【2年前、リビア“Šahrzād作戦”②】
翌日、エマ大尉と共に車両を受け取りにトリポリの港まで行った。
出向いたのはエマ大尉の他にDGSEのエージェントが3人と、LéMATの11人。
受け取ったコンテナを開けると、小型ながら堅牢な車両が入っていた。
しかも日本製だからオリジナルは右ハンドルなのに、届けられたのは左ハンドル仕様。
ドアを開いて中を見ると、軍用車なのに真新しいシートにはビニールもかけられていて、カップホルダーやコンセントも着いている。
これには同行したモンタナやフランシスも大喜び、トーニなんかはお金をためて自分用に一台購入すると言い出す始末。
「じゃあ宜しくね!」
エマ大尉がハンスに言う。
「了解した」
いつものように、ぶっきらぼうな返事。
「さあ、みんな乗って帰るぞぉ~!」
ニルスが大きな声で叫ぶと、誰が運転するかで、ひと悶着。
いつもなら、運転をしたくないという選択肢なのに、今日は運転をしたいという選択肢でもめていた。
まあ、誰が運転するにしても俺は助手席だ。
そう思って車に近づこうとしたところ、エマ大尉に呼び止められた。
「二等軍曹は、ここに残って」
いくら階級が上だとしてもDGSEの命令を直接聞くことはできないのでハンスを見た。
「いいぞ」
と、ハンスはそれだけ言うと、一台の助手席に座って出て行った。
それに続いてもう一台も。
こちらのほうは、ハンスが居ないので、まるでお祭り騒ぎ。
トーニなんかは運転しながら、俺に投げキッスまでしていきやがった。
“今度こそキン〇マを握りつぶしてやる“
「さて、二等軍曹いいかしら?」
そう言うと、エマ大尉は空のコンテナに入って行った。
いや、空ではない。
中には大きめのバッグが一つ、隅に置かれている。
俺が付いてくるものと思って、後ろも振り向かずに一人で入って行くその姿が、彼女の性格の強さをよく表している。
俺は、それ以外何も考えないで、後に着いてコンテナの奥に入って行った。
俺たちが入ると直ぐに、コンテナの扉が閉じられた。
真っ暗になった中、懐中電灯の明かりが灯る。
“計画通り”ということか。
薄明りの中、エマ大尉が軍服を脱ぎ始める。
下着越しにボリュームのある胸と、引き締まった体が露になる。
サオリとは違う大人の体。
「あなたも脱いで」
今までの軍人らしい態度から、妙に悪戯っぽく俺にも脱ぐように促す。
従う理由も、拒む理由もない。
俺は、言われるままに服を脱ぐ。
露になった俺の体を見て、エマ大尉が近づいて来て胸を触る。
「思った通り魅力的なバストね。そして張りもある」
エマ大尉の手は、そのまま腰からお尻に降りて行き、最後に俺を抱きしめた。
顔が近い。
「キスして」
甘い声で俺に言うエマ大尉に「いやだ」と返した。
しかし俺の断る声など、まるで聞こえなかったように、エマ大尉の唇が俺の唇を塞いだ。




