事が心配で探してくれてたのね……嬉しい!」


「当たり前だろ! エリザにもしもの事があったら……」


「シュウちゃん……」


「はいはい、2人ともイチャイチャするのはいいけど、エリちゃん、お鍋も見てね?」


「あっ、いけない!」


「シュウは手を洗ってきなさい!」


「……分かったよ母ちゃん」


 母ちゃんに言われて洗面所に手を洗いに行く俺。

 ふと台所の方を見ると、真剣な顔で料理を作るエリザの横顔が目に入った。


 エリザは俺の幼なじみで、褐色の肌が特徴的な女の子だ。

 顔は童顔で可愛らしく、銀色の髪を背中ぐらいまで伸ばしている。

 身長も小さくて可愛らしいのだが、……本人には言いづらいが、そのお胸様はかなり大きく、クラスの男子に裏では『褐色ロリ巨乳様』とか言われているが本人には内緒にしている。


 エリザはクラスでは大人しく、眼鏡をかけて机で本を読んでいる、そんなイメージだが、幼なじみの俺にはよく話かけてきて、時には甘えてくる、そんな可愛らしい女の子だ。


 そんなエリザが今日、俺の家で料理を作っている。

 お互いの家はかなり近いし、昔からよくお互いの家で遊んだりしているが、うちの母ちゃんに料理を教わるなんて今までなかったし、教わりたいなんて言った事もなかった。


 疑問に思ってても仕方ないし、とりあえず俺は何もする事がないので、リビングでテレビを見ながら料理が終わるのを待っていた。


「シュウちゃん、ご飯出来たよ!」


「お~」


「シュウ、すごいでしょ? みんなエリちゃんが作ったのよ!」


 テーブルに並ぶ色々な料理はみんな俺の好物ばっかりだ。


「すごいな! これ食べてもいいのか?」


「もちろん、シュウちゃんに食べてもらいたくて教えてもらったんだもん!」


「シュウ、感謝しなさいよ? あんたにこんな事してくれるの、エリちゃんぐらいしかいないわよ?」


「感謝してるよ! ありがとなエリザ!」


「うふふ、シュウちゃん、食べてみてくれる?」


「ああ! それじゃあいただきます!」


「どうぞ」


「おお! すげぇ美味いよエリザ! どれも俺の好みの味だよ!」


「……良かった! うふふ」


「良かったわねエリちゃん!」


「アヤノおばさまのおかげです」


 どれを食べても美味い! エリザは料理をそれなりにするのは知っているし、食べた事もある。

 ただ今日エリザが作った料理は、すべて俺の家の味付けをした料理ばっかりだ。


 母ちゃんの味を再現……いや下手したら、それよりも俺の好きな味かもしれない。


 ガツガツ食べる俺を、エリザは微笑みながらじっと見ている。


 エリザは童顔だが、今俺を見つめているその顔は、母親が子供を見るような母性愛溢れるような顔だったので、俺はドキッとしてしまった。



「はぁ~! ごちそうさま、すげぇ美味かったよ!」


「うふふ、良かった、シュウちゃんに喜んでもらえて」


「これなら毎日食べたいくらいだよ!」


「ホントに!? ……やった!」


 エリザは小さくガッツポーズをして母ちゃんの方を見る。

 母ちゃんもエリザに微笑みうなずいている。


「それでエリザ、いきなりどうしたんだよ? うちで料理なんて」


「……シュウちゃん、あとで話があるの……料理はその前に食べてもらいたくて……」


「話? てか料理食べる前じゃダメな話だったのか?」


「……そういう訳じゃないんだけど、どうしても食べてもらってから聞いてもらいたくて……」


「ふ~ん」


 いまいちよく分からないが、エリザがそういうなら別にいいか。



 そしてご飯を食べ終わり、リビングでくつろいでると……


「それじゃあ母さん出かけて来るわね! エリちゃんママと約束あるから、あとお父さんも今日は遅くなるから」


「そうなの? 分かったよ、気をつけてね!」




「……それじゃあ、エリちゃん、頑張って♪」


「……はい、アヤノおばさま!」


 エリザになんか耳打ちをして出かけていった。

 何言ってたんだろう? まあいいか!


 母ちゃんがいなくなり、エリザと2人きりになる。

 エリザはなんかモジモジして何も話さなくなってしまった。

 本当に今日は変だな?


「エリザ、ところで話って?」


「えっ!? え、えっとね? うぅぅ~! ……」


「どうしたんだよ? 今日は変だぞ?」


「うっ! すぅ~っ! はぁ~! あ、あのね、シュウちゃん?」


「なんだ?」


「あのね? わ、私、実は……えっとね、その……」


「一体どうしたんだ?」


「あの! 実は私……」






「ダークエルフなの!!!」


「えっ!? ダーク……エルフ?」


 ダークエルフ!? エリザが!? たしかに昔から色黒だな~とは思ってたけど、まさかダークエルフだったなんて!


「シュウちゃん…… 私の事嫌いになった?」


「それは……」


 ダークエルフ……だから何なんだ? なんか問題でもあるのか? 別にエリザはエリザだし、ダークエルフだからって嫌いになることはない……むしろ……


「嫌いになんてなるわけないだろ!? エリザはエリザだ!」


「シュウちゃん! ……嬉しい、あのね私……」




「私……小さい頃からずっと、シュウちゃんの事を好きなの! だから……」


 これは……だけどそれはエリザに言わせるわけにはいかない!


「エリザ! 俺もエリザの事が好きだ! ずっと昔から好きなんだ!」


「シュウちゃん……」


「だから……俺と付き合ってくれ!」


「シュウちゃん……嬉しい……こんな私だけど……ダークエルフの私だけどいいの?」


「そんなの関係ない! 俺はエリザが好きなんだ! だから……」


「シュウちゃん、私も大好き!」


 そして俺はエリザを抱き締める。

 エリザも俺の背中に手を回して抱き締めてくる。


 そしてお互い見つめ合い……唇が重なる。


 そうして俺とエリザは親友以上恋人未満の関係から、恋人同士となったのだが……




『ダークエルフ』


 この事をやけに気にしていたエリザ。


 その訳に気付くのはもう少し後になってからだった……




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