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【現在、ザリバン高原地帯13時45分】


 一旦森の奥に戻り、ボディーアーマーと上着を脱いでTシャツも脱いだ。

 脱いだTシャツに死体の血を擦りつけ、ズボンや靴にも同様のカモフラージュを施す。

 もちろん顔や腕にも。

 弾帯と銃を置き、ナイフ二本をブーツに忍ばす。

 脱いだTシャツの胸の辺りと裾を破り、それを再び着て、上半身のボディーラインが目立つように短くなった裾を縛る。

 Tシャツの破り取った裾を利用して太もも辺りを縛り、杖に良さそうな木の枝を持ち、負傷兵の出来上がり。

 離れた場所から、わざと枯葉や木の枝を踏みながら歩いた。

 見つかり次第銃を構えられても、逃げて応戦できるように銃を持った死体のそばをゆっくりと注意深くうろついた。

 二人来た。

 銃を構えている。

「助けて、助けて」

 二人は案の定、俺の姿を見てニヤッと笑い近づいて来た。

「助けて、助けて」

 俺は怪我をした、か弱い女性兵士。

 怯え切った表情で二人を見て、膝をついて(うずくま)る。

「どうした、ねえちゃん」

 一人が直ぐ傍まで来て、舐め回すように俺の周りを一周して、武器が無いことを確認した。

 そして正面に回り俺の髪を掴み、体を起こそうとする。

 ビックリして怖がっている振りをして、体の向きを変え、もう一人の男の死角に入る。

 助けて、助けてと涙を見せながら男にしがみ付く際にAK-47のセレクターレバーをセーフティーに切り替えた。

 しがみ付かれた男は、慌てて俺を突き飛ばす。

 反動で地面に転がりながら、ブーツに隠していたナイフを取る。

「助けて、殺さないで!」

 哀れな女を突き飛ばした男が、もう見張っていた男を振り返って笑う。

 しかし、見張りの男は笑わない。

 いや、正確には、もう笑う事が出来ない。

 転ばされた時、俺が放ったナイフが、その男の心臓を捉えていたから。

 見張りの男が殺されたことに気が付いた男が、銃を構えて撃とうとした。

 トリガーに指を掛ける。

 しかし、それは今、直ぐには引けない。

 そのことをこの男が気付いたかどうかは分からない。

 何故なら、銃身を避けるようにして男の懐に飛び込んだ俺が、溝おちから心臓を目掛けてナイフを突き刺していたから。

 これで残る敵は、あと二人。

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